「んっ…」

金糸の美しい髪を強く押さえつけると、あなたはくぐもった声を上げて私を見た。
普段はあなたが腰掛けている椅子に腰を下ろして、下腹部のものを解放して。
舐めるように促すと、反抗の色もなくあなたが私のものを口に含んだ。
びりびりと背筋を走る快感と後悔と、それでも命令には逆らえない気持ちが交錯する。

「マスター…」

「トーマ、だ」

不意に、あなたは従順な瞳を鋭い眼光に変えて私を見た。
それに見つめられると私は快感よりも恐怖が上回ってしまって、ただ頷く事しかできなくなる。

「イエ…ス、マス…っあ、トーマ…っく…」

「そうだ、それでいい」

マスター、とついいつものくせで呼びそうになると、自身に爪を立てられた。
痛い、痛い。
痛いんです、マスター。
もうゆるしてください。

「…ガオモン、自分で言える?僕の事が欲しいって」

マスターは私のものを乱暴に指で弾いてからゆっくりと身を起こした。
すぐ間近にマスターの顔。
香水の匂いが鼻をくすぐった。
私は、何度も頷いて肯定を示した。
本当は。
すごく怖いのに。

「…トーマのが、欲しいです」

すごく恥ずかしいのに、悟られないように平常を保ったような声で言ってみせる。
マスターの指は私の後ろの部分をぐりぐりと指で押しながら笑った。
そんなところは排泄のためだけの場所。
マスターの触るところじゃない。

「マス…う…トーマ…お願いです、入れ…」

「いい顔するね、ガオモンは」

グローブを無理やり外された私の手がマスターの肩を掴む。
成長途中の爪が肩に少しだけ食い込んだ。
マスターはすごく優しくて残酷な笑顔を見せてくれる。
そうして私の顔をゆっくりと撫でた。

「恥ずかしいのを我慢して、わざと強がってるって顔。僕は大好きだ」

マスターはそう言うと、一本だけ指を私の後ろの部分へねじ込んでいく。
私の全身が異物を押し返そうと抵抗するけど、マスターは気にも留めていなかった。
中で動いているのが分かる。探るようにそれが動くたび、私のそこはひくひくと収縮を繰り返した。

「ガオモンはえっちだ、指だけでこんなに感じてる」

いつもの優しい声が、今日はなぜか淫靡な響きを含んでいる。
私は何とか聞こえないふりをして目を伏せた。
マスターの掌が何かを探すように私の体毛を擦ったあと、不意に胸の突起を摘む。

「んんっ、く…」

少しばかり甲高い、押し殺したような声が自分の声に聞こえなくて、怖くて。
私は椅子の背もたれに強く体を預ける。
背中は椅子だ。逃げられない。
顔を上げるとマスターの青い瞳と目が合った。
慌てて伏せるけど、視線は痛いくらい私に注がれている。

「ガオモン、僕の何が欲しいんだって?」

マスターは目を細めると、体毛に隠れた生殖器を手で掴んだ。
長くてしなやかな指が私のものに絡む。
私は何とか、マスターに気に入られようと口を開いた。

「マス…トーマ、の大きな、ものが…欲しいです…」

「どこに?」

マスターの声はどこまでも優しい。
私はいつの間にか溢れてきた涙を掌で拭いながら言葉にならない声を上げた。
そうしてもっとも恥ずかしいものの場所を口にすると、マスターはにっこりと笑って私の目尻に口付けをしてくれる。
私は、言わなければいけない使命感のようなものに包まれてしまって、その言葉を吐いた。

「私の、いやらしい穴に…です」

「いいこ」

マスターは目尻から唇へと口付けを変えた。
あったかくて高貴な匂いがする。
大好きな匂いを体いっぱいに染みこませて小さく息をつくと、マスターの手が私の尻尾を持ち上げた。
尻尾を持ち上げてしまうと恥ずかしいところが丸見えになる。
おもわず息を飲むと、マスターは私の体を抱き寄せてから後ろを向くように言った。
後ろは、椅子だ。
つまりマスターは、私に椅子を抱くように座れと言っているのだろうか。
…考える時間が惜しい。
私はいつものような返事もせず、首だけを縦に動かすと椅子から降りて、それから椅子の背もたれを抱くようにして座った。

「ああ、違うよ…ガオモン」

「え…?」

後ろでマスターの声がする。
マスターは、椅子に正座している私の足を掴むと、右の足は右の肘掛に、左の足は左の肘掛に乗せるよう指示をした。
それが少しだけ苦しくて身を捩る。
私に行儀の悪い座り方をさせたマスターは、おもむろに私の背中に体を寄せた。
どきん。
マスターの体を感じて、私はどこかホッとした。
顔は見えなくても傍にいるのだと分かれば怖くなかった。

「ガオモンの恥ずかしいところがよく見える…」

「ひっ…」

マスターの指が私の尻尾からつぼみのまわりをゆっくり触っていく。
そうして指の一本が私の中へと入っていった。
先ほどまで慣らしていた部分だ。

「もう2本入れても平気かな。力、抜くんだよ?」

マスターの声とともに、異物感が増した。
私は強く椅子を抱きしめてその圧迫感に耐えようとする。
早く楽になりたい。
マスターとひとつになりたい。

「マスタぁ…うっく、ください…マスター…」

私は言ってからハッとした。
マスター、じゃない。
今は、トーマと呼ばなければいけなかった。
私は命令無視をしたのだ。
そうおもうと悔しくて、自分が憎らしくなった。
案の定、マスターの手が私の口を強く押さえる。

「ガオモン、日本語分かる?」

「う、うう…ぶ、うぐ…」

マスターの指が私の咥内へ入っていった。
きっと、この人は今綺麗な青い瞳を細めているに違いない。
冷たい声が背中から聞こえた。
張り詰めた空気だ。

「ねえガオモン、僕の命令が聞けなかったら…おしおきしてあげるって言わなかったかな?本当は…おしおきのほうが欲しかった?」

マスターはわざとらしく甘い声で言って私の耳に口付けをくれた。
体内の指がそれぞれ別々の方向へと蠢く。
その巧みな愛撫を受け続けるのは限界だった。
私はマスターの気を引くように自分で腰を浮かせて見せる。

「あふ…トーマ…トーマ…欲しいです…トーマぁ…」

私はすがるような声で言った。
マスターが欲しい。マスターのことが好きだ。
それは全部口に出せないけど、精一杯気持ちをこめて、気に入られるような声を上げた。
マスターに背を向けたままそれだけ言うと、背中から優しい笑みが聞こえる。
ズボンのジッパーを下げるような音が聞こえた。
私は体の力を抜くように全身へ指示を回して、何とかゆっくり息を吐く。
同時に、つぼみの場所に何か硬くて熱いものが押し当てられる。

「ふぁっ…ひぃ…ひ…あうっ…」

私は鼻にかかったような声を上げて椅子を強く抱いた。
がたんと椅子が音を立てる。
マスターの大きな両手が私の腰を掴んで引き寄せた。
私は何とか耐えようと、椅子の背もたれに歯を立てて大きく息を吐く。
その間にもマスターのものは徐々に私の中へと侵入していった。

「ガオモン、分かるかい?僕のが入ってる…」

「は、はひ…ひぐっ、んんんっ…ああ、マスタ…トーマぁ…」

私はもう既にどちらの呼び名で呼んでいるのか分からなくなった。
ただ、どちらも命令違反のような気がして大きくかぶりを振る。
そして何度も何度も謝罪の言葉を述べた。
背中からマスターの手が優しく私の頬を撫でる。
私は本当の犬のように鼻にかかった声を上げてその掌へ舌を伸ばした。

「んんふ、ふぅ…きもちよく、なってくださ…んぁ…マスター…」

私の行為を楽しむように、マスターの指が私の咥内に出し入れされる。
大きな人間のものがあんなところに入っているのだとは背を向けている私には分からなかった。
ただ、強烈な快感が襲いかかってくるのは分かる。
だから必死に指を舐めた。

「ガオモンはいやらしくて従順だ…お陰でとっても気持ちいいよ」

「よ、かっ…た…」

下から突き上げるような行為に、私は声を上擦らせながら笑った。
目を伏せて笑うと、不意に顔をつかまれてマスターのほうを向かせられる。
つられるように後ろを振り返ると、マスターの唇が私のものを塞いだ。
優しく、ゆっくりと喰らうように。

「ん、んふ…あぁ…く、マスター…マスター…」

マスターの動きに合わせようと舌を使うと、痺れてくるような感覚を感じる。
大きな手が私の体を反転させた。
そうしてきちんと椅子に座らせられると、改めて向き直ったお互いにどこか気恥ずかしくなってしまう。
そんな私の心中もお構いなくといったふうにマスターのものが体の奥深くまで挿入されるのを感じた。

「はぁあ…!うあ…ぐ、ふ…あん…」

「可愛い声…」

マスターはどこか上擦った声でそう言うと私の額に何度か口付けをくれた。
それだけで安心してしまう私は単純だろうか。
私はゆっくりと息を吐き出しながらマスターの背に手を回す。
マスターは巧みに腰を使いながら私を絶頂へと導いてくれる。
次第にせりあがってくる快感は誤魔化しようがなかった。

「んぁ…もっ、もうだめ…マスター、い…いってくださ…い…」

「どこに?」

私の言葉に、マスターはいたずらっぽく笑って見せた。
頭のいいマスターは、分かってるんでしょう?
私はきつく目を細めてからマスターの首筋に口を寄せて、そっと耳打ちした。
体内のものが大きくなったような気がする。
マスターは私に答えずに行為を再開した。
先にイッてほしいのに。
私は成長途中の短い爪をマスターの背に立てながら声の続く限り声を上げた。
発情期の犬みたいに、本当に淫靡な声を上げて。

「んぁっ、あ…いくっ…だめ、だめぇ…うあ…マスタぁ…」

揺さぶられながら声を上げる私を、マスターがきつく抱きしめる。
もう我慢の限界だった。
体内がマスターの熱いもので擦り上げられていくたびに口から上擦った声が溢れる。
そうして、私の途切れ途切れだった喘ぎは直に甘ったるいものへと変化していった。
耐え切れずに溢れた精液が私の下腹部を濡らしていく。
べたべたになったそこを見て、余計に羞恥を感じた。
同時に、ひくんとつぼみの部分が収縮する。
途端、痛いくらいの快感を感じた私は声を上げて強くマスターを抱きしめていた。

「あ、あ…ぁっ、あああぁっ…!!!」

長く、尾を引いた絶頂の声を上げる私を満足そうに見つめたマスターは強く眉を寄せた。
体内いっぱいにマスターのものがせきを切って溢れ出して来る。
体中にマスターのものを感じた私は、羞恥と幸福感と、よく分からないものに包まれて鼻の奥がツンとした。
マスターの手が私の頬を撫でる。

「泣かないで。ごめんよ…辛かった?」

「ち…が…違います…」

頬に感じた手のぬくもりに安心する。
私はかぶりを振って、背に回したままの手をマスターの頬に当てる。
丁度マスターとおなじポーズだ。
お互いのぬくもりを感じて、どこか安心する。
私は切れ切れになった息を整えながら笑った。

「嬉しかった…です」

恥じらいもあったけど私がさらりと言ってのけると、マスターはしばらく目を瞬いていたが少しだけ照れくさそうに目を細めて私の頬に口付けた。
僕も、と言ってくれる声は少しだけ掠れていて囁くような声だった。
そう言われてしまうと胸が締め付けられてしまって、私は黙ることしかできなくなる。
だが今だけはもう少し繋がったまま、大事な人の体温を感じていたいとおもった。

「本当に、嬉しかった…ですよ…」

私は少しだけ目を伏せてマスターの首筋に顔を埋める。
普段はドライな関係を保っている私の大事なマスター。
時折、喧嘩を頻繁に繰り返している大やアグモンが羨ましくもあったりする。
パートナーは友達や恋人ではないのにと眉をひそめたくなる。
けれど、こうしてマスターに触れ合えるとやはり私は心のどこかでマスターを求めているのだとおもった。
…それは、私がマスターのパートナーだから?

「くぅん…」

よくわからないから、考えない事にした。
尻尾だけで意思表示をするようにぱたぱたと振ってみせると、頭の上から優しい笑みが聞こえる。
私はだんだん熱くなっていく頬を感じながら目を伏せた。

















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擬人化なしのトマガオですー。現在ガオモン受に萌えてますー。
小野田さんのテーマ聞きながら作りました(2006 7/8現在の至上最高最強BGM)
鬼畜というより、これも愛!な感じです。ガオ受好きの同士様いませんかね…(そわそわ/笑)

萌え (GPO5個、デジモン5個/良ければ押してやってください。管理人の活力源になります)