四葉はイギリスから来ました! その訳はモチロン、兄チャマをチェキするためデス! でも……実はもう一つ理由があるんデス……。
 それは……


美少女怪盗クローバー
clover2 『ライバル現る!?』

 ボーン、ボーン……
 時計が9時を刻みマシタ。そろそろデスネ……。さあ、美少女怪盗クローバーの時間デス!

「ドレスアップ!」

 説明するデス! 「ドレスアップ」の掛け声と共にこのクローバーアイをかける事によって、四葉は一瞬にして美少女怪盗クローバーに変身することが出来るのデス!

「それじゃ、今日もチェキっと行くデスよ!」

***

「相変わらずの警備デスねぇ」

 程なくして美術館に着いた四葉は、側に立っている大きな木の上から外の様子を眺めていたところで……あ、兄チャマ発見! 本当に来ちゃったデスか……。とにかく兄チャマには見つからないようにしなければ……。

 それでは、お仕事スタートなのデス!

 まずは裏口から進入、っと。警備は2人デスか。あの警部さんももうちょっと学習した方がいいんじゃないデスかねー。この程度じゃ美少女怪盗クローバーは妨げられないですよー。このクローバー印のカレイドスコープのスイッチを押せば、

ポンッ!

「!?」
「なんだか急に眠気が……」

バタッ

 クフフフフッ♪ ざっとこんなもんデス♪

Sleep in peace♪」

 さてここからが本番デスよ。ちょっと制服借りマスね♪ さあ、チェキっと行くデスよ!
 そうしてたどり着いたのは制御室前。まずは、照明を抑えマス。

コンコン

「はい、どなたですか」
「交代の時間デスよ」
「ああ、もうそんな時間か。今、開けるよ」

 今デス! さっきの誘眠玉をコロコロコロー。ポンッ。たちまち立ち上る白い煙、パタパタ倒れる人の陰。ごめんなさいデスけど、ちょーっと眠っててもらいマス♪ ちょこっと仕掛けをして時計を見ると9:55。四葉はターゲットのある場所まで近づいて行きました。そして、時間を見計らって……

「大変デス、警部!」
「どうした!」

 ゴーン、ゴーン。時計が10時の鐘の音を響かせマス。スイッチオン!

ガシャッ

 急に訪れる闇。素早く絵の近くにいる警官の一人眠らせをマス。ごめん! デス。

「な、なんだっ!」
「落ち着け! 明かりだ、明かりをよこせ!」
「け、警部! 何者かが……うわぁ!」
「おい! どうした!」

 複数の懐中電灯で照らされた場所には、倒れた一人の警官と何もない壁、いや「確かに頂きマシタ 美少女怪盗クローバー」と書かれたカードがあるだけデス。

「なっ、そんなばかな! いつのまに!」

 四葉はすかさず2番目のスイッチを押しました。するとスピーカーから聞こえてきたのは……

「ハッハッハッ、美少女怪盗クローバー参上デス!」
「どこだ! 姿を現せ! 美少女怪盗クローバー!」
「フフフ、どこを見ているのデスか? 私はここデスよ」

 一人の警官が慌てて館内に入ってきてこう告げマシタ。

「警部、外です! 空に逃げられました!」

 クフフフフゥ♪ 既に3つめのスイッチが作動中なのです♪ 空にはクローバーマークのハングライダーが飛んでるはずデス。でもそれには美少女怪盗クローバーは乗っていないんですけどネ♪

「くそっ! 追え、追うんだ!」

 怒号が飛び交い警察たちは外へと消えていきました。やれやれ、相変わらずな人たちですねぇ。ま、その方が四葉もやりやすいというものデス。ルパンもこんなこと思いながら盗みを働いていたのでしょうか?
 四葉は着ていた制服を脱ぎ捨てると絵のあった方へ近づいていきました。

「単純なトリックなんですけどネ」

 四葉が壁を剥ぐとそこに現われたのは『サーカスのある風景』。照明が消えた瞬間、用意してあった壁紙を被せただけなんデス。だから今剥いだのは只の壁紙なんデス♪ 
 さてと、この絵は頂いて行きマス!

 絵をワキに抱えて再び裏口から脱出。もうすっかり辺りに人影はないデスねぇ。と、意気揚々と帰ろうとした四葉の前に何者かが! やや! まだ警官が残ってたデスか!? そう思って、その人影をよく見ると……

「うわぁ! 美少女怪盗クローバー!?」
「あ、あに……じゃなかった。あなたは誰デスか!」

 うわぁ、いつもはとってもとーっても会いたいはずの、でも今日この時ばかりは避けたかった四葉の大好きな兄チャマだったのデス!

「ぼ、僕は……その……。そう、スペード。悪を裁く剣、名探偵スペードだ!」
「名探偵スペード……。ならば私も名乗ろう。この世の闇を叩き潰す者、それがこの私、美少女怪盗クローバー!」

 きまったデス! フフン♪

「さて、名探偵スペード。なぜキミはこの私がここにいるとわかったのかね」
「それは、あのハンググライダーさ。人が乗ってるにしては動きが軽すぎる気がしたんだ」
「失礼な。私はそんなに重くないデスよ。まあとにかく、そこを退いてもらいマス」
「そうはいかない。その絵はここに置いていってもらう」
「仕方ないデスね……」

 兄チャマの声が上ずってるのが、ここからでもハッキリ分かりマス。そして、懐からクローバーカードを取り出して、兄チャマの足元目めがけシュートッ! 地面に突き刺さったカードからは強烈なフラッシュが!

「うわっ! 眩しい……」
「フフフフッ……」

 この隙に兄チャマを跳び越えてササッとエスケープなのデス! 

「グッバイ! 名探偵スペード!」
「待て! 美少女怪盗クローバー! ……くっ、目が……」

 ……ゴメンなさいデス、兄チャマ。でもコレは、兄チャマにも言えないトップシークレットなので……。だから今はまだガマンしてクダサイ。いつかきっと言えるときが来るとイイな……。

***

「……昨夜未明、美少女怪盗クローバーによって星見美術館から盗まれた『サーカスのある風景』を、自分が描いたと主張する者が現れました。この男性は盗まれたはずの『サーカスのある風景』を所持しており、またこの件について鑑定がすでに始まって……」

「美少女怪盗クローバー……。今度こそ捕まえてみせる!」
「兄チャマ、そういうのは警察に任せた方がいいんじゃないデスか?」

 今日は兄チャマとデートしてきたのデス♪ クフフフフゥ、四葉は兄チャマとデートしてきマシター! って叫んじゃいたいくらいハッピーでした!
 そして今は四葉のお家で一休み。その時、テレビから聞こえてきたのは、またまた美少女怪盗クローバーの話題。

「いや、な。この間、美少女怪盗クローバーを見に行く、って話しただろ?」
「そうデシタっけ……?」
「うん、そうなんだけど。で、会ったんだよ! 美少女怪盗クローバーに!」
「本当デスか!?」
「結局さ、まんまと逃げられちゃったんだけど……。でも、必ず捕まえるんだ」
「兄チャマ、危ないですからやめてクダサイ……」
「ありがと、四葉。でも、何か感じるものがあるんだよ、美少女怪盗クローバーには」

 ギクッ! もしかして兄チャマ、美少女怪盗クローバーの正体に気付いちゃったデスか!? 

「それがなんなのかは分からないけど、彼女には盗みをやめさせなきゃいけない気がするんだ」

 兄チャマ……。四葉、胸が痛いデス……。でも、四葉が兄チャマの側にいるにもやめるわけにはいかないんデス! だから、四葉は、いや美少女怪盗クローバーは、名探偵スペードには負けるわけには行きマセン! 兄チャマ、これからもお覚悟してクダサイ!
 そして、美少女怪盗クローバーはまだまだこの世の闇を盗ませて頂きマス!

〜Fin〜………?

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