【〜Spica〜】

 

部屋の明かりが急に消え、辺りは真っ暗になった。

…停電、かな?

う〜ん…。
これじゃ、目が慣れるまではちょっと危なくて動けそうにないなぁ。

仕方ない。目が慣れるまでじっと待ってることにしよう。

少しの間、そのままじっとしているとだんだん目が慣れてきて、動けるくらいにはなった。

とは言ってもやっぱり辺りは暗いから、懐中電灯を探そうかな。

あ、あったあった♪
僕はスイッチを押して、懐中電灯の明かりをつけた。

懐中電灯の明かりが、僕の部屋を照らす。
よし、これなら周りがばっちり見えるぞ。

あ、そういえば小さい頃、こんなふうに辺りが真っ暗になった時は懐中電灯ひとつ探すのでも大変だった覚えがあるなぁ。

可憐のそばをちょっと離れただけで「うわーん、お兄ちゃーん!どこにいるのー!」ってわんわん泣いてたっけ。

今は、泣くことはないと思うけど…もしかしたら淋しがってるかもしれない。

真っ暗な中で一人だからなぁ。

…そんなことを考えたら、僕は何だか可憐のことが心配になってきた。



可憐に会おう。

僕は家を出て可憐のところに向かった。





外は部屋と比べればそんなに暗くはなかった。

月の光と星に照らされてむしろ少し明るいくらいだ。

空を見上げれば、満天の星空だった。

そういえば小さい頃は、可憐に星のお話を聞かせてあげたこともあったっけ。



「あそこにあるのがおとめ座で、その中で一番光ってる白いのがスピカ!」
「ねぇ、お兄ちゃん。可憐もおとめ座だよ?」
「じゃあ、あの星は可憐の星だね♪」
―――そう、小さい頃、僕は可憐とこんなふうに空を見上げて、覚えたてだった星の話をしていたな。

そしたら可憐は僕に「お兄ちゃんのお星さまはどれですか?」って聞いたんだ。

僕はこんな事を聞かれるとは思わなかったから、ちょっとびっくりしたよ。

でも、その時僕は良い事を思いついたんだ。

僕と可憐はいつも一緒にいる。

そして、僕は大好きな可憐にこれからも一緒にいて欲しいと思っている。

だから…。

僕は春の大三角形を指でなぞって「僕は…この3つの星でできた三角形だよ」って言ったんだ。

「うわぁ…お兄ちゃんのお星様大きい♪」
それを聞いて、とても可憐は嬉しそうにしてたな♪





―――そうこうしているうちに、僕は可憐の家に辿り着いた。

ピンポーン。

早速呼び鈴を押してドアを開ける。

「やぁ、可憐。大丈夫だった?」
「お、お兄ちゃん♪」
可憐は驚きながらも、嬉しそうな顔をしてた。

「可憐、さっきまでお兄ちゃんの事を考えていたんです♪」
「そうなんだ♪」
「ねぇ…お兄ちゃん。可憐、今からお兄ちゃんと星を見たいな。…ダメ?」
僕はびっくりしたけど、喜んで可憐の誘いを受けることにして外に出た。

あの日のように、可憐と一緒に星を見る。
空は満天の星空。
僕はそっと可憐の手を握る。
「可憐…寒くないかい?」
そう僕が聞くと、可憐はにっこりと笑って「お兄ちゃんがいるから大丈夫です♪」と言った。

白く輝くスピカが今日は前よ明るく見える。
僕はそれを指差し、可憐にあの日のように星の話しを始めた。

「あれが可憐の星…それでこの三角形が僕だよ♪」
「うん。こんなふうにお兄ちゃんは、いつも可憐を見守ってくれてるんだよね♪」
「もちろん♪」
僕は、ずっと可憐をそばで見守ってるよ。
だって僕は、可憐だけのお星さまなんだから…ね♪

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