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SS~すきなこ

 
「巨乳が鉄板」

 ※原作沿い?
 ※ふーたん男の子
 ※もきゅ?
 
続き
 
 

 
「巨乳が鉄板」
「ふとももムッチリしてるのがいいさ!」
「尻のよさがわからないとか、おまえら目ぇ腐ってるだろ」
 日当たりのいい城の一室、丸机を囲んでいるのは、発、天化、モグラの思春期ダンスィーズ。口角泡を飛ばし議論、いや口論をしている。
「だってプリンちゃんだぞ、上も下もぷりんぷりんでかぶりつきたくなるくらいじゃないとな」
「痩せてりゃいいってもんじゃねえさ! 細い子はちゃんとメシ食ってるか不安になるから!」
「どんな女にも必ずいいところがある、それは尻だ。いい女は尻だ、そこそこの女も尻だ、とりあえず尻だ」
 口論ですらなかった。思いついたことを言ってるだけだ。
「何してるんですか」
 楊ゼンがひょいと顔を出した。
「おう楊ゼン、おまえどんなタイプの子が好きなんだ?」
「武王、サボってないで仕事してください」
「俺の赤雲ちゃんをたぶらかしといてポイ捨てした男がなんか言ってるぞ」
「楊ゼンさん、そんなことしたさ?」
 突き刺さる天化の視線に楊ゼンが鼻白む。
「彼女とは徹頭徹尾、何もありません! それに僕はまだまだ修行の身ですからそういった……」
「何おまえ、もてないの?」
「も、もてないわけないじゃないですか、この僕が! 僕は封神計画前から天才美形道士で通ってますからね、バレンタインなんかダン箱いくつぶんのチョコが届くと思ってるんですか?」
「アラヤダこの人むかつくー」
「むかつくー」
「むかつくー」
 こいつらまとめて三尖刀でひらきにしてやろうかと思った楊ゼンだった。
「ま、いいや。どうせ楊ゼンのことだから、背が高くて美人で出るとこ出てて当然頭もいい才色兼備タイプじゃないと僕に釣り合いませーんとか言うんだろ?」
「……」
 ひらきじゃ甘いな、おろしだ。だがしかし図星なので言い返せない。妥協案として、哮天犬を呼び出してもふもふすることにした。
「そーいや、スースの好きなタイプって想像つかないさ」
 楊ゼンが無心で吼天犬をもふもふしていると、だしぬけに天化が言い出した。
「そういや、アイツってどうなん?」
「めっちゃもてるぞ。宴のときなんか宮女が群がってる。仙界ではどうなんだ?」
「特に噂は聞いてないですが、元始天尊さまの一番弟子ですし、憧れてる女性はそれなりにいるようですよ」
「なんつーか王様みたいにガツガツしてないさ。その辺もあるんじゃないかって」
「一緒に飲んでたらプリンちゃんみんな太公望んとこ行く、俺国王なのに……」
「あいつポルシェなかったらただの道士じゃねーか、俺のほうがいい男だよな!?」
「黙れモグラ」
 やいのやいの言い合ってるうちに、発が音頭を取って本人に聞きに行くことになった。

「とゆーわけで、第一回チキチキ太公望突撃インタビュー、はっじまっるよー!」
「遊ぶなら向こう行け」
 珍しく、とても珍しく、お仕事モードの軍師だった。楊ゼンの胸で、師叔やればできるじゃないですか! と、何故このタイミングで……が火花を散らす。
「好きなタイプぅ?」
 にこにこ顔のダンスィーズにたずねられ、太公望はおおげさに顔をしかめてこっちを向いた。椅子の背にあごを乗せる。
「うーむ、考えたことがない」
「ご主人は春過ぎてるっス」
「楊ゼン、スープーを殴っていいぞ。ふむ、すぐには出てこんものだな」
「じゃあ年上と年下ならどっちがいいんだ?」
「そうだのう……その二択なら、年下だな」
「ほほう、その心は」
「守ってやりたくなる、みたいな? かといってべったりというのも息が詰まる、ほどほどの距離感が保てるとよいのう」
「スースけっこう理想高いさ」
「ふっふっふ、ほっといても来るからな」
「一番弟子だからっておいしい目見やがって、徒弟制度反対! どーせボンキュッバンな美女をとっかえひっかえなんだろ、うらやましいな!」
「いいやスレンダーだ。ガリなくらいがいい。乳はほどほどでよい」
「まさかの貧乳派さ! ロングとショートだったら?」
「ショートだな」
「色白と色黒」
「断然、色白」
「身長」
「低いの希望。妥協してわしくらい」
「性格とか!」
「そうだのう、おとなしいのが……いや、おとなしく見えて一筋縄ではいかんのが楽しいな。多少じゃじゃうまなくらいが好みだ」
「オッケー、シンキングターイム!」
 貧乳だから妲己は除外だな。
 ショートと言えば王貴人だろ。
 いやあれも乳がでかいさ。
 胡喜媚? ぺたんだし背も低いぞ。
 圧倒的年上ですね。
 じゃじゃ馬好みだから蝉玉か。
 ショートじゃねえさ! 危なっかしいけど守りたくなるタイプじゃねえさ! ほんとさ!
 天化くん顔真っ赤だよ?
 とにかく蝉玉は違うさ、認めねえさ。
 なんだっけ、あの病弱なプリンちゃん。
 竜吉公主ですね、スレンダーですが出るとこ出てますよ。
 崑崙一の高嶺の花だぞ、年上だし背も高いぞ。 
 ほかにフリーの女居たっけ?
 さー?
「お邪魔します」
 からりと扉が開いた。おお普賢、と太公望が背景に花を咲かせる。
「……」
「……」
「……」
「……」
 色白で年下で背が低くてガリペタンでショートで性格はいわずもがなですね。男だけど。
「あ、ハイ」
「では僕らはこれで」
「どうしたおぬしら、おい。おーい」
 インタビューの内容は闇に葬られたという。