「いまじン家(いまじんち)」
父:キンタロス。
土方のお仕事で家族を養っている心優しい父親。
だが怪力ゆえ、常に道具を壊しているので給料が少ない。
リュウタに甘く、他の息子には厳しい。
性に興味がないように見えるが、デネブとラブラブで毎晩がクライマックス。
母:デネブ。
足し算ができない頑張り屋の母。
気配り上手で、いつも家族の事をおもっている。
お隣に住む桜井侑斗を気に入っており、いつも世話を焼いている。
学校の昼ごはんはいつもコンビニ弁当で済ませている侑斗に、毎朝弁当を渡してくれる良い人。
侑斗に好かれている事に気付いていない。
下ネタを嫌うが、夜はかなりお盛んだとか。
混乱しすぎると泣きべそをかいてしまう。
長男:モモタロス。
乱暴者ですぐに手が出るが、実はとっても家族おもいで面倒見のいいお兄ちゃん。
個性の強い弟たちにいじめられている。
お隣に住む野上良太郎と恋人同士。
良太郎から調教されており、TPOを選ばず犯されることが多い。
それでも嫌がらないのは、彼が「ド」がつくほどのMだから。
無茶な調教をしようとする良太郎と喧嘩をすることもあるが、すぐにエッチで仲直りしてしまう。
最近は家族に良太郎とのエッチを邪魔されており、日々不満を募らせている。
ちなみに、父親に名前を間違えられているため少しヘコんでいる。
次男:ウラタロス
端整な顔立ちと口先の上手さでお姉さんたちにきゃーきゃー言われているが嘘つきなのが欠点。
ホストの仕事をしているが最近、男性専用のホストクラブに誘われており、悩んでいる。
家庭内では長男いじめが趣味だがリュウタロスに性的ないじめを受けており、日々調教されている。
上記には「男性専用のホストクラブに誘われている」と記述されているが、既に男性専用ホストクラブへと送られてしまった。
脂ぎった男たちにへつらう苦労の日々が続いている。それでも家族の前では悩みのない男を演じて見せるいい人。
家族の中では存在が薄いため、リュウタに「いたの?」と言われてしまうこともしばしば。
三男:リュウタロス
キンタロスと、良太郎の姉である愛里が大好き。
わがままで甘えん坊。性行為にも興味津々だがまだまだお子様。
動物とダンスが好きで、たびたび突拍子もない発言をして家族全員を混乱させる一家の問題児。
あまり家族に遊んでもらえない淋しさから、兄であるウラタロスをこっそり犯して鬱憤を晴らしている。
基本的に無邪鬼畜。
野上良太郎→イマジン一家の右隣に住むおっとりとした少年。
モモタロスの恋人であり、常にイマジン一家に夕食をごちそうになっては泊まっていく。
言動が穏やかでのほほんとしており、争いごとを好まないがモモタロスには独占欲むき出しで調教を欠かさない。
だが、最近はふたりの関係を知ったイマジン一家からことごとく邪魔されており、あまりエッチできないのが悩みの種。
桜井侑斗→イマジン一家の左隣に住んでいる口の悪い少年。
キツイ性格をしているため友達がおらず、野上良太郎とは同じ学校のクラスメートだが話す事は少ない。
良太郎の姉である愛里から、「うちの良ちゃんを宜しくね」と任されている。
人妻デネブにかたおもいしているが、おもいを伝えることができずに悶々としている。
本作品の中で唯一の一人身であり、報われないかわいそうな人。
第2話「平和な日常」
いつからか僕は、脂ぎった親父共に媚びを売るようなホストと化していた。
給料は結構もらえる。
父親の収入が少ないのだから、僕がこういう仕事をしなければいけない。
僕の仕事の事は、父親以外誰も知らない。
優しい母が知ったら卒倒するだろう。
だって僕は今日も抱かれに行くのです。
家族でおいしい夕飯を食べたその後に。
「亀ちゃーん、そろそろお仕事の時間でしょ?行かなくていいの?」
夕飯の片づけをしながら弟が言った。
紫の瞳を瞬かせて言った彼は、僕が何の仕事をしているのか薄々感づいているようで、時折僕を脅してくる。
母に仕事の事をバラされたくなければ言う通りにしろと冗談混じりに言いながらぼくを犯すんだ。
男に媚びを売るのは仕事中だけでいいのに。
どうして家の中でもこんな真似をしなきゃいけないんだろうね。
時々、他人と触れ合うことにさえ嫌悪を覚えるのに。
「ウラタロス、お茶碗片付けるね」
「あ…ありがとう、良太郎」
ふと視界に入った少年が、僕の目の前に置かれている空の茶碗とお椀、箸を取った。
彼の名前は野上良太郎。
我がイマジン一家の長男でありイマジン一家いち中身がスカスカでおバカな兄…と付き合っている男だ。
人柄も良くて謙虚で、控えめすぎる所はあるけどなかなかの美少年だよね。
兄さんにはもったいないくらい。
「…ウラタロス?僕の顔に何かついてる…?」
良太郎が不思議そうに首を傾げる。
何でも話せてしまえそうな、穏やかな表情。優しい声。
僕は釣られそうになって…やめた。
釣るのは好きだけど釣られることには慣れてないから。
「何でもないよ。良太郎って男が惚れるくらい良い男だなって見惚れてただけ」
「はは…ウラタロスって本当に口が上手いんだね」
僕の言葉に、良太郎は穏やかに笑って言った。
こんなに優しい恋人がいるのに兄さんは何をやっているんだろう。
僕の弟は室内にも関わらずシャボン玉で遊んでは母さんに怒られている。
父さんに至っては、新聞を開いたまま眠っていた。
兄さんだけがこの居間に姿を現していない。
「…そういえば、兄さんの姿が見えないんだけど」
夕飯が静かになっていいんだけどね、と付け足して辺りを見回す僕に、良太郎は何気なしに言った。
僕の食器を胸に抱えて、さも当たり前のように。
「モモタロスなら2階の部屋で悪戦苦闘してるとおもうよ」
「悪戦苦闘?」
僕が聞き返すと、良太郎は大きく頷きを返す。
目元にかかった長い前髪をゆっくりと耳の後ろにかけてからきみは言った。
「媚薬飲ませてからベッドに縛り付けておいたんだ。僕が夕飯食べ終わるまでイケないように」
良太郎がそう言ったのと同時に、居間に縄で体中ぐるぐる巻きにされた兄がふらふらと倒れこんできた。
弟の相手をしていた母さんが心配そうにかけよってから片手で縄を引きちぎる。
…母さんは父さんの次くらいに握力が強いから、縄を引きちぎるくらい簡単なのだろう。
「モモタロス、どうした。大丈夫?この縄って…」
「うん、僕がやった」
母さんの言葉に良太郎が即答した。
兄さんはと言えば、体中を縄で縛られながらも肩の力だけで上体を起こして良太郎くんを見やる。
「…ざ、残念だったな…良太郎。俺は自力で脱出してやったぜ…っうぐ…」
媚薬の回っている兄さんの身体は喋るだけでも限界なのか、顔を真っ赤にして荒い息をついている。
そんな兄さんに近付いた良太郎は、先ほど僕に見せたのとは比べ物にならないほど冷たい目で兄さんを見つめると、痛いくらい張り詰めている兄さんのものを前触れもなく足で踏みつけた。
「そうだね。じゃあご褒美あげるよ…足でしてあげる」
「ふぁっ…あ、うぅ…良太郎のバカヤロォッ…!足なんかで俺がイクわけ…あぁんッ…!」
「イクわけ…何?きもちよくてたまらないくせに…」
「ちがうぅ…!良太郎のアホォ!」
コントでもやってるのかお前らは。
僕はツッコミそうになってやめた。
どんなに良い人でも欠点がある。
優しくて美少年の良太郎にも…欠点はあるのだ。
それが…恋人いじめ。
口でいじめるだけならまだかわいい。
良太郎は、恋人を痛めつけることによって快感を得る「ドS」ってやつらしい。
被害を受けるのは兄さんだけ。
兄さん以外の人には至って無害だから、誰も何も言わない。
でも…教育上よくないんだよね。
僕の弟なんか真似しようとするんだもん。
「良太郎が桃いじめしてるー!ボクもやりたいやりたいー!ねえ亀ちゃん」
「やめときな、リュウタ。ロクな大人になれないよ」
弟がはしゃいで僕に抱きついてきた。
それを受け流しながら言ってやる。
目の前では穏やかな良太郎がぐりぐりと兄さんのものを踏みつけている。
そんな騒ぎの中でも父さんは起きない。
置物みたいに眠っている。
母さんはと言えば、顔を赤らめながらもあえてスルーしているようだった。
遅れた夕飯を貰っている侑斗と一緒に傍観している。
「野上の奴…またサカってんのかよ。しかも夕飯時に…。何が悲しくてヤローの体見ながら飯食わなきゃいけないんだ。ドリフのビデオ見ながら食おーっと」
「あ、だめ!侑斗、ドリフは教育に悪い。教育テレビにしよう?」
「ガキ向けじゃねーかよ!バカにしてんのか」
侑斗がダダをこねるけど、母さんはかぶりを振って侑斗を諭す。
そんな母さんに寝技をしかける侑斗。
侑斗のプロレスゴッコに付き合いながらも母さんは楽しそうだ。
ほんっと、何やってんのこの家族。
良太郎と侑斗は家族じゃないけど、家族のようなものだ。
僕らイマジン一家の右隣に野上良太郎、そして左隣に桜井侑斗の家がある。
ご近所と言うこともあって、僕ら家族とは仲良くしてもらっている家だ。
時々、良太郎のお姉さんも来てコーヒーをごちそうしてくれるときもある。
イマジン家、野上家、桜井家は切ってもきれないご近所関係ってこと。
「…何や、さっきから騒がしいな」
ようやく起きたのか、新聞を閉じる音と共に父さんの声が耳に入った。
父さんは首をひとつ鳴らして立ち上がると、おもむろに良太郎と兄さんに近付く。
良太郎は父さんに気付いたのか、振り返り際に言った。
「…モモタロスを僕のお嫁さんにするためにはこうやって開発してやらないとダメなんだよ。キンタロスなら分かってくれるよね?」
「お、おう…泣けるで。良太郎、モモンガをよろしく頼むわ」
良太郎が言うと、父さんは僅かに後ずさってからぎこちなく頷いた。
それにしても、息子の名前を間違えるって父としてどうなんだろう…。
父さんはすごすごと席に戻ると、再び新聞を開いて眠り始めた。
1秒で眠れるってすごいよね。
そんな家族を見ていると僕の悩みもちっぽけなものにおもえてしまう。
僕は大きくため息をついてから席を立った。
まだしがみついている弟の頭をポンと叩いて、それから笑う
「行って来ます。今日はひとりで寝るんだよ?」
「やだぁー、ボクつまんない。亀ちゃんといっしょに寝る」
僕の言葉に、リュウタが駄々っ子みたいにかぶりを振る。
紫の瞳をキュッと細めて僕の腰にしがみついている彼はまだまだ子供で、普段酷いことをされているくせに僕はキュンとなってしまう。
僕は弟の抱擁を解いてからその額に口付けた。
「すぐに帰るよ、リュウタが起きてたら一緒に寝てあげる」
僕がそう言うと、リュウタは素直に頷いて笑った。
弟は、子犬みたいで素直すぎる。
僕みたいな汚れた大人にはなってほしくないもんだ。
そうおもいながら、僕は黙って居間を後にした。
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6月14日に書いたもの。ウラは報われない子設定ですー(笑)