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噂の真相 by静 友美

 ※お題『酒場』
 ※静 友美
 
続き
 

『噂の真相』

「はぁ?償金稼ぎ屋の4人兄弟?」
「あぁ。最近この辺をうろついているらしいぜ。」

ある酒場で、指名手配になっている盗賊達は償金稼ぎ屋のことで話し合っていた。
話をしている本人以外は、その償金稼ぎ屋兄弟のことは知らず、すぐさま耳を向けた。

「どんなヤツらなんだ?」
「仲間から聞いた情報だが、その4人兄弟はバラバラの職業で、長男はアサシンで、素早くて力強く、筋肉モリモリなヤツだそうな。」
「うっわこえ~。」
「その代わり長女と次女はすんげぇベッピンで、長女はプリーストで次女がセージとくりゃ、これまた嬉しいもんはねぇな!」

女の話となると、男達はいやらしい想像をしながら表示はたるみきる。
長女と次女の話で盛り上がっていると、話をしている男はなにかを思い出したかのように、一気に笑顔が消えた。
その男の態度に、話を聞いていた二人の男達も笑うのを止めた。

「どうした?いきなり黙って。」
「…その3人なら、まだ対処法がある。しかし、問題なのは末っ子の次男だ。」

男の言っていることが判らない彼等は、お互いの顔を見て、首を横に傾けた。
そして同時に、話をする男の方に向いた。

「末っ子が、どうしたんだよ?別にガキ1人なら、すぐに消せるだろうが?」
「い~や、それが無理なんだ。末っ子の次男はウィザードらしいが、魔法も戦闘もおてのもんで、素早いから誰もやつの魔法は止められない。」

それを聞いて、聞いていた2人の男の顔は凍りついた。
理由は、戦闘も魔法も出来るウィザード=LV80代後半という考えをすぐに思いついたからだ。
ちなみに、この3人のLVは60代前半。

「じ、次男がそれだけ強いっつーことは…」
「残りの3人も、かなり強いってことか?」

「殺される」っと、同時に心の中で叫んだ男達の顔色はますます真っ青になり、冷たくて恐怖感たっぷりになってしまった。

「そ、そんなやつらが来る前に、アジトに戻ろう。なっ?」
「あぁ、そうしようぜ。」
「と、とりあえずオレ酒でも持って来るぜ。」

そう言って男の1人は席を立ち、カウンターにビールを頼んだ。
ビールを待っている間に、酒場に2人の男女が入ってきて、気軽に酒場のマスターに話し掛けた。
男のほうは、金髪で妙にウサ耳が似合うアサシン。
女の方は、とても身長が小さく、銀髪に看護帽を被ったプリーストだった。

「マスター!一週間ぶりっ!」
「おぉ、スフィにエリー。今日は珍しく2人っきりかい?」

マスターは二人のことを知っているらしく、笑顔で二人の名前を呼んだ。

「いや、下の2人は収集品と償金を貰いに行ってる。」
「ほ~。相変わらず仲が良いな。いつものでいいかい?」
「はい。お願いします。」

ウキウキ気分のエリーと、礼儀正しくマスターに礼をしたスフィは、噂をしていた男達の隣の席に座った。
興味をもった男達は、二人の会話に耳を澄ませた。
だが二人が話ていることは、さっき噂をしていた償金稼ぎ兄弟とは程遠い感じだったので、男達はホッとして、酒を飲みなおした。

「な、なんだ。噂のヤツらとは大違いのようだな。」
「あぁ、噂のヤツらは、もっとこう強いイメージがあるが、あの2人は別格だな。」
「それに、噂だとアサシンは筋肉モリモリ。プリーストはボンッキュッポンッのナイスバディ。あんな細っこい男と、ちびっこじゃないな。」

ちびっこと男が言った瞬間、エリーの表示が一瞬にして変わった。
肩は小刻みに震え、顔は真っ赤になっていた。
必死に小声で止めていたスフィの言葉も聞かず、エリーは急に立ち上がった。
そして男達の横に、腰に手をあてて立った。

「ちょっと貴方達。」
「ん?なんだちびっこ?」
「お兄さん達は今大事な話をしてるんだ。それに、子供ならこんなとこに来るんじゃない。」

そう言われた瞬間、エリーの中で堪忍袋の緒が切れた。

「だぁ~れがハイパーちびっこですってぇ~!」

ぶちギレたエリーは男達のテーブルを持ち上げて、そのテーブルを男達に投げた。
一応回避力かある3人は、間一髪でそのテーブルに当たらずに避けられた。
(テーブルは木っ端みじんに壊れた)

「うわっ!なにすんだこの女!…の子でいいんだよな?」
「ちがぁ~う!私はこれでも10代後半だ!身長147㎝をなめるなよ!」

それを聞いて、男達は驚いた。
今時に、ここまで身長が伸びていない女はまさに天然記念物。
今の彼らには、その文字しか出てこなかった。

「人を散々けなして、人として恥ずかしくないの!?アンタ達みたいな冒険者が居るからこの世界は平和にならないのよっ!」
「まぁまぁエリー。彼らだって悪気があって言ってるんじゃない。まぁ頭が悪そうだけどな。」

さりげなくきついことを言うスフィ。
その言葉にぶちギレたのか、男達は怒鳴りちらした。

「なんだとこのアサシンとプリーストが!」
「ケンカをするなら、ケンカ料金貰いますよ?」

いつの間にか、またもや新しい男女2人が酒場に入ってきた。
女はセージで、綺麗に整えられた長髪の銀髪の横から、耳あてが出ていた。
男の方は赤髪で、妖精耳を装備していた。

「大丈夫姉様?」
「あぁ平気平気。後でこのテーブル代金払っといて。メディア。ガクちゃんもお疲れね。」
「いえいえ。兄さんと姉さんの頼みとなれば、僕は喜んで仕事するよ☆」
「なっ!コイツら、アサシンとプリーストの弟と妹なのかっ!?」

あまりにもLVの違いと身長の差に、男達は唖然とした。
兄と姉より強い妹と弟。
あまりにも怖い兄弟だと、彼らは確信した。

「それより、兄さん達いい獲物をゲットしたのね?」
「え、獲物だと?」
「はいっ!獲物ですわ☆」

にこやかにメディアはある紙を取り出した。
それは、今目の前にいる3人組の、指名手配チラシだった。

「…そ、そんじゃお前達は。」
「あぁ。有名なセナ一家でぇ~す☆」
「「「そっ、そんなぁ~~!」」」

その後男達はセナ一家に連れられ、騎士団ギルドに連行された。
セナ一家の4人兄弟。
彼らは、償金稼ぎ屋としては、本当に有名なのでしたぁ~。
めでたし………なのか?

多くの疑問を残しつつ、彼らは今日も償金稼ぎをしているのだった。

噂の真相・終


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2004.04.17 静 友美