薬を与えてからどれだけの時間が過ぎたのだろう。
目の前に座っているだけの忠実なパートナーは、何かに耐えるよう唇をきつく噛み締めて顔を逸らしていた。
僕はバスローブ姿のままでゆっくりとソファに腰掛ける。
普段、滅多に身体を求めてこないから強硬手段に出てしまったんだが、彼には悪い事をしてしまったろうか。
時折、肩を荒げて何かを払うようにかぶりを振っている。
僕はパートナーを呼び寄せるように軽く手招いた。
ワンテンポ遅れて、よろよろとパートナーが僕の傍へとやってくる。
僕は犬のような姿をした彼の額に口付けをした。

「マスター…あの、私…」

パートナー…ガオモンはそこまで言って言葉を飲み込んだ。
何が言いたいかはよく分かる。
僕はわざとらしく首をかしげて見せた。
ガオモンが眉を寄せる。

「ほ、ほしいです…」

それだけ言えただけでも合格、かな?
僕はソファに座りなおすと、ガオモンの腰に手を回した。
そのまま、ふかふかとした身体を隣へ誘導してやる。
どちらかともなく口付けると、すぐに鼻にかかった可愛らしい声が聞こえた。
体毛を探りながら尖りきった突起を指先で弾く。
硬くてしこったそれはすっかり充血していて、ガオモンがどれだけ高ぶっていたのかよく分かる。

「あ…うぁ…ふ、マスタぁ…うく…」

ガオモンはソファに顔を埋めながら小さくかぶりを振った。
普段は感情を抑えていることが当たり前になっているガオモン。
僕のパートナー。
それなのに今は、体毛からちらりと見える乳首をツンと尖らせて、僕の愛撫に耐える事もせずだらしない声を上げている。
薬のせいだと分かってはいるが、やっぱりいやらしいな…。

「ガオモン、すごく硬くなってるよ?コリコリしてる…人間のと変わらないんだね」

僕はそう言って突起を爪で引っかいた。
途端、甲高い声が耳に入ってくる。
ガオモンは、垂れた耳をぴくぴくと震わせながらかぶりを振って言う。

「い、言わないでくだ…さっ…もう、マスター…マスター…」

呪文のように僕の事をマスターと呼びながら、ガオモンが愛撫に反応を返す。
体毛に隠れている生殖器を目だけで見ると、その視線を感じたのか大きな目がきつく閉じてしまう。
目尻には涙が浮かんでいた。
これ以上焦らすのも可哀想だろう。
僕は愛撫をやめて上体を起こした。

「ガオモン、四つんばいになって僕に背中を向けてごらん」

できるだけ不安にさせないよう、優しく言ってやる。
僕の言葉は絶対なのか、ガオモンは普段とおりの返事をしてよろよろと起き上がった。
そうして、本当の犬みたいにソファへと四つんばいになる。
くるりと丸まった尻尾を揺らしながら、ふっくらとした丸い尻が僕へと突き出された。
僕は目の前で揺れる尻尾をおもむろに持ち上げてから自分の指を舐める。

「…痛かったら言うんだよ」

そう言って、まずは一本だけ中指をガオモンのアヌスへと挿入する。
尻尾が怯えるように小さく震えていた。
僕に心配をかけまいと、苦痛を表さないようにしているのかガオモンの声は小さい。
できるだけゆっくりと出し入れを繰り返しながら、左手は主張をし始めたガオモンのものへ触れさせる。
そこは既に先走りを零していて、僕の手はすぐにぐっしょりと濡れてしまった。

「はぁっ…ふ…んぁ…すみま、せ…ますた…あっ…」

「謝る事じゃないさ」

本当に申し訳なさそうな声を上げるガオモンが可愛らしくて、僕はつい微笑んでしまう。
目の前でふりふりと左右に揺れる青い尻尾を指先でくすぐると、ガオモンはもどかしそうに鼻を鳴らしてソファに顔を埋めた。
ようやく、僕自身をガオモンの中へと沈めていく。
もちろん、尻尾に触れたり、耳を愛撫しながらできるだけ力を抜くように指示した。
快感に酔っているのか、ガオモンの尻尾は僕を誘うようにふわり、ふわりと動く。
その動きが、まるで僕を誘っているように見えてつい微笑んでしまう。
僕は指先でガオモンのしっぽを撫でた。
息を飲むような声とともに、おずおずとガオモンが振り返る。
小刻みに揺らされて、垂れた耳はぴくぴくと震えていた。

「ま、マスター…ッ…」

懇願するような声。
僕は耳に短く息を吹きかけてから行為を再開した。 くちゅ、くちゅ。
結合部からみだらな音が漏れるたび、ガオモンはグローブをきつく噛んで吐息を零した。

「…アグモンたちは…君がこんなに淫らな声を出すって知っているのかな…」

ふと呟いた僕の声を耳にしたのか、ガオモンは何度もかぶりを振ってしゃくりあげた。
小さい体で一生懸命僕を受け入れようとしているガオモンが可愛らしい。
僕の腹をくすぐる尻尾は、ねだるようにゆらゆらと動いていた。
何をしたって、何を言ったって君は僕を求めてくれる。
僕に逆らわない、忠実な犬。

「…っ…と」

不意に僕の着替えの中からコール音が聞こえた。
慌てて腰を引こうとするガオモンを抱き寄せて携帯電話を取ると、媚びを含んだ男の声が耳に入る。
耳の良いガオモンにはすぐ聞こえたんじゃないだろうか。

『Hello.トーマ博士。私ですよ、倉田です。ベルフェモンの件で、博士の知恵をお貸し頂きたいのですがー…』

「…今からですか?」

僕の声に、倉田は上機嫌な態度を取った。
倉田が望むから今からでも研究室へ行くつもりだ。
そう言おうとした時、僅かに腕の中のガオモンが身を捩らせた。

「…くぅ…ふっ、あふ…っ…ん…」

ガオモンは、尻尾をピンと立てながら懸命に腰を揺らし始める。
絶妙なタイミングで締め付けられた僕のものはガオモンの動きに反応して少しばかり大きくなる。
そっとガオモンが振り返った。
つり目がちの瞳をキュッと細めて、何かを懇願するように、ねだるように僕を見つめている。
僕はしばらく、ガオモンから目が離せなかった。

「もしもーし、トーマ博士ェ?聞いてくださいよォ」

倉田が何か言っている。
僕は無言で電話を切った。
携帯をソファの下にほおると、ガオモンの背中に口付けをしながら口を開く。
僕の口付けに感じるのか、ガオモンは鼻で小さく鳴き声を上げた。

「すみま…せ…マスター…っ…私はっ…」

「良いんだ、僕こそ…ごめん」

僕はガオモンの声を遮るように首周りの毛に手を這わせる。
ふかふかとした体毛の中にしこった乳首を見つけて指でつまむと、僕のものは一層締め付けられた。
…僕に構ってもらえなかったから注意を逸らそうとした、なんて…子供みたいだ。
昔はもっと忠実なパートナーだったのにな。
そうおもって耳をくすぐると、甘いため息が聞こえた。
君が変わったのは…マサルたちと出会ったから?
彼らとはもう敵同士なのに…。

「…ガオモン、僕をちゃんと見るんだ」

僕はとっくにきもちの整理がついている。
ガオモンもおなじだとおもっていた。
けれど彼は、心のどこかで迷っている。
…パートナーとしての直感だけれど。
だが、
発情期をおもわせるくらいに僕を求めるのも、やはり彼が迷っているからだと感じた。 彼を救うすべは、今の僕にはこの行為しかおもいつかない。

















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7/21に書き始めて、12月になってようやく書き上げたものです。
絵茶でお世話になった岩航大手サイトの某さまに捧げますー。

萌え (GPO5個、デジモン5個/良ければ押してやってください。管理人の活力源になります)