四葉1/2 〜二人のよつば〜 【始まりはここから】
『世の中の全ての物には正反対の性質を持つものが存在する。
しかしそれらは、性質的には源を同じとするものである。
例えば、表には裏、光には闇、男には女、のように。』
四葉にも正反対の存在がいるのかな?
先週の日曜日に、姉チャマに買ってもらったミステリー小説を読み終えて、四葉はなんだかとっても、ふわふわした不思議な気分になっていマシタ。なんだかとっても不思議です。
正反対の存在、そんなものが四葉にもいるとしたら、それはやっぱり……女の子の四葉とか? でもでも、四葉が女の子になっちゃったら姉チャマの弟じゃなくなっちゃう!! ダメダメ! やっぱり四葉はこのままの方がイイなぁ♪
……ふわぁ……そろそろお寝むの時間みたいです……おやすみなさい、姉チャマ♪
その夜、四葉は夢を見ました。
キュロットを履いた四葉は、いつものルーペを片手に目の前の男の人をチェキしていマシタ。……そう、四葉が女の子になっちゃった夢デス。
夢の中の四葉は、いつも四葉が姉チャマにするように、とっても楽しそうに兄チャマをチェキしていました。兄チャマがにっこりすると、四葉もすっごく嬉しくなっちゃうし、兄チャマに頭をくしゃって撫でられると、ちょっぴり照れくさいけどとーっても幸せな気分になれマシタ。
今まで離れて暮らしていた分を早く取り戻したくて、早く兄チャマの妹になりたくて、いっぱい兄チャマのことをチェキしてたデス。
エヘヘ、四葉とおんなじだ♪ ……あっ、四葉なんだから当たり前デス!
う、うーん……。なんだか、眩しいデス……。
「はっ! もう、朝なの!?」
いっけない! もう少しで、四葉、お寝坊するところでした! 今日は姉チャマのお家に遊びに行くお約束をしてたんデス!
バッと飛び起きて、ササッと着替えて、パッとブレックファーストをいただいて。
うーん! 今日はとってもいいお天気♪ 絶好のチェキ日和だなぁ♪
ウキウキしながら外に飛び出して……クフフフフゥ♪ 今日は姉チャマの1番得意なお料理と、1番好きな乗り物……はこの間チェキしマシタから、2番目に好きな乗り物をチェキしマス! それからそれから……。
……やや? 姉チャマのことを考えながら歩いていたら、もう姉チャマのお家に着いたみたいだよ! し・か・も、姉チャマったら四葉のことが待ちきれなくって、お外で待っててくれたみたい♪ もう、姉チャマったら♪ おーい、姉チャマー! ……っと、あの子は誰かなぁ? んー、どこかで見たことがあるような気がしマス……。あっ! あれは四葉だよ! 四葉がいます! いやいや、四葉は四葉の方なんですけど、でもでも、目の前にいるのは確かに夢で見た四葉だよ! そう、女の子の!
どういうこと? 四葉、女の子になっちゃった? ううん、だって男の子の四葉はちゃーんとここにいマス。いつも通りのカッコイイ四葉デス。ムムム……これはとっても不思議でミステリアスなのデス……。
……なんだかとっても怪しい匂いがしマスね……。!! 四葉、閃いちゃいマシタ! きっとあれは四葉のクローン人間なんだ! 四葉から、姉チャマを奪い取ろうとしてるに違いありマセン! ……!! 大変! 姉チャマを取られちゃいけないよ!
四葉がビックリしてしばらく考え事をしてたら、姉チャマがこっちに気がついて、四葉のことを手招きして、助けを求めてマス! 姉チャマ、今行きますよ!
「姉チャマー! 四葉が本物の四葉だよ!! 四葉のクローン人間には姉チャマは渡しマセン!」
? 姉チャマ、どうして笑ってるんデスか?
そう四葉が聞くと、姉チャマはクスクス笑いながら「あのね四葉、この子は私の妹なんだよ」って言ったんだ!
……なぁんだ、姉チャマの妹だったのか。……ええー! よ、四葉初めて聞きマシタ! そんな重大なことを今までチェキできなかったなんて、四葉、まだまだタンテイシュギョウが足りないデスね……。
それから「四葉とは双子だから仲良くしてあげてね」とも言ってマシタ。
ふ、双子!? ……ということは、女の子の四葉は四葉の妹ということデスか!?
「あ、姉チャマに弟がいたのっ!? しかも四葉がこの男の子の四葉と双子!? ま、まあいいデス。これからは、四葉が姉チャマのことをいーっぱいチェキしちゃうデス♪」
「ちょ、ちょっと待つデス! 姉チャマは四葉の姉チャマだよ! 四葉の妹なんだから、おとなしく遠慮してるデス」
「な、何言ってるデスか! 四葉が姉チャマの妹デス! それに、四葉の方がお姉さんなんだから、そこは間違えないで欲しいデス!」
ムム……なんて可愛げのない妹なんですか! 姉チャマは仲良くしてね、って言いましたけど、四葉、それは無理だと思うんだ。姉チャマは四葉だけの姉チャマだもん♪
こうして、四葉に妹ができました。後で姉チャマに聞いた情報によると、女の子の四葉もイギリスに住んでたんだって。でも、四葉は男の子ばっかりのプライマリースクールに通ってたから、妹がいるなんてぜーんぜん知りませんでした。
それから、女の子の四葉は自分の方がお姉さんだ、ってシュチョウしてるようだけど、四葉の方が姉チャマに早く出会ってるんだから、四葉の方がお兄さんに決まってマス。遅い方が年上だなんて、そんなのおかしいデス!
とにかく、これからはもーっといっぱい姉チャマのことをチェキするからねっ! 女の子の四葉になんか負けませんからねー!
「姉チャマ、チェキだよっ!」
『世の中の全ての物には正反対の性質を持つものが存在する。
しかしそれらは、性質的には源を同じとするものである。
例えば、表には裏、光には闇、男には女、のように。』