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SS~後宮猫 伍

 
>60分以内に7RTされたら後宮パロで頭を撫でる太公望を描きましょう。
 
の、つづきのつづきのつづきのつづき。
 
「皇帝は北辰の如く唯一」
 
※18禁 ふーたん女の子注意
※口調変更有り
※いろいろ捏造
 
続き
 
 

 
 
 遠い昔の出来事が色鮮やかに蘇る。
 森に続く小さな野原の中、その少年はうずくまり眠っていた。露に濡れた横顔が、ひどく哀しげだったから、大人達の禁忌を忘れて普賢はつい手を伸ばしてしまったのだ。
 ふいに過去の残像は消え、普賢の意識は現実に引き戻された。左肩の冷たい感触に心臓が跳ねあがる。
 伏羲が泣いていた。歯を食いしばり、こみあげる嗚咽を必死にこらえ、その腕に普賢を抱きつぶさんばかりの力をこめて。
 息が苦しい、けれど普賢は抗わずただそっと名を呼んだ。全身を戒める力が和らぎ呼吸が軽くなる。黒衣に包まれた背が大きく上下し、呼気を幾度も呑んでいる。普賢は辛抱強く伏羲が落ち着くのを待った。
 すがりつくようだった腕がやがて添えられるだけになった頃、伏羲の口が開いた。
「皇帝は北辰の如く唯一、故に先帝もその前も、我らは代々、帝位継承者同士で殺しあい続けてきた。そうせねば自分が寝首をかかれるのだ。
 だが、わしのごとき、ただ帝の子に生まれついただけの者よりも、兄でありそして真に民をこの国を、強く豊かにならしめる手腕を持つ太公望こそが帝位にふさわしいのではないかと、わしは、ずっと……」
 普賢を抱きしめる腕にまた力がこめられた、すがるように。普賢は伏羲の背を包みその肩に頭を預ける。
「大樹に、なるのではなかったの?」
 伏羲が揺れた。
「皇帝は樹、その腕に何を留めるかがキミの器。ならば鷹から目をそらさないで。例え玉座への道が血なまぐさくとも、北辰の冠を授けると天が定めたのは他ならぬキミなのだと、僕はそう思うよ」
 身を引き、目を見開いた伏羲にやわらかく笑いかけると普賢は続けた。
「太公望はただの他人の空似、先帝の御落胤だなんてきっと元始天尊の作り事だよ。だって、僕は彼を知ってる。
 太公望は望ちゃんだよ、間違いない。大火事に巻き込まれた僕の幼なじみだ、顔を見たらすぐにわかった。彼の姓は呂、名は望、羌族の出だ。僕は彼の両親も知ってる。望ちゃん、太公望はキミの兄弟ではない」
 普賢がはっきり言いきると、朝焼けの色の瞳がとまどいに揺れた。ゆっくりと焦点を普賢に合わせ、ゆるゆると笑みに染まる。その色は安堵に似ていた。
「普賢」
「わっ」
 きつく抱きすくめられ、普賢は今度こそ息が止まるかと思った。すぐに両腕は解かれ、細い体が伏羲のひざの上に抱き上げられる。
「猫は猫でも福猫だったのだな、おぬしは。どのような縁がおぬしをわしの元へ導いたのだ。それとも冥府の母上に言付を頼まれたのか、小遣いはたっぷりもらったか? でなくば言え、代わりに用立ててやろう」
「もう、伏羲ったら」
 動揺を隠すように軽口を叩く彼のほうがよっぽど猫のようだ。そう思いながらひざの上で大人しくしていると、皇帝の冠がずれてしまっているのが目に入った。斜めに揺れる飾り石にも気づかない伏羲の様子が、太公望の存在がどれだけ重いかを普賢に知らしめた。
 一声かけ、手を伸ばして冠のずれを正してやる。その腕を伏羲の手が捉えた。もの言いたげな視線が普賢へと注がれる。その意味と、自分の服装を天秤にかけ、普賢はあわてて伏羲の手を振りほどこうとする。だが力の差を前に望みは儚く破れた。
「待って伏羲、その…声がもれるかもしれないよ」
「待たぬ」
「けど」
「今はたまらなくおぬしが欲しい」
 抗う暇もなく押し倒され、強引に帯をほどかれながら深く口付けられた。舌をねじ込まれ口内をまさぐられる。普段とは違う激しい接吻に気が遠くなりかけた、その時、軽く吹きだす音が聞こえた。
「……なんだこれは?」
 ふっくらと女性らしいラインを形作っていた胸元が暴かれ、中に詰まっていた綿がずるずる引きずり出される。普賢の顔が別の意味の羞恥に染まった。 
「だから嫌だったんだよ…!」
「何、狐狸の類とて着付けや化粧をするのだ。猫がしたとて何か問題があろうか。くく、化けの皮をひんむくのも楽しいものだな」
「ちょっと……!」
 その時、箱車を包んでいた謡が低くなめらかな響きに変わった。伏羲の手が止まる。
「時間切れか、つまらんのう」
 魔の手から抜け出した普賢は急いで散らばる綿をかき集め服を整えようとしたが、時既に遅し。手練れの女官による豪華な着付けは無残に乱され、普賢だけでは飾り結びひとつ戻すことができない。あっちをひっぱりこっちを畳みしているうちに、呆れたように伏羲が言った。
「一度脱いでしまえ。扱いきれぬものは隅に置いておけばよい、わしとわしの猫の間にくちばしをつっこむものなどおらぬわ」
 それが嫌なんだといったところでわかってもらえそうにない。
 普賢は諦め、伏羲に背を向け隅で一度すべて脱ぎ落とした。何枚もの長衣を結局着こなせず、表着だけ羽織って帯を締める。簡素な着付けに贅を凝らした衣装が素朴な雰囲気に戻ってしまった。
「終わったか」
「うん。ごめんなさい、僕きちんとした着付けができなくて……」
「よい、そのほうが似合っている」
 伏羲は優しく微笑み、椀の近くにあった鈴を鳴らす。謡の音が止み、二人の前でするすると御簾があがっていった。
 
 
>>そのうち
 

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■ノヒト ... 2012/03/05(月)00:15 [編集・削除]

これはどこまで続くのか誰か私に教えてください。

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