ぐちゃぐちゃの内臓を
※ポエム
ぐちゃぐちゃの内臓を洗濯機にいれて。油汚れにつよい洗剤と、芳香剤入りの柔軟剤を少々。１～２時間も待てば薔薇の香りの臓腑のできあがりだ。あの汚れなど、どこにもなくてどの臓腑も澄んだ色。柔らかな宝石のごとき臓腑をおぬしのはらわたと詰め替えて、まぶたを縫い閉じた糸を一気に引き抜こう。ああ、淡紫の瞳の色、明けゆく夜空の終末の色。おぬしはかすかにおびえた声でわしの名を呼んだな。望ちゃん、と。さあ新しい一日の始まりだ。まっしろなはらわたのおぬしを抱えて、ルート６８を進もう。その先に何があるなどと野暮は聞いてくれるな。誰とも出会いたくないのだ。わしはただ、ひたすらに傍らの愛しい人との時間を楽しみたいのだ。蜜のように。歌を歌っておくれ。かわいい普賢。生まれ変わったおぬしには造作もないこと。歌を歌っておくれ。耳をふさいで。この世のどんな些末な悲鳴も聞くことのないように。せっかく捕まえたわしの小鳥、飛んでいってしまうにはまだ早い。歌を歌っておくれ。そして全生物に嫉妬するわしの強欲を地獄に降る雨のように癒やしておくれ。