【誕生日は二人分】

「ヒナヒナヒーナの誕生日♪ 明日はヒーナの誕生日♪」

 くししししっ♪ あのね、明日はヒナの誕生日なんだよ。それでね、おにいたまが来てくれるの♪ おにいたまがね、「雛子、ケーキはどんなのがいい?」って聞くから、ヒナはちょっと考えちゃった。だってね、美味しいケーキがたっくさんあるからどうしても迷っちゃうの。うーんと……チョコレートのケーキもいいし……あっ! フルーツがたっくさん載ってるのも甘くて酸っぱくてとっても美味しいよね♪ うーん、でもやっぱり美味しいイチゴがたっくさん入ったショートケーキがいいなっ♪

 だからヒナ、イチゴのショートケーキをおにいたまに頼んだんだ♪ もう、ヒナすっごく楽しみ♪ おにいたまが買ってくるケーキはすっごくすっごく美味しくて、おにいたまと一緒に食べるともっと美味しくて……なんかもう、ヒナ勝手にお顔がニコニコしてきちゃうよ♪

「明日おにいたまが来るの、とっても楽しみだね、ココちゃん♪」

 ……ありり? ヒナ、ちょっと気がついちゃった。そういえば今まで、ココちゃんのお誕生日ってお祝いしたことないの。ココちゃんのお誕生日っていつなのかな?

 ココちゃんは、ヒナが一番大切にしているお人形さんのお友達。ヒナが物心ついたときにはもうヒナと一緒にいたから、お誕生日っていつなのか分からないの。そのことをママに聞いてみたら、「それは、お兄さんが買ってくれたのよ」って言ってました。うわぁ、ヒナとっても嬉しくなりました♪ だってね、、ココちゃんはおにいたまがヒナにプレゼントしてくれたものだから、おにいたまとココちゃんは仲良しで、ヒナもココちゃんと仲良しで、もちろんおにいたまとヒナも仲良しだから、ほら! 3人ともずーっと前から、とっても仲良しさんだったの♪

 でもココちゃんの誕生日は結局分かりませんでした……。ココちゃん、誕生日お祝いできないなんてかわいそう……。
 ! そうだ! 明日、ココちゃんもヒナと一緒にお祝いすればいいんだ! ココちゃんの本当の誕生日は分からないけど、ヒナが思い出せないくらい小さい頃から一緒にいたんだから、きっとヒナとおんなじ誕生日かもしれないでしょ? それなら、忘れちゃうこともないし、おにいたまと3人一緒にお祝いできるからすっごくいいよ♪

 ヒナ、早速おにいたまに電話をしました。だってね、おにいたまにはヒナの分のケーキしか頼んでないでしょ? だから、おにいたまにお願いしてココちゃんの分のケーキも買ってきてもらうの♪ ココちゃんはどんなケーキが好きなのかな? ヒナとずーっと一緒にいるからヒナと同じかな? それともおにいたまがプレゼントしてくれたからおにいたまと同じかな? もしかしたら誰とも一緒じゃなくって全然違うのがすきなのかな?
 ヒナ、よく分かんなくなっちゃったからおにいたまにお願いすることにしました。

「あ、おにいたま? あのね、おにいたま。明日、ココちゃんの分のケーキも買ってきて欲しいの♪ ……うん、あのねココちゃんの誕生日は明日になったから……。 ……うん、そう、おにいたまにお任せするの……」

 くししししっ♪ これで、ココちゃんの分のケーキもおにいたまにお願いしたから、明日は3人でお祝いしようね、ココちゃん♪

 おにいたま、まだかな? もうそろそろかな? 近くまで来てるかな?
 今日はなんだかソワソワ、ドキドキして朝の5時に目が覚めちゃってママもビックリしてました。だって、おにいたまが来るって思ったら寝てなんかいられないでしょ? だから、朝ごはんを食べた後、ココちゃんと一緒にソファーの上でドキドキしながら待っていると……

キンコーン

 あっ! 来た!

「ハッピーバースデイ! 雛子。そして、ココちゃん♪」

〜Fin〜

BACK