※普望です
※女望です
※18禁です
※明けましておめでとうございます
そろそろうっとおしくなってきたんである。
時が経つにつれ、今現在進行形なうで、太公望の中、その思いは膨らんでいる。
どうして普賢は情事の最中に、何度もたずねてくるのか。「気持ちいい?」、と。
普賢と肌を合わせるようになってそれなりに経つ。
この日も新築の白鶴洞で普賢に迎えられ、普賢の手料理を食べ、普賢のわかした風呂に入り、普賢の寝台にもぐりこんで、コトに及んだわけだ。
コツもつかんだしタイミングも読めるようになって来た。比較対象がないのでなんとも言いがたいが、まあ少なくとも気持ち悪くはない。太公望としては概ね満足しているといったところか。
しかし普賢と来たら初夜(と、言うべきだろうか)と変わらない真剣さでくりかえし聞いてくるのだ。
何事にも慎重を期す普賢らしいふるまいと笑っていられたのも最初のうち。やれここが気持ちいいかそれともこっちかとしつこいものだから、新手の言葉責めかと真剣に疑ったくらいだ。
ちなみに聞かれたときは、ああとかいいとか適当に相槌を打つことにしている。なるべく艶っぽくを心がけているが、そのうち、ううとかええとか言ってしまいそうだ。
しかし口にしたが最後、まだふたりとも道士だった頃に普賢が寝ずにまとめたレポートを、誤って太公望が古紙回収に出した時のように押入れの奥に引きこもってしまうに違いない。
いまや一山の洞主となり近々十二仙の一翼にと、噂されている気鋭の新人がそんなことになっては色々と差し障りも出るだろう。
何よりふたりだけの甘いひと時のはずが、最近なんとなく気疲れするようになってきたというのは実にいただけない。
「…望ちゃん、どうしたの?」
我に返ると目と鼻の先に普賢の顔があった。瞳が潤んでいるのは、たぶん情事の悦びによるものではあるまい。
「ひょっとして、よくなかった?ごめんね、ごめんねっ」
「あ、いや…とりあえず落ち着け」
ハの字眉のまま謝りだした普賢を前に太公望はこめかみを押さえた。目指すところはきっと同じはずなのに、どうもボタンを掛け違えている気がする。
大事の前の小事という。ならボヤのうちに火消しをしておくのが賢明というものだろう。太公望は覚悟を決めて普賢と向き合った。
「前々から思っていたのだが」
「なに?」
「おぬし何故そんなにわしの反応を気にするのだ?」
「えっと、どういうこと?」
「気持ちいいか気持ちいいかとしつこく聞いてくるのは何故だ」
「だ、だって、それは…だってこれは、好きな人とすることだから。好きな人には、やっぱり気持ちよくなってほしい。でも望ちゃんは女の子だから、僕にはどこをどうしたらいいのかイマイチつかめなくて…」
「そうはいってもだな、わしとおぬしが深い仲になってそろそろ半年だぞ。こう、大体わかってこぬか?」
無言のまま普賢は視線をそらした。
海より深い沈黙が落ちる。
その重い雰囲気の中で普賢はぼそりとつぶやいた。「だって…望ちゃんマグロだから…」
「誰がマグロかー!」
えてして図星を突かれた人間は逆上するものである。
「だ、だってだって、望ちゃんいつも寝転がってるだけじゃん!返事だってあーとかいーとかうーだし。反応もおとなしいし。もっとこう、求められてるって感じ、わかる?それがないんだよ!」
「うーはまだ言っとらん!はずだ!あと、マグロではないぞ!だがな、わしにも恥じらいっちゅーもんが辛うじて残っておるのだ!花も恥らう乙女が黄表紙みたいな喘ぎ声なんぞ出せるかボケッ!」
勢いに任せて口走り、ふたりは肩で息をする。
そのままお互いの出方を探るように視線を交わしていたが、ふっと普賢が目を伏せた。
「望ちゃんはさ、僕の作ったごはんを食べるとき、おいしいおいしいってほんとにおいしそうに食べてくれるけど、嫌いなものが出たときはあからさまに無口になるんだよね」
太公望は唇を引き結んだ。これまた自覚があるのでぐうの音も出ない。
「料理ならさ、今までの経験で望ちゃんの好みは知ってるけど、閨でのことはまだ僕何も知らない気がするんだ」
訴えかけるまなざしはこれまでになく真剣で、つまりそれだけ普賢は太公望のことを想ってくれているのだと。そういえば目は口ほどにものを言うと、昔の偉い人が言っていたな。
太公望は肩の力を抜いて薄く笑った。
ああそうだ。目指すところは変わらないのだ。
愛しい人と一つになりたい。甘く濃密な時間を過ごしたい。それだけなのだ。
「普賢」
太公望はそっと手を伸ばし普賢の頭を胸元に抱き寄せた。
「噛んでくれ」
「えっ」
突然のことに普賢が驚いて太公望を見上げる。
「いやなに、優しく優しくされるのも嫌いではないが、少しくらいきつくされるのもわしは好きなのだ」
「でも、痛くない?」
「度を越すと痛いのは確かだの。甘噛みの仕方をまず覚えてもらおう。やってくれるか普賢?」
「…うん」
頬を上気させて普賢は太公望の乳房に吸い付いた。ちうと音を立て、前歯でくすぐるようにやわらかな乳房の突端を愛撫する。
「ん…ふ、なかなかいい…。ああ、もっと強くかんでもかまわん、ぞ」
太公望は普賢の頭を抱きしめて、一味違う快楽をむさぼる。身体の奥が切なくて自然と腰がくねってしまう。
最初はおずおずと愛撫していた普賢も、次第に大胆にぬちゃぬちゃと卑猥な水音すら立ててたわわな白桃にかぶりついていた。
「ん、普賢。いい…!」
「んぶ、んぅ…んー…!」
気がつけば乳房への愛撫だけで恥部はしとど濡れていた。あふれだした愛液がふとももをねっとりとつたわり幾筋ものぬめったあとを残す。
腹の奥、男を迎え入れる部分がわなないて次の刺激を今か今かと待ち望んでいる。
「普賢、仰向けになれ」
夢中で太公望の胸に吸い付いていた普賢の額をつつくと、ぼんやりと視線の定まらない紫紺の瞳が太公望を見上げた。その無防備な様にこみあげてくる愛欲のままに太公望は普賢を押し倒した。
すでにギリギリまではりつめているそこを両手を使ってしごきあげる。
「あ、ああっ!ダメだよ望ちゃん…ダメっ!」
「気持ちいいのだろう?素直に悦んでおけ」
「ん…く、う、んひいっ…!」
手のひらの中で更に硬さを増していく感触を楽しみ、太公望は愛撫をやめ普賢の上に馬乗りになった。
既にたっぷりと蜜を孕んだ肉壷を普賢自身にあてがうと、一気に飲みこんだ。
「……っ!」
さすがに一息はきつかった。中を割り裂いて進入してきた普賢の質量に翻弄されかける。
太公望は呼吸を整え、身体が落ち着くのを待った。
「…望ちゃぁん」
「なんだ」
泣き出しそうな声が太公望に届く。
「僕、もう限界だよ…」
「気合だ」
にべなく言い捨てると太公望はにっと笑った。
「何、わしが達するまでの辛抱だ。できるであろう?」
普賢は自信なさげにうやうやと口の中でつぶやいている。そんなところもかわいいと思う自分は相当末期だと思いながら、腰を揺すりはじめた。
思えば自分は今まで普賢に体のことをほとんど伝えてこなかった気がする。メシもセックスも生物として重要な行為、ならばメシにこだわるようにセックスにこだわってもおかしくはない。
幸運にも、後にもそしてきっと先にも出会えないだろう人と巡りあえたのだし、ふたりだけでふたりだけのふたりにしか見つけられない場所へたどりつくのも楽しいだろう。
いや、楽しいに決まってる。
「望ちゃん…!」
「どうした普賢」
「もうだめ。もう無理だよ…気持ちいいよ、あ、あ…」
「普賢」
太公望は普賢の額にキスをして、交わりを更に深くした。一番奥の狭く熱い部分を普賢の先端に押し付ける。小さな悲鳴が普賢ののどから漏れた。
「覚えておけ普賢…、わしはな、ここが特に…ん…好きなのだ」
「ん、望ちゃん、ここだね…ここ…」
「そうだ、んあ、しっかり…覚えておけよ…ふっ。ああもっと…ついて、ついて、そう…そこ、いい、気持ちいい…!」
「望ちゃん…!望ちゃん、望ちゃん、望ちゃん…!」
「んあっ、あ、はあっ…あ、あ…いい、いくぞ、ほら出せ、中出ししろ…!」
「あ、望ちゃん、望ちゃあん……!」
最奥にあふれだした白濁の熱と量に、太公望も一気に高みへ押し上げられた。これまでにない充足感、心地よい疲労感が身体を包む。
汗まみれの普賢を抱きしめ、癖毛だらけの頭をなでているとなんともいえない満ち足りた気分になった。それは普賢も同じようで、赤子のように安らかな表情で太公望に体を預けている。
ふと料理のことが頭をかすめた。
黙っていては、確かにうまいもまずいもない。同じ味付けの同じ料理が出されるだけだ。だから注文を付ける。これはうまかった、それはまずかった、あれが食べたい、これも食べたい。
普賢はいつだって嫌な顔一つしなかったし、むしろ太公望の批評を非常に参考にしていた。
なんだ夜の方も、そうすればよかったのだ。
この聖人君子と名高い普賢を、自分好みの床上手にしたてあげる。
しかも恩恵に浴するのは自分だけ。想像しただけでぞくぞくして来た。
人差し指で普賢の唇を撫でると、小首を傾げられた。
「普賢よ」
「なに?」
「明日からは、おぬしが気持ちいいかと聞かれる番だぞ」
覚悟しておけよと、太公望はひとりほくそ笑むのだった。
■ノヒト ... 2011/01/11(火)00:15 [編集・削除]
当サイトにおける望普と普望の違いはどっちが突っ込む側かという機械的な分類に則っております。悪しからずご了承ください。