きっかけは一週間前の大会。
お題:変態プレイに興じている
キメツ学園 アホエロ 完結
棋譜は寄せ集めのツギハギなので矛盾してます
「う、はあ……4四歩」
「7八金」
じゅぱ、ぴちゃ、ちゅる。じゅるじゅる。飲み込まれる甘い感触で腰が砕けそうだ。
「く…3二銀……ん……」
「7六歩、どうしたの兄さん。この程度で息が切れるなんて言わないよね?」
「くはっ、おまえなあ……うあ」
「ほらほら、次の手を言って。できないなら兄さんの負けだよ」
にんまりと笑ってみせた無一郎は、また俺のものをくわえこんだ。背筋までしびれが這いあがってくる。
俺達がしているのは言葉だけで試合を進めていく脳内将棋。頭の中の将棋盤で駒を進めていくしかない。問題は無一郎が俺の股間に陣取り、傍若無人に責め立て妨害してくることだ。鈴口に舌を這わせ、緩急をつけてすりあげる。こいつ本気で俺をイかそうとしてるな。もちろんそうなっても、俺の負け、だ。きっかけは一週間前の大会。
終わった後、キメツ学園の俺の寮へやってきた無一郎は、いつものようにシャワーを浴びて、いつものように俺の布団へ潜り込み、いつものように俺へ抱き着いてさんざん誘惑した挙句、蠱惑的な声で囁いたのだ。
「兄さん、今日からしばらくおあずけ」
「なんだ急に」
既に戦闘態勢に入っていた自分をなだめすかし、俺は無一郎の言を待った。無一郎はにこにこしている。こういう時の弟は怖い。素直に従った方がいいと長年の経験で知っている。
「今日、自分より格下に負けていたよね」
「う」
それを言われると返す言葉もない。直前に無一郎がトイレで迫ってきて動揺していたなど、言い訳にもならない。勝負の世界には勝ちと負けしかないのだ。そして俺はかなりのつく惨敗だった。無一郎に思う所があってもおかしくない。
「だから『特訓』が必要なんじゃないかと思って」
「そうだな。明日から気を引き締めて頑張る。負け試合の分析とそれから……」
「だめ、明日じゃなくて今日から」
注ぎこまれる声音は変わらず俺を煽るトーン。自分の中心がずくりと反応する。
「……あそこで飛車を前に出し過ぎたよね。桂馬が来るってわかってたんじゃないの? 兄さんらしくないよ、やらしいくらいベタベタした守りが兄さんの強みなのに」
耳たぶを甘噛みされ、俺はつい声をあげた。
「一週間後に成果を確認しにくるから、それまでおあずけ。あ、もちろんオナ禁もだからね」
「おまえな、うら若き青少年にそれを強いるか」
「だってあの程度の誘惑で揺れる兄さんが悪いんだよ」
でた。無一郎の俺が悪い理論。無一郎が悪いと言ったら悪いのだ。無一郎がそうと言ったら、カラスは白いし、ポストは青いのだ。怒らせて拗ねた無一郎はこの世で一番面倒くさい。
「あ、でも僕は満足させてね」
などとぬかしやがった無一郎は、さんざん俺に奉仕させてごきげんで帰っていった。残された俺は体中が熱くほてり、頭の中はぐじゃぐじゃで、徹夜するはめになったことを言い添えておこう。
あれから七日、律儀に約束を守りながら将棋の勉強をしていた俺の前に無一郎は現れた。
「じゃあズボンおろして」
第一声がそれだった。
「おい、何する気なんだ?」
「なにって『特訓』だよ。ほら、始めるから。僕が先手で、8四歩」
あっけにとられた俺の腰へ無一郎がタックルしてきて、俺は尻もちをついた。そしてなしくずしに『特訓』とやらは始まったのだった。「……はあ、一週間ぶりの兄さん」
無一郎は陶然とした瞳で俺のものに口付けた。
「先走りまで濃い。んん、おいひい……」
無一郎が夢中になっている合間に俺は頭の中をひっかきまわし、ともすれば崩れそうになる棋譜を再生して次の手を答える。
「5五歩。だいじょうぶ兄さん? だいぶ参ってるみたいだね。勝負はまだこれからなのに」
「だれの……せいで……!」
ちゅぱ。
「ぅああっ」
「んぶ、ん、にいひゃん、つぎらよ、次」
「くわえながらしゃべるなっ!」
気持ちいいだろうが! 俺は獣のように荒い息をつきながら歯を食いしばる。
「……同銀。んぐっ」
無一郎がなんの前触れもなく喉まで俺を飲み込んだ。温かくぬめつく感触が俺を迎え入れる。いきなり来た射精感をこらえるのに必死だった。頭の中は霞がかかったようにぼんやりしている。ぐちゅぐちゅぐちゅ、無一郎が頭を動かすたびに卑猥な水音が立った。
「……んぶ、なら、6五歩」
「同角」
「攻めに来たね兄さん。ん、こんなに濃いの垂れ流して白旗寸前なのに。7八玉」
「……やかましい」
そう返すので精いっぱいだった。実際は無一郎の言う通りで、俺の体は快楽に流されつつある。苦痛に耐えられる人間はいても、快楽に抗えるやつはいないと、昔何かの本で読んだ。このまま無一郎の口に出したい。頭をつかんで喉の奥まで突き入れて白く濁った欲望を叩きつけたい。
「ふふ、兄さん」
無一郎がすっと手を伸ばして服の上から俺の胸を探った。突端を見つけてカリカリと爪を立てる。
「お、おま、それ反則……!」
「長考に入るならペナルティもないとね。『特訓』だもの」
「8二王!」
ちぇ、と無一郎が手を放し口をもごもごさせた。伝わってくる感触が理性を突き崩しにかかる。
「投了しなよ兄さん。そしてふたりで一緒に気持ちよくなろう?」
「俺はこれでも棋士だからな。特におまえに負けてやるなんてごめんなんだよ」
「ひどいなあ、兄さんは」
無一郎は先走りとよだれでねとつく俺の頂点を心底愛おしそうに撫でた。電流が走るような感触。体の方が完全に屈服する前にこの脳内将棋のかたをつけなけりゃならない。俺は改めて心に決めた。無一郎は陣を敷きつつある。徹底して持久戦で俺を参らせるつもりのようだ。だがな、守備は俺のほうが得意だ。俺は攻めに転じていた駒をいったん引き上げ、王の守りを固めだした。
「ん、んぅ、7二銀」
「ええー、そうくる? 9八香」
「はぁっ、5二金」
「5九金。……本当に強情なんだから。えいっ」
かぷり。無一郎が俺の先端へ軽く歯を立てた。玉を揉みしだき、裏筋を舌先でなぞり上げる。あやうく絶頂しそうになった体をやりすごし、俺は頭の中の将棋盤に牙城を築き上げた。無一郎があからさまに不機嫌になると同時に俺への愛撫を激しくする。俺は自分の陣を少しずつ崩しながら臨機応変に無一郎の攻めの出をつぶしていく。幸いなのは無一郎自身発情しているのかいつもより格段に脇が甘くなっていることだ。
「……はぁ、は、5八歩成」
「同金。あっ」
「かかったなアホが、3六銀!」
無一郎はつんと唇を突き出し、しばらくぷるぷるふるえていたが、やがてうなだれて負けましたと呟いた。
「あーあ、せっかく兄さんに勝てると思ったのにな。わっ!」
立ち上がろうとした無一郎を強引に引き戻し、俺はそのきれいな顔を高ぶった股間へ押し付けた。
「負けたんだから当然後処理をしてくれるんだろ、無一郎?」
「ん、うん……」
オスの臭いが漂うそこで頬を先走りでべっとり濡らし、無一郎はとろんとしたまなこで俺を見上げた。
「続き、してもいいの?」
「敗者に拒否権があると思ってるのか、おまえは今から俺のオナホだ!」
俺は無一郎の頭を両手でつかみ、口内へむりやり侵入した。さんざん焦らしてくれやがって、今日は絶対に許さない。
「ん、んぶ、うん、ぅ、に、さ、はげし……」
「モノがしゃべるな。俺の好きに使われろ」
「……」
反抗するかと思った無一郎は、逆にまぶたを閉じ懸命に舌を使い始めた。俺の自分勝手な動きに合わせて吸いつきながらほおばり舌を絡めてくる。手慣れた、そして待ちわびた感触に俺はすぐに達した。望み通り無一郎の喉奥へ凶暴なまでの熱を吐き出す。
「……はぁ」
頭が真っ白になり、何も考えられない。やっと与えられた快楽にどっぷりとつかり、俺は惚けていた。ふと無一郎へ目をやると何かを味わっていた。舌の上で俺の出したものを転がしているらしい。
「無一郎、吐け。ぺっしろ」
けれど無一郎は首を振り、こくんと喉を鳴らして飲み下した。
「……はあ、濃い。ぷりっぷりの精液すごくおいしかった」
そのまま立ち上がった無一郎はベルトをはずし、下を一気に脱ぐ。無一郎の中心は既に熱く猛っていた。
「兄さん、僕、兄さんのオナホなんだろ? どこでも好きなところを使って……ねえ」
「無一郎……」
俺は弟の中心に手をかけた。それだけで無一郎は気持ちよさげに甘い声をあげた。くたりとくずおれた体を抱きとめ、背骨をなぞってやると兄さんと鼻にかかった声が耳元で聞こえる。
「しゃべるなと言っただろ?」
「……」
俺の胸に頭を預けた無一郎は、両手で自分の口をふさぎ媚びを含んだ瞳に俺を映した。無一郎の上を剥ぎ取ると、白い体につい笑みが漏れる。さあどこを使ってやろうか。
俺は無一郎を床に寝かせ、肌に手を這わせた。温かくて心地いい。つい優しいキスを送りそうになるが、それはやめておく。何故ってこれはお仕置きなのだから。
「……! …、…!」
俺が触れるたびに無一郎は背をそらせ、押し殺した悲鳴をあげる。ぎゅっと閉じた瞳からぽたりと生理的な涙があふれた。きめこまやかな肌を存分に味わった俺は胸の突端へたどり着く。乱暴につまんでやると無一郎は耐えきれず声を漏らした。
「……んっ、んん!」
「しゃべるな」
「……!」
無一郎は全身を真っ赤にしている。両の乳首を舌と指先で転がし、押しつぶし、つまみあげてぐりぐりとひっぱる。そのたびに無一郎は大げさなくらい反応した。まるで音の出ない楽器を鳴らしているようだ。無一郎の中心からも、透明な汁が絶え間なく垂れている。ははあ、さては……。
「無一郎、おまえ、声出せなくて感度が上がってるな?」
「……! ……!」
必死になって口元を押さえる無一郎。その様子が面白くて俺は長い漆黒の髪からのぞく耳を舐めあげた。
「――!」
そのまま耳朶を甘噛しながら俺は声を注ぎ込む。
「いまどんな気分だ? 悔しい? 屈辱? 嫌でたまらない?」
無一郎が小刻みに震えだした。はたと気づいた俺は無一郎の両手をつかみあげる。
「息をしろ無一郎、呼吸だ」
「……けほっ、けほけほっ」
窒息しかけていた無一郎が大きく深呼吸をする。ツンと立った胸の飾りがそれにあわせて上下した。無一郎はとろけきった瞳から涙をあふれさせながら口を開いた。
「気持ちいいよ兄さぁん……」
「なんだそれ、お仕置きしてんだぞ俺は」
俺もまたククッと喉で笑い、無一郎の頭を撫でてやる。
「少し楽になっておこうか無一郎」
「……うん」
俺達は体を重ねた。そそりたったものを重ね合わせ、兜を合わせる。
「ああっ兄さん!」
無一郎が全身で俺に抱き着いてきた。合わせた先はとろとろになっている。
「兄さん、兄さん」
「無一郎……」
二人のものを片手で握りこみ、腰を動かしてすり合わせる。そうしているうちに俺の中心も硬く太くなっていく。溢れだす我慢汁で動きはなめらかになり、快楽を求めるからだが加速していく。
「無一郎、はぁっ、おまえこんなに、パンパンにしやがって。そんなに射精したいのか?」
「うん、うん、兄さんの手で、兄さんの体でイきたい! 兄さんじゃないとやあっ!」
それを聞いた俺は自分が笑みを浮かべていることに気づいた。両足でがっちりホールドされたまま、俺は無一郎を頂点へ導いていく。
「はあっ、兄さん、も、ダメ、兄さん! ……兄さん?」
急に動きを止めた俺へ、無一郎はいぶかしげな視線を送る。
「これはお仕置きだからな。そう簡単に気持ちよくなれると思うなよ」
俺は無一郎の両足を振りほどき、腰を抱え上げた。そこはもう既にふやけきり、ひきつれるように収縮している。
「えっ、兄さん、待って」
「待たない」
「んあっ!」
我ながら意地悪な顔をしていたと思う。俺は無一郎を慣らしもせず一気に貫いた。
「あうっ、う、うぅ……!」
苦痛にゆがむ無一郎の表情はえもいわれぬ官能を誘い出す。そして俺は無一郎のイイところをあえて外して腰を揺らめかせ始めた。もどかしいのか、無一郎は体を擦り付けてくる。
「兄さん、兄さん、ねえ」
「どうした? 何してほしい?」
「もっと、こう……」
「こう?」
「手前の、こりこりしたところへ、すりつけるみたいに……」
「こうか?」
「んおおっ!!」
俺は引き抜くついでに、一度だけ御所望の場所へ亀頭を擦り付けてやった。それだけで無一郎は全身を震わせ、獣のようにあられもない声をあげる。
「に、さ……もういちど……」
「さあて、どうしようかな」
何しろこれはお仕置きなので。俺は自分の快楽だけを優先し、無一郎の官能は放っておいた。さりとて時折、リクエストに応えてやるのも忘れない。気ままに蹂躙していると、無一郎の中で欲望が膨らんで弾けそうになっていくのがよく分かった。
「にい、さ、これ以上は、おねが…おねがい……」
「何を」
「イかせてぇ! イかせてください!」
泣きながら俺に縋りつく無一郎。そうだな、そろそろ仕上げ時か。
「なら二度と今日みたいな生意気な真似はするなよ?」
「う、うん…うん…しない……しないよ。だからぁ!」
最中での約束事など信用に値しない。それくらいは俺も知っている。ただ無一郎の体に快楽を教え込み、俺なしではいられないよう刻みつけているだけだ。そうだ、無一郎。おまえには俺が最もふさわしい。その透けるような霞の肌も、感じやすいところも、おそろいで伸ばしている長い髪も、細くしなやかな肉体も、なにもかも俺のものだ。もっと俺の下であがけ。最高の瞬間をプレゼントしてやる。だからその心に俺だけを映してくれ。おまえの兄でいたい。おまえの敵になりたい。おまえの仇になりたい。おまえの友になりたい。おまえの恋人でいたい。おまえの全感情の矛先になりたい。これからも同じ時間を過ごしていけたなら。
「はあ…はあ…兄さん……はあ……」
さんざん焦らされて気絶しかけている無一郎を抱きしめ、その唇へ口付ける。やさしい、触れるだけのキスだ。無一郎は目を閉じぬくもりに酔っている。何度も触れるだけのキスをくりかえし、無一郎が落ち着いたところで奥を強めに叩く。
「はああっ!」
全身を走る感覚に耐えきれず、無一郎があえぎをあげる。それを皮切りに俺は無一郎の感じる部分をねらってうごきだした。
「あ、兄さん、に、さ、ああっ!」
無一郎が体を反り返らせ、白濁を吐き出した。一度だけで許してもらえると思うなよ、まだまだこれからだ。
「に、さん…ひ…まっ、て…んおっ、お、とまらな、んひぃ……!」
絶頂のまま高みへ肉体を縛り付け、俺は杭を打つように腰を動かす。そのひとつひとつに無一郎の体は敏感に応えた。とっくに理性を手放したのか、無一郎は焦点の合わない瞳で宙を見ている。
「……しぬぅ、しんじゃう……にいさ、あ、お……」
もう何度目かわからない絶頂。無一郎はぎりぎりまで体をそらすと、とぷり、中心から水のように薄い精液が漏らした。次の瞬間、無一郎は意識を失っていた。ぬいぐるみのようにやわらかく弛緩した体を、俺は自分の欲望のために貪り続けた。「……背中いたい」
「わーるかったって。でもいきなりおっぱじめるおまえも悪い」
「ぶうー」
腕の中で頬を膨らませる無一郎。床の上で抱き合っていると、さすがに冷えてきた。
「シャワー浴びてくる。無一郎、先に行くか?」
「あとでいいよ。ちょっと、疲れちゃった」
「ん」
俺は無一郎の体へ上着をかけてやり、風呂へ入った。
「うお、冷てえ」
湯をひねっても最初に出るのは水だ。だが霞がかかったような頭がしゃきっとしてきた。
「にーいさん」
こんこんと風呂の扉がノックされる。
「なんだよ無一郎、疲れたんじゃなかったのか」
「そのつもりだったけれど、兄さんの体を洗うくらいいいかなって」
イエスもノーも聞かずに無一郎は扉を開け、中へ入ってきた。さっそく体を洗うタオルを泡立て始める。こうなると止めても無駄なので、俺はおとなしく椅子に座った。無一郎が俺の背中を流しだした。
「兄さん、きもちいい?」
「うん」
「終わった後の兄さん、素直になるから好き」
無一郎は泡だらけの俺へ抱き着いてきた。そしてそのままなめらかな肌で俺の背を洗い始める。
「待てこら、無一郎」
「スキンシップだよスキンシップ」
兄さんもあとでしてね、などと微笑む無一郎はたいそう可愛らしく、俺は反動でつい顔をしかめた。やっぱりもうすこし言い聞かせなきゃならないようだ。……体に。