※原作終了後 再会 短い
>>上善如水のみやぎんさんの日記から何か受信しました。ありがとうございます。
黄金色の光が雲海を染めあげて、ためいきをつくほどだ。
大自然の祝福が眼前を彩る。世界はこんなにも美しいのだと、背中のぬくもりが気づかせてくれる。ささやかれた言葉に胸が熱くなっていくのを感じていたけれど、素直でないセリフが口をついた。
「連絡ひとつ寄こさずに2000年ほっつき歩いて出した結論が、それ?」
普賢の問いにその背を包んでいた伏羲は苦笑した。
「そのとおりだ普賢。2000年かけて、わしはつくづく思い知ったのだ。何も背負わぬ気楽さと孤独を」
そうとつぶやいて、普賢は背後から自分を抱きすくめる腕に触れた。小柄ながらも引き締まった大人の腕の感触は、記憶の中にある肉の薄い腕と違っていたが、変わらぬ愛着を感じる。
「もう自由なんだよ、キミは。どこにでも行けるし、どこまでだって行ける」
「人間は関係の動物だ。しがらみはわずらわしいが、なければないで寂しいものだ」
「それが僕?」
「そうだ」
「それに僕を選ぶんだね?」
「そうだとも」
伏羲が頬をすりよせてくる。そのぬくもりに、気安さに、溜めこんでいたはずの鬱憤が色を変えていく。
恨み言は芽吹く前に枯れて、濁りは晴れ、呼気が軽くなる。気がつけば胸の内は、きんと澄んだ夕焼けの黄金色。目の前をゆったりと雲の塊が横切っていく。
普賢の首筋に頭をすりつけ、伏羲がもういちどささやきかけた。
「一緒に来てくれ、普賢」
待ち望んでいた一言に、歓喜が魂を貫く。我知らず触れていた手が伏羲の腕をつかんだ。
待って、待って待って待ちわびて、もう待っていることすら忘れかけていた長い時は、今この瞬間のためだったのだと、そんな錯覚すら起こすほどに。
「……退屈させたら、帰っちゃうから」
素直でない返事はせめてもの強がり。もう魂はとうに天上へ運び去られて花園で踊っている。耳元ではじけた笑い声に身をまかせて、うっとりと閉じたまぶたの下から金に光る涙がこぼれた。
■のひと ... 2008/11/12(水)23:04 [編集・削除]
寝る前にステキな萌えを受信しました、ありがとうございました!明日は会議だ!寝るぞ!オーッ!