【a fountain】

 兄チャマ、覚えていマスか?

 あの日は、お日様がピカピカに光っていてすっごく暑い日デシタ。確かこの夏一番の暑さだって、ニュースで言ってたのを覚えてマス。四葉、ニュースは毎日ちゃーんとチェキしてるデスよ♪ 探偵に情報は必須なのデス♪ だから、その日は帽子を被って兄チャマをチェキしに行きました。変装にもなるし、まさにイッセキニチョウなのデス♪

 兄チャマの家に行ってみると、ちょうどどこかへ出かける様子デシタ。チャンスです!
 電柱の陰から……見つからないように……チェキです……。どうやら右手に本を持ってマスね……。本を持って出かけるということは、買い物ではなさそうデスね……。

 その後も、こっそりこっそり兄チャマの後をついて行くと、ちょっと街からは外れたところにある公園へやって来マシタ。兄チャマは噴水の側にあるベンチに座って、持っていた本を読み始めました。四葉の推理によると、兄チャマは涼みに来たに違いないデス♪ だって、四葉のメモには、「エアコンは調子がおかしい」、って書いてあるんだもん♪

 うーん、なんだか噴水のせいでよく見えないデス。もうちょっと近づいて……、あっ! 
 身を乗り出した四葉はバランスを崩してしまい、ルーペを持っていたせいもあって、水の中に落っこちちゃう! そう思ったのデスけど、なんとかギリギリ噴水の中に落っこちるのは避けることが出来マシタ。でも、今両方の手とも噴水の縁を掴んでいマス……。ということは……、あーん! 四葉のルーペが噴水の中に落っこちちゃってるデスー!

「どうしたんだい、四葉」

 あ、兄チャマー! 四葉、兄チャマに見つかったことなんて全然気づいていなくて、それよりもとにかく事情を説明したのデス。そうすると兄チャマが、「僕にまかせて」って言って、あっという間に靴を脱いで噴水の中に入って行っちゃったのデス! 

「四葉、取れたよー」

 わあー、兄チャマありがとう♪ って思ったその時、ザーって噴水の水が勢いよく吹き上げたのデス! どうやら、兄チャマも油断していたみたいで、四葉の所に帰ってきたときは、全身ずぶ濡れデシタ。四葉のせいで兄チャマが大変なことになっちゃった、って思って、「兄チャマ、大丈夫デスか?」、って聞いたのデスけど、兄チャマは「今日はとっても暑いし、ちょうどいいよ」って、笑いながら言ってマシタ。
 でも、四葉知ってるデスよ、次の日、風邪をひいて寝込んだのを。だって、兄チャマの横で、寝顔をしっかりチェキしてましたから。

 ねぇ兄チャマ。兄チャマが四葉の為にしてくれたこと、とっても嬉しかったデスよ。やっぱり兄チャマは、四葉が世界で一番ダーイスキな人、なのデス♪

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