【素敵なこと】

 お兄ちゃんは、あの時のこと覚えてるかな?

 放課後、可憐のお友達とお話をしていた時、何か自慢できることはある? っていう話になったの。水泳が得意なの♪ とか、ずーっと日記を書き続けてるの♪ とか、みんな色々していてすごいんだなぁ、って思いました。そして、可憐の番になったから、自信を持ってこう言ったんです。

「可憐は、お兄ちゃんが自慢です♪」

 でもね、そうしたらみんな、何故かちょっと困ったような顔をして、「可憐ちゃんはいっつもお兄ちゃんのことを言っているけど、そんなに素敵なのかしら?」って言うの! 
 可憐のお兄ちゃんは、とっても素敵な人よ♪ だって、とっても優しいし、可憐が困ってるといつだって助けてくれるんだから♪ そう、ちょっぴり大きな声で説明していると、「じゃあ、そのお兄さんに会わせてくれない?」って。
 可憐、チャンスだと思いました。だって、みんなはお兄ちゃんのことを知らないからそういうことが言えるんだって。お兄ちゃんを見れば、きっとみんなだって素敵ね♪ って言ってくれるはずだもん。

「わかりました。今度のお休みの日に、みんなにお兄ちゃんを紹介します♪」

 お兄ちゃんに事情を説明すると、快く頷いてくれました♪ そして、次のお休みの日、可憐はお兄ちゃんと一緒に、お友達と待ち合わせをしている喫茶店まで行きました。

「みんな、この人が可憐のお兄ちゃんです♪」

 可憐、お兄ちゃんがどんなに素敵な人か、一生懸命お話をしました。いじめっ子から守ってくれたこと、日が暮れるまで一緒に遊んだこと、可憐を優しく励ましてくれたこと……どれも可憐の大切な思い出。
 そうやって色々話しているうちに、お友達からも質問が出てきて、お兄ちゃんはちょっぴりお顔を赤くしながら答えていました。可憐はその間、お兄ちゃんの声を聞きながら、お兄ちゃんの肩にもたれかかって、お兄ちゃんを感じていました……。

「可憐ちゃん」

 え!? 急に呼ばれたから、可憐ちょっとびっくりしちゃったけど、みんな「可憐ちゃんの言うとおりだったわ」、「可憐ちゃんが羨ましい」、ってお兄ちゃんのことを褒めてくれたみたい♪ お兄ちゃんが褒められると、可憐もとっても嬉しくなっちゃった♪

 とってもとっても素敵な可憐のお兄ちゃん♪ これからもずっと側にいてくださいね♪ お兄ちゃん、大好き♪

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