【あなたと出会う方法】

 にいさま、覚えてますの?

 あの日は、にいさまが旅行から帰ってくる日で、だから精一杯おもてなしをしようと、いつもよりも頑張ってお料理の準備をしていたんですの。
 もう少しで完成ね、ってそう思ったとき、デザートに使うマンゴーが足りないことに気付いたんですの! もう大変! だから姫は早速マンゴーを買いに行くことにしました。

 電車に乗って一駅の所に、世界中のフルーツを扱ったお店があって、とっても新鮮で甘くってほっぺが落ちそうになるくらいおいしいから、よく利用させてもらってるんですの♪ だから、すぐにマンゴーを買って帰れるはず、だったんですけど……。

「白雪、起きて。白雪ってば」
「……ふぇ、にいさま? ああ、はいですの……今……」

 ??? あれ? にいさまはどこですの?
 どうやら姫、電車の中で寝てしまっていたようですの。昨日、徹夜でにいさまをおもてなしする準備をしていたから、自分でも気付かないうちに夢の中に落ちてしまったみたい。でも、夢の中でも寝てるなんて姫ったらよっぽど眠たかったのね♪

 電車のドアが開いて外に出ると、そこには姫のよく知らない光景が広がっていました。どうやら、乗り過ごしてしまったみたい……ここ、どこかしら?
 周りには建物はほとんど無くて、草花が風になびいています……。そうですの! 早く戻って、にいさまのおもてなしの準備をしなくちゃ! えーと、逆方向の電車は……1時間後……。あーんもう、なんでこういうときに限って居眠りなんかしちゃったんですの! 姫のばかばかばかーっ!

 焦った所で電車が来るわけでもないので、駅のベンチに座って、ぼーっと空を眺めていました。あ、あの雲シュークリームみたいね♪ あら、こっちはワンタンかしら? うふふ♪ にいさま、今日のお料理は旅の疲れも取れちゃうスペシャル料理ですから、期待しててもいいですのよ♪ …………にいさま……早く、会いたいですの……。

「あれ? やっぱり白雪じゃないか! こんなところでどうしたんだい?」
「え!? にいさま!?」

 な、なんでにいさまがこんなところにいるんですの!? にいさまによると、この駅は乗り換え駅なんですって。姫、思いがけずにいさまのお出迎えをすることになっちゃったんですの♪ これも運命、かしら? ……きゃー、ですの♪

 ねえ、にいさま。姫はいつだってにいさまのために、お料理を作ってあげたいって考えてるんですのよ♪ だ・か・ら、姫、いつでもにいさまのことを待ってますわ♪