【風の強い日の】

 

「うっわー! 風が強ーい!」

 今日は先生のお手伝いをしてたから、帰りが少し遅くなっちゃったの。いつもはお友達と一緒に帰ったりもするんだけど、今日は一人。
 あ! そうだ! ヒナいいこと思いついちゃった♪ おにいたまをむかえに行けばいいんだよ♪ いつもはヒナの方が学校が早く終わっちゃうから、ヒナの方がおにいたまより早くお家に着いちゃうんだけど、今日はちょっと遅くなっちゃったから、今からおにいたまの学校まで行けばちょうどおにいたまが帰るところだよ! エッヘン♪ ヒナってあったまいい!

 だけど今日は風がすっごく強くって、ヒナの制服の帽子もすぐに飛ばされそうになっちゃうから、しっかりおさえながら歩かなくちゃ。
 うんしょ、うんしょ……うわー! また、ビューってすっごく強い風が吹いてきたよ! ピューピューって吹いている風でもヒナ歩くの大変なのに、ビューッって強い風が吹いてきたら、ヒナ飛ばされそうになっちゃう!
 あーん、このままじゃ、おにいたまのところまで着けないよー! 風さん、風さん、ヒナがおにいたまの所に行くの、ジャマしないでください!

 ビューッ!!

 うわわっ……。……ヒナ、ドンってしりもちついちゃって、おしりが痛くなっちゃって、なんだかちょっぴり涙が出てきちゃった……。でも、こんなところで泣いてたらおにいたまに笑われちゃうから……ヒナ、涙を拭いてきちんと立ち上がって、もう一度風さんにお願いしました。

「風さん、風さん、ヒナをおにいたまのところに連れて行ってくーださい!」

 ビューッ!!

 うわわっ!! 今度はヒナの後ろから、ビューってすっごく強い風が吹いてきて、このままじゃベタンって前に倒れちゃう、って思ったとき……ありり? 倒れない? ……あ! おにいたま!
 ヒナを受け止めてくれたのはおにいたまでした♪ やっぱりおにいたまは、ヒナがピンチの時にはすぐに来てくれるの♪ あ! もしかしておにいたまも、ヒナがおにいたまに会えるように風さんにお願いしてくれたのかな? きっとそうだよ♪ すっごーい! おにいたま、風さんともお友達なんだね♪
 さ、おにいたま、一緒に帰ろ♪ えっと、それからね、また風さんが意地悪した時は助けに来てね、おにいたま♪