※お題『血』
※静 友美(こねこ no のぉと)
『信じらんない』
「あ~、今日も平和だねぇ。」
皆さんこんにちは。
僕の名前はロックで、それなりに薬が作れるアルケミスト(女)です。
今日も平和なので、僕はフェイヨンにて露店を出しながら薬を調合していた。「でも、最近上手くいかないんだよねぇ~。はぁ、なにがいけない…」
「テロだぁ~!みんな逃げろ~!」
「な、なに!?」のほほんとしていたその時だった。
誰かが古木の枝で、なんと深淵様を呼び出し、フェイヨンは混乱に包まれた。
この日に限って一次職ばかりで、二次職なのはぽつぽつとしか見当たらない!
あぁ、あぁ~~。僕やっとLV60代になったばかりなのに、勝てるわけない。
けど、一次職を危険に落としいれる訳にはいかない!「みんな!今すぐ近くの家に逃げ込んで!二次職でLV高い人は戦闘準備を!って誰も居ないし!」
呼びかけをしている間に、広場には誰も居なくなっていて、深淵様は僕にロックオン!
こ、このままじゃ殺される!!!
やばくなって、深淵様に背を向けて走り出した僕だったが、それはもう遅かった。
深淵様は剣を取り出し、僕に向かってきた。「も、もうだめっ!」
っと、そう思ったその時。
急に深淵様を弓矢の雨が襲い掛かり、深淵様は大ダメージを受けた。
なにが起きたのかまったく判らなかった僕は、その場で腰を抜かし、座り込んでしまった。「な、なに?なに?なに!?」
「君!大丈夫?」
「へっ?」座り込んでいると、いつの間にか僕の隣に女ハンターさんが立っていた。
すると、不思議なことに彼女を見たら腰が軽くなり、スッと立ち上がれた。「だ、大丈夫。」
「そう、そいつは結構。ついでに、ポーション・ピッチャー出来る?」
「う、うん!」
「んじゃ、支援よろしく!」そう言って、ハンターさんは深淵様と戦い始めた。
ハンターさんの回避率は高いらしく、深淵様の攻撃はたまにしか当たらなかった。
当たったら僕の薬を投げて、すぐに回復させた。
そして10分もしないうちに決着が付き、深淵様は倒された。「やっ、た…。やったやったやったぁ~!」
「ふぅ、なんとか倒せたか。」深淵様を倒せたことがとても嬉しかった僕は、飛び跳ねながら喜んだ。
戦闘を終らせたハンターさんは地べたに座り、体力を回復しようとした。「凄い凄いですよ!えっと、貴女は?」
「ん?あぁわたしはただのハンター…うっ!げはぁっ!」
「うわぁぁ~!ハ、ハンターさん!しっかり!」いきなり口を押さえたと思ったら、ハンターさんの口から大量の血が溢れた。
慌てて僕はハンカチを取り出して、ハンターさんの口から流れる血を止めようとした。
多分この時の僕は、極度な混乱に陥ったみたいだった。「大丈夫?」
「えぇ、もう平気。ありがとう。」ハンターさんが血を吐いたその後。
力があまりないのに僕は必死になって近くの病院までハンターさんを運んで、お医者さんにハンターさんの容体を観てもらった。
あまりたいしたことはないらしく、しばらくベッドで休ませていたハンターさんは、すぐに目を覚ました。「びっくりしちゃったよ。いきなり血ぃ吐いちゃうんだもん。」
「あははごめんごめん!わたし昔から身体弱くってすぐに血を吐いちゃうのよ。」そう言いながら、ハンターさんは自分の鞄から薬を取り出し、その薬を飲んだ。
その薬の袋を見て、僕はすぐにその薬がなんなのか判った。「内蔵悪いの?」
「ん?んん~まぁね~。」アルケミストになってから、僕はひたすら薬の種類を覚えた。
その甲斐あって、僕は病気の人を見ては、薬を作ってあげていた。
医者じゃないけど、病気の人を救うのは楽しいし、嬉しく思う。「君、薬に詳しいの?」
「えっ?う、うん。これでもアルケミストだもん。」
「んじゃなさらだ☆」ハンターさんはベッドから起き上がり、僕の手を取った。
いきなりのことで意味が判らない僕の頭の中は、?マークでいっぱいになった。
そして、ハンターさんの口から出た次の言葉は…「お願い!わたしの奥さんになって?w」
「なっ!なにいぃぃ~~!?」アルケミストにしてくれたお父さん。
僕はこの日から、かなりの変人に陥ってしまいました。
一緒に深淵様を倒し、少しの看病をしただけで、僕は見知らぬ女ハンターさんに告られてしまいました。「ロックゥ~。また気持ち悪くなっちゃったぁ~。」
「えぇまた?また夜更かしでもしたんでしょ?」
「えへへ~。」って、なんだかんだ言っても仕方なくなった僕は、ハンターさんと旅をすることになった。
もちろん、付き合うことなんて絶対にしない!
…でも、何故だろう?
この人からは、目が離せない。
不思議だ…。「えへへじゃないよも~。いくら身体が弱いからって、なにをしても許されることじゃないの。判ってる?」
「もちろん判ってるわよ☆」
「ほんとかなぁ~?」何故だろう?
何故、この人と一緒に居るときが楽しいんだろう?
他にも友達がいるのに、こんなに楽しくて穏やかな気持ちになるのは初めてだった。
けど、妙なことが一杯ある。
それは…「おぉローレン戻ってきたのかい?今日はあたしの宿屋でゆっくりしてっておくれよ。」
「ナツル帰ってたんか。今夜はいつもの酒場で酒を飲もう。」
「アップルお姉ちゃん。またおもちゃ壊れちゃったから直して~。」何処の街に行っても、このハンターさんの名前は変わる。
って、実は僕もこの人の名前を聞いたことがない。
なんかこう聞いちゃいけない気がして、聞けないんです。「さてと、今日もバスバスオークを倒しちゃうよ~っと☆」
「はぁ…張り切るのはいいですが、無理だけはしないで下さいね。」っで、何故か判らないまま、僕達は毎日こうやってオーク森に来てオーク退治をする。
LVが高いのに、どうしてハンターさんは毎日ここで狩りをするのだろう?「ふぅ、ちょっと休け…ゲハッ!」
「わわわっ!またですか!?今日それで五回目じゃないですか。」今日のハンターさんの調子は絶不調だった。
今日はもう何度も咳をして、血を吐いたのも、今ので五回目。
…やっぱりだ。
やっぱり、ハンターさんの身体が弱ってきてる。
でもどうして?
僕が作る薬は、どんな薬より強くて効くはずなのに…。「ねぇロック。君には家族はいるの?」
「えっ?うん父と母。それと生き別れで、会ったことないけど姉がいます。」するとハンターさんは急に悲しい気な表示になった。
するとまたハンターさんは血を吐き、咳き込んでしまう。
すぐに薬を飲ませようと、鞄から薬を取り出した、その時。
森の奥から低い唸り声が聞こえて、重い足音は僕達に近付いてきた。
しばらくして現れたのは、オークヒーローだった。「あっ、あぁ…。」
怖くなった僕は、持っていた鞄を地面に落とす。
血を吐いていたハンターさんは、いつの間にか立ち上がっていて、僕の目の前に立ちはだかった。「ハンターさん!」
「こ、この子に、手だしするんじゃないよ。」足はガタガタと震え、身体はフラフラなのに、どうしてこの人は、こんなに僕を守ってくれるんだろう?
出会ったばっかりで、こんなに僕のことを守るだなんて、おかしすぎるよ。「ロック、今のうちに赤ポを、うっ!ゲハッ!」
「ハ、ハンターさん!」何匹かオークを倒していると、ハンターさんは血を吐いてしゃがみこんだ。
隙を見たオーク達は、一気にハンターさんに襲い掛った。
すると僕は、とっさに剣を取り出して、オーク達に切り掛った。
そして、さっきのハンターさんのように、僕はハンターさんの目の前に立ちはだかった。「ロック!」
「あ、あんた達オークなんかに、僕は引かない!そして、ハンターさんを守る!」
「ロック…。」はっきり言って、とても恐い。
でも、ここでこの人を守らなかったら、絶対後悔する。
だから、守りたい。「…ふっ、馬鹿ね。」
そう言うと、ハンターさんは再び私の前に立った。
立つ直前、彼女私の頭を優しく撫でた。
その手は暖かく、懐かしい感じがした。「君が死に急ぐ必要はない。君はわたしの支援をすることと、周りの雑魚オークを倒すこと。いいわね?」
「…はい!」
「んじゃ、行くよ!うりゃあ~!」「っで、結局はこうなるんですね。」
「あはは、だってぇ~今日のわたしじゃアイツを倒すこと出来ないも~ん。」結局僕達は蝶の羽を使って、プロンテラに帰ってきた。
格好良く飛び出したハンターさんは、いきなり僕の手を取って、全速力で走って、蝶の羽を使ったのだった。「あ~、でも今日はもう体力の限界。」
「そりゃそいですよ。あんだけ血を吐いたんですから。」
「はははっ、悪い悪い。でも、“妹”を守れて、姉上は嬉しいぞ~。」
「あぁそれはよか…」って待って。
今ハンターさん、なんてった?「い、妹おぉ~~!!!??」
「うんそうよ。あれ?言ってなかったっけ?」
「言ってないよ!そんなの初耳だよ!」
「えっ?う~ん…。あっ、確かに言ってないわ。あははっ!」こ、この人は…。
笑えばなんとかなるとでも思ってるのかな?
一応だけど、旅をしながら散々探していた姉が、目の前に居たなんて…。「信じらんな~い!」
そして、結局これからも病弱な姉と旅をすることになった、僕なのでした~。
はぁ、姉さんの名前が未だに判らない…。_| ̄|〇∥『信じらんない』・終
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皆さん初めまして。私の名前は静 友美(じょう ゆみ)と申します。
前回から飛び入り参加でこちらに参加させていただいています。
多分、一発で私の名前を読めた方はいらっしゃらないと思います。今回のお題は『血』と言うことで、前々から書いてみたかった吐血ネタを書きました。
女性しか出ていないのは、普段から女性しかキャラを作っていないからだと思います(^^;
すみません、これじゃ男性向けです…。・゚・(ノД`)・゚・。
とりあえず、これからもよろしくお願いします。
2004.05.15 静 友美(こねこ no のぉと)