【大きくなぁれ!】

 ねぇ、おにいたま、覚えてる?

「うわぁ、すっごーい♪ ヒナの住んでる町があんなに小さく見えるよー♪ くししししし♪ ヒナのお家、見えるかな?」 

 今日は、おにいたまとピクニックに来ました♪ お山を登るんだよ、っておにいたまに言われてたから、ヒナ、途中で疲れちゃったりしないかな? ちゃんと最後まで登れるかな? って心配だったけど、おにいたまと一緒にお話しながら歩いていたら、あっという間に着いちゃったんだよ♪ おにいたまが、歩くのが早くなる魔法を使ったのかもしれないね♪

「雛子、あっちの方に行ってみないかい?」

 え? あっちには何があるの? おにいたま。……てんぼうだい? ぼうえんきょうで遠くを見られるの? ヒナ、ぼうえんきょうって知ってるよ。お星さまを見るための、でーっかい虫眼鏡のことだよね。……じゃあ、ヒナのお家も見えるかな? きっと今なら、ママがお昼寝してるところを見られるんじゃないかな?
 ヒナ、ピョンピョンしたくなっちゃうくらいワクワクして、展望台の方に行こうとしました。でも、そうしたらね、おにいたまの前に……

「あ! おにいたま、だめ!」
「え?」

 ヒナ、急いでおにいたまの前に出て、おにいたまを止めたの。そうしたら、おにいたまはドーンって転んじゃった……おにいたま、ごめんなさい……。

「ってて……。雛子、急に出てきたら危ないよ?」
「おにいたま、ごめんなさい。でもね、だめでしょ、おにいたま。もう少しで、このお花さんを踏むところだったんだよ!」
「えっ? お花?」

 ヒナとおんなじでまだ小さいお花さん。青くって、ちっちゃくって、とってもキレイなの♪ だから、せっかく大人になろうとしてるのに、踏んづけちゃったら可哀想でしょ?
 おにいたまは、「そうか、雛子はえらいな」って言って頭をなでなでしてくれたの♪ くしししし♪ ヒナ、褒められちゃった♪
 そうだ! このお花さんが、踏まれちゃわないくらい大きくなるように、おまじないしてあげる♪ どんどんどんどん大きくなーれ、大きく大きく大きくなーれ♪

 ヒナ、早く大人になって、おにいたまのお嫁さんになるからね♪ おにいたま、ダイダイダーイスキ♪