僕の声を聞いて。
※ポエム
僕の声を聞いて。何を言っているかなんて、もう問題ではないんだ。キミの腕に抱かれたが最後、僕はただの肉塊になる。キミに愛されることだけを望むドス黒い結晶になる。すべての責務を放り出して。後ろ髪などざくりと切り落として。キミがその胸中に誰を想っていても、今だけは目の前の僕を優先して。キミがその腕に抱くのは、僕一人だけなのだと思い込ませて。今だけでも、今だけでも。そうして僕の心は、水晶のようにひび割れていく。ひとりぼっちの閨で心の欠片が、瓦礫のように積み上がっていく。幾千の空漠を抱えて、幾億の諦念に埋もれて。僕は鬼になる。優しい仮面をかぶった鬼になっていく。