【雪の日の贈り物】

 しんしんしん。雪が降っています。
 静かに降っている雪は、とってもフワフワしてて、お砂糖みたいにキラキラしてて、ちょっとおいしそうなの。でも、触るととっても冷たくてすぐに解けて消えちゃいます……くすん……。だけど、手袋やコートの上に舞い降りた時はなかなか解けないで残っていて、じーっと見つめると、綺麗な模様が見えるの。
 じいやにそのことを話したら、「それは雪の結晶というのですよ」って教えてくれたの♪ あ、そうだ♪ 亞里亞いいこと思いついちゃったの。兄やにも雪の結晶を見せに行くの♪ 白いファーの手袋とマフラー、それに頭がすっぽり収まっちゃうフードのついた真っ白なコートを着て、うわぁ、亞里亞、なんだか雪ダルマさんになったみたいね♪ うふふ、もしかしたら兄や、「亞里亞が雪ダルマになっちゃった」ってびっくりするかも♪ 

「亞里亞さま、雪道は滑るので十分気をつけるのですよ」
「はーい」

 道路はすっかり雪でお化粧したみたいで真っ白。まだ足跡のついてない、誰も踏み入れてない場所を歩くのは、キュッキュッってとってもいい音がするから大好き♪
 キュッキュッキュッ、キュッキュッキュッ♪
 ウフフ、なんだか雪と一緒にダンスを踊ってるみたいなの♪

 ……あれ? 何かな? ……真っ赤なお目目と長ーい葉っぱのお耳。……ウサギさん?

「ウサギさん、ウサギさん」
「ん、雪うさぎか」
「……あ、兄やー♪」

 亞里亞、嬉しくなって兄やにギュッて抱きついちゃいました♪ 兄やはとってもあったかいの♪ きっとこのウサギさんが連れてきてくれたのね♪ あっ、でも雪うさぎって何かな? このウサギさんの名前かな?

「ねぇ兄や、このウサギさんの名前、ユキちゃんっていうの?」
「ん? ああ……そうだよ」
「ユキちゃん、ユキちゃん」
「亞里亞、ユキちゃんのお友達作ってあげようか」
「お友達できるの?」

 うわぁ、ユキちゃんにお友達できるんだぁ♪ そう思って兄やを見ていると、パッと雪を掴んで、ぎゅっと丸くして、赤い実と長い葉っぱをつけたら……

「はい」
「うわぁ♪」

 もう、ユキちゃんのお友達が出来ちゃったの♪ 兄やの手は魔法使いさんの手なの♪
 亞里亞も、兄やのを見ながら一生懸命ユキちゃんのお友達を作りました。亞里亞が作ったお友達は、兄やが作ったものに比べるとなんだか少し小さいみたい。ユキちゃんの弟かな? 妹かな? ユキちゃんも亞里亞と兄やみたいに仲がいいのかな……?

 気が付いたら周りはすっかりユキちゃんのお友達でいっぱいになってて、ユキちゃんもとっても嬉しそうでした♪ そうしたらね、ユキちゃんが亞里亞の前にやってきて「ありがとう」って言ってくれたの♪ だから亞里亞は「どういたしまして」って言いました。いっつもじいやに「ステキなレディになるためにはあいさつはきちんとするのですよ」って言われるから。そうしたら兄やが、「よかったね」って頭を撫でてくれたの♪ 兄やの手はとっても暖かくって、ふんわりした気持ちになれるから、亞里亞、大好き♪

「……兄や……」
「ん?」
「……大好き……」
「フフフ。どんな夢をみているのかな」

 ……兄や……、亞里亞と……もっといっぱい……ずーっとずーっと……遊んでください……♪