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SS~せめて暗くなってから

 
「ぜーったいイヤ!」
 
※伏羲と普賢の今の状況
※普賢が知らずに伏羲のシャワー中に入ってきた
#お題ガチャ #場面設定ガチャ

続き

 ようやく資料作りが終わった。
 普賢は寝ぼけまなこでシャワールームへ向かう。風呂をわかす余裕はなかった。本音を言うとそんな過程はすっ飛ばしてベッドへ寝転びたい。しかしかわいい弟子が剣呑な目つきでにらんでくるので、汗くらいは流すことにしているのだ。生活力だけはマイナスな普賢のところへ来てくれただけあって木吒はとってもその辺厳しかった。
 半分眠りのふちに入っていた頭が7分目くらい覚醒する。シャワーの音がしているのだ。
(木吒かな?)
 が、おかしい。どう見ても窓に映る影がそれではない。普賢は念のため太極符印を呼び出すと、一気に扉を開けた。
「だれ!?」
「きゃあえっち!」
「えええ、僕のせいにするの不審者!」
「不審者ちゃうわ、わし関係者だもん」
「不法侵入で楊戩に通報するね」
「やめてごめんなさい」
 事の次第を聞いてみれば何のことはない。気まぐれに砂漠をさまよった伏羲がちょいとシャワーを借りに来た、それだけの話だった。
「うちの主人は僕なんだけど」
「主人の主人はわしなのだが」
「彼氏面通り越して旦那面とか寒いからやめてほしい。ていうか早く着て」
 普賢は伏羲と目を合わさずそう命じた。
 普段は漆黒のマントで隠されている肢体は、ほどよく筋肉質で均整がとれ、幼げな顔立ちと相まって妙な色気がある。水も滴るとはこのことを言うのだろうか。実際に濡れ鼠ではあるが。
「んー?」
 伏羲が近づいてきた。
「なに?」
「顔が赤いな、普賢」
「気のせいだよ」
「共に水浴びとしゃれこもうではないか」
「ぜーったいイヤ!」
 飛びついてきた伏羲に膝蹴りをかましながら、そんなことしたら歯止めがきかなくなるじゃないかと普賢は心の中で毒づいた。