【本当の気持ち】

「アニキ♪ ちょこーっと資金援助してくれないかな?」

 そう言うとアニキはいつも「しょうがないなぁ」って言って、でも笑顔で援助してくれるの。だから、少し前に一度聞いたことがあるのよね、
「アニキはどうして、いっつも私に資金援助してくれるの?」って。
 そしたらアニキは、

「妹に頼られるのは兄として嬉しいものさ。鈴凛の発明にも期待してるしね。それに…」
「それに?」
「鈴凛の笑顔を見られるしね」
「えっ!?」

 そう言われて、オーバーヒートしたように熱くなった顔を隠すように思わずうつむいちゃった……。きっと、今の私の顔は真っ赤に違いない
んだもん。そんなのアニキに見せられない! そう思って、誤魔化すように咄嗟に言葉が口をついて出てきた……。

「で、でもそれって、私の笑顔をお金で買ってるわけじゃない。アニキはそれでいいの?」

 あー、もう! 私ったら何言ってるのっ! 本当はこんなこと言いたいわけじゃないのに!
 でもね、アニキの方が一枚も二枚も上手だった。

「十人十色、って言うのかな? 笑顔を見る方法は世の中にたくさんある。鈴凛に資金援助っていうのは偶々に過ぎないんだ。だから結果
的にはそうなってるのかもしれないけど、お金で買ってる、なんて思ったことは一度もないよ。それに鈴凛の笑顔を見る方法は資金援助だ
けでもないしね」
「アニキ……」

 あの時のアニキはそんな風に言っていた。やっぱりアニキにはかなわないな……えへへっ♪
 そんなアニキだから、もしかしたら私の気持ち見透かされちゃってるのかな……

「温かい資金援助、毎度感謝してます♪ 愛してるよ、アニキ♪」

 そんな風に茶化して言ってはいるけれど、本当は、本当は……

「……本当に大好きだよ、アニキ」
「ん? 鈴凛、今何か言った?」
「ううん、何でもない! はやく行こう!」

 もう、アニキったら……本当にわかってるのかな? でも、これからも資金援助を頼んじゃうから、覚悟してねっ! アニキ!

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