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バサーカーズフロント・EVAver
銀河繁種船アヤナミ2015 外伝

アタシの名はアスカ
by kouji.saiki 20021206


天の川銀河、ペルセウス碗に広がった人類に、
襲いかかった未曾有の惨劇、未知の文明の残した自動殺戮機械達
前宇宙時代の作家に因んで、人々はそれをバサーカーと呼ぶ・・・

そして、無尽蔵に襲撃する、バサーカー達と人類の衝突は、人類の一方的な負け戦と化した・・・

苦肉の策で、バサーカーの猛威に天の川銀河を捨てる道を選んだ人類は、
銀河繁種船に己をデータとして託し、歴史や架空の話から
構成されたペルソナたちに己が運命を掛けた・・・

アタシは”アスカ”、9989隻建造された、見た目、おたまじゃくしとも、
精子に似てるとも言われる、汎銀河繁種船アヤナミシリーズの
第2015号艦の戦闘パートのペルソナ(擬似人格)だ、同僚の躁艦パート
”レイ”、維持管理パート”シンジ”と共に1億の人々のパーソナルを
託されている・・・アタシ達は基本人格に、ウェブ上から掬い上げられた、
アニメの二次ストーリーから揺らぎを与えられ、同じ名前でも各艦ごとに
微妙に違う者として振舞う・・・

まあ、そんな事は後生の歴史家にでも語ってもらえばいい・・・
いま、アタシ達は生死を掛けるレベルでたいへん忙しいから・・・

アタシ達は日系の惑星で、人々のパーソナルを積み込んで旅立つ寸前だった・・・
惑星の周りを囲む仮想戦記版ヤマト系列戦闘惑星艦が重力を軽減しながら、
護衛してくれていたところへ、
バサーカーの惑星サイズ戦闘母艦、サイレンの魔女が襲いかかったのだ・・・

一瞬の内に惑星周辺は修羅場と化す、特攻するアニメ版ヤマト系列艦、惑星上に幾つもの
紅蓮の炎が上がる、岩盤プレートが軋み、吹き出たマグマが、いままで何十億という
人々が暮らしていた都市を埋没させていく・・・

倒壊する衛星エレベーター、被弾する同僚のアヤナミシリーズ・・・
アタシ達は、被弾した同僚艦から、かけがえの無いパーソナルデータを受け取りながら
超光速航法へ突入出来る空域を求め遁走する・・・被弾した僚艦はアタシ達の盾になりながら
最後までデータを送り続ける、足りなくなるデータ領域、アタシ達は与えられた個人データ領域
やがては、大事な思い出や航法データさえ捨てながらそれを受け取り続ける・・・

もうアタシには、昨日レイやシンジと交わした業務連絡さえ思い出せない・・・

それでもアタシ達は諦めない、
レイがビームを避けるように躁艦し、シンジがダメージコントロールを受け持つ、
そしてアタシが、貧弱な武装を振りかざして、奴らの機動宙雷を打ち落とし、白兵兵器を粉砕する・・・

「・・・方位133、マーク601・・・進路上に障害・・・アスカ打ち落として・・・」
「言われなくてもやってるわよ、
あたし達にはろくな武装が無いのよ、だめ!間に合わない避けて、レイ!・・・」
「対アステロイド、リアクティブアーマー起動、レイ、アスカ、振動に備えて」

船体の一部が自らを破壊しながら、あたりへ破片をばら撒く・・・
上手い、シンジ!、座布団一つ上げるわ・・・
ちょうど分離しようとしていた、バサーカーの白兵弾が直撃を受けた・・・

でも、無数の破片、蜘蛛型のマイクロバサーカーが、青白いプラズマ炎を
噴出しながらアタシ達の艦に向かう・・・ちいっ!艦載砲の死角に取り付いた・・・

「ぐううっ、潜り込まれた、アスカ、頼む・・・」
「・・・シンジの奴、アタシの仕事を増やしやがって・・・」

シンジが苦し紛れに、最小単位のリアクティブアーマーを起動するが、それは
虚しく宙へ破片をばら撒くだけに終わる・・・さっきのは取消し、やっぱりシンジは
戦闘には役に立たない、艦内に潜り込んだ蜘蛛型のマイクロバサーカーが辺りを破壊しながら、
艦内中核へと進む・・・アタシは艦内に配置された、サイバー・ナノ・ペーストで、無数の戦闘体を組立てる。

戦闘体・・・朱色のプラグスーツに包まれた、アニメそのままの無数のアタシが、
蜘蛛型の奴らに飛びかかり手刀を振るい、奴らのケーブルを引きずり出す・・・

片腕をもがれたアタシが、蜘蛛の足にしがみついて動きを止め、腹を抉られた
アタシが歯で蜘蛛の内臓チップを引き出す・・・艦内では、無数のアタシが繰り広げる、
阿鼻叫喚の地獄絵図が出現する・・・がんばって無数のアタシ、アスカの名を冠する者達・・・

無数の自分が傷つき倒れるのを、その中心になって操る、こんな事はレイやシンジには出来ない
戦闘を司るアタシだから出来る事だ・・・アタシが倒れるたびに、その中心に居るアタシの
心も傷ついて行くような気がする・・・
もしそうだとしても辞める気は無い、それがアタシの存在理由だから・・・

激しくなる艦内戦闘のさなか、被弾しアタシ達の盾になっていた僚艦が”さよなら”を最後に爆散する・・・
一瞬の内にプラズマの雲となって、まだ送られていなかったデータ、アタシ達を信じて託された
数千人の人達のパーソナルが失われた・・・彼らは二度と帰ってこない・・・すなわち、死・・・
そのプラズマの雲を突き抜けて、バサーカのバトルシップがアタシ達に迫る・・・・

絶望に駆られながらも、アタシ達は必死で距離を置こうと試みる・・・
アタシ達が一隻失われる毎に、1億の人々が文字通り無に帰るのだ・・・

アタシ達を逃がすため、ぼろぼろになった映画版ナデシコ系列モーラ艦がバサーカのバトルシップに
肉薄し突き刺さる・・・双方10キロを越える艦殻が誘爆によって爆散する・・・

「・・・重力波の波間の凪を使って無理やり、超光速航法に移行するわ・・・」
「レイあんた、そんな事をして、アタシ達に命託してくれた人に責任おえるの?」
「無茶だよレイ、せめて応急修理を済ませてから・・・」

レイがほとんど非常識な行動を宣言する、かなりリスクが伴う方法だ・・・
もちろんアタシとシンジは反対する、アタシはまだバサーカの蜘蛛どもを殲滅出来て無いし・・・
シンジも蜘蛛どもに、やられた箇所の修理に奔走してるからだ・・・

「・・・でも、いまじゃないと逃げられない・・・」

レイが、シンジとアタシに宙域のデータを転送した・・・
確かにレイの言う通り、今しか無いかもしれない・・・

データには、バサーカーのガス巨星サイズの超巨大戦闘母艦、スーパーサイレンと
無数の惑星サイズ戦闘母艦、サイレンの魔女が、戦場へ介入しようと移動するのが写る・・・

「仕方ないわね・・・蜘蛛どもは一時的でも押さえるわ・・・レイ」
「僕の方も、機関部の方を優先するよ」

アタシとシンジのフォログラフがレイに頷く・・・
本来姿を見せて相談する必要の無いアタシ達だが、
ペルソナは誰でも、フォログラフにこだわり自分の個を演出しようとする・・・
結局、アタシ達は1億数千の命をチップに、レイの掛けに乗った・・・

そしてアタシ達の艦は、レイの神業の躁艦で、重力波の波間の凪を利用するのに成功した・・・

丸い艦首に、チャレンコフ放電の青白い輪が、
拡散せずに無事広がり・・・それが、後ろへ伸びる長い艦尾へ向けて広がっていく・・・

「・・・無事、C++超光速航法に乗ったわ・・・」

日ごろ無表情なレイが、嬉しそうに私達に囁く・・・

結局、アタシ達はバサーカーの白兵兵器を抱えたまま、
C++超光速航法へ突入する羽目になってしまった・・・
艦内では、まだ、無数のアタシと蜘蛛どもとの戦闘音が響き続ける・・・

アタシ達の目的地はマゼラン星雲・・・到着は3千年後の予定・・・


at that point the story comes to an abrupt end.....



-後書-

”帰ってきたアス旗chat”でチャットしたその晩
アスカ様が夢に出て来てこうおっしゃった
「いいこと、”アスカの旗の下に”へ私の話を投稿するのよ、
これは決定事項、逆らうことは許さないわ、もし断ると夜な夜な夢で虐めるわよ」
かくして私はこの短編を、書く事になってしまった(苦笑、もちろん冗談です)

私のCG以外の始めての投稿作品です、多少なりとも気に行っていただけると幸いです。

バサーカー、正しくはバーサーカーですがあえてこう表現してます
PC8801〜PC9801のMS−DOS時代スタジオK2で
製作していたSLGの設定を使っています、ですから正確にはEVA
小説じゃないかもしれません、なお本編はいまだ書いてません(2002/12/6現在)


ご注意!:新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAXの作品です。


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