だらだらしています。
だらだらしています。
望ちゃんたら久しぶりに会ったのに全力でだらだらしています。
会ったというか押しかけられたというか、とりあえずたまには玄関から入ってきてもらえないもんでしょうか。
書き物をしてて顔をあげたら窓から入ってきた君に踏み潰されそうになりました。
それと、挨拶もなしに冷蔵庫をあさるのはどうかと思います。
りんごジュースはのこしておいてください、それは木咤のです。
お菓子の袋を片っ端からあけないでください、一口食べてやめるのもよしてください。
食べ散らかしたまま寝ないでください、ソファはベッドじゃありません。
せめて寝室で寝てください、寝台はあけてあるから。
人の話は聞くものです、聞いてる?聞いてないね。
完璧に無視して望ちゃんは寝こけてる。
タヌキ寝入りじゃない、ほんとの熟睡。
となりに座っても、ほっぺさわっても気づかないくらいの。
ぐっすり眠ってる、その目元にクマがある。
薄くて、光の加減によってはきづかないくらいの、でもたしかに。疲れたから、望ちゃんは僕のところに来た。
だから僕は精一杯小うるさく振舞って。
だから僕は思いつくかぎり小言を言って。
そうやって僕は、君が大事だよって伝える。
そうやって僕が、望ちゃんの心を護る。眠る望ちゃんに羽布団をかけてあげる。
机の上を片付けて、とびきりの葉っぱでおいしいお茶を入れよう。
桃園からいちばん熟れたのをとってきて、氷水で冷やしておこう。目覚めたら戦場へ赴く君に、せめてもの憩いの時を。
望ちゃんのよだれがこぼれそうだったから、指先でぬぐう。
……そっとなめた。