あ、プロデューサーさん。ちょっと待ってください。
……じゃーん!
今日は、いつも栄養の偏っているプロデューサーさんのためにお弁当を作ってきました!
私だって、お菓子ばっかり作ってるわけじゃないんですよ?
ほら、この前、事務所でみんなとと玉子焼きの話になったじゃないですか。甘いのがいい、いや甘くないのがいい、って。
その時、プロデューサーさんが「ほんのり甘いくらいがいい」って言ってたの、私、ちゃんと覚えてるんですよ?
だから、そのほんのり甘い玉子焼きにチャレンジしてみたんです!
お菓子作りもいいけれど、これからは普通の料理にも少しずつチャレンジしていこうかなあ、って思ってたところなので、まずは玉子焼きくらいがちょうどいいかなって。
そうそう、それです。
ちょっと焦げ目が付きすぎちゃいましたけど、味は保証します。ばっちりです!
……どうです? プロデューサーさん。
……あ、あれ? どうしたんですか? 黙っちゃって。おいしくなかったですか?
え? しょっぱい?
うそっ!
ちょっとくださいね……むぐ……むっ。
うぅ……本当にしょっぱいですね。
なんで? どうして?
……まさか、砂糖と塩を間違えた?
いやいや、いくら私だって砂糖と塩を間違えるなんて。いくら似てるって言っても、間違えるほど似てるわけじゃないし。
でも、現に玉子焼きはしょっぱいし……。
うう……すいません、プロデューサーさん。私、やっぱりどう考えても砂糖と塩を間違えて入れてますよね。
味見は、しませんでした。
プロデューサーさんのために作ったものだから、プロデューサーさんに全部食べてほしくて……。
せっかく、プロデューサーさんのために張り切って作ったのに、何もこんなところでドジをしなくても……。
ああっ、プロデューサーさん。その玉子焼きは失敗作ですから食べないでください……え? 春香らしくておいしい?
私らしい、ってどういうことですか。
ええ、そうですよ。甘いのとしょっぱいのを間違っちゃった、ドジっこ玉子焼きですよーだ。
そんな、いまさら慰められたって、私、そう簡単に立ち直ったりしませんよ?
「次も期待してるから」
そんなこと言われたって……次? ですか?
あ、はい!
次こそは絶対に、ほんのり甘い玉子焼きを作って来ます!
ちゃんと味見もしますね。
だから、次も必ず食べてくださいね。プロデューサーさん。