いけないことだと分かっていた。
大好きなきみをこうやって組み敷いて、おもうがままに屈服させる行為は。
もうどのくらい繋がったままなのか、きみは口の端から白濁液を垂らしながら虚ろな目を僕に向けている。
健康そうな肌は真っ赤に染まり上がって、頬や首筋に赤い花びらが散っている。
きみの荒い吐息が僕の腰に響くんだ。
もっと、ひどくしてやりたい。もっと、壊したくなってくる。
「僕が動かさないと締め付けられない?使えないイマジンだな…」
僕は舌を打ってきみの突起を軽く摘んでやる。
敏感になったそこは、摘まれただけで硬く尖って上を向いていた。
抵抗なんて言葉を知らないきみは従順なくらいに腰を動かして必死に僕をイカせようとしてくれる。
でも足りないんだよなぁ。
「……期待外れ。ウラタロスのほうが上手かったよ」
逆立った髪を強く掴み上げて言ってやると、きみは肩を荒げて大きく息をついた。
目尻が赤くなっている。僕が泣かせたから。
きみは舌先をぴくりと動かして僕を呼ぶ。
呼びたいだけ呼べばいい。
僕がきみたちイマジンに情を移すなんてことはない。
ウラタロスは僕が調教してやった。キンタロスとリュウタロスは、きみの次。
普段ナンパばっかりしているウラタロスは、女の子が呼んでいるからと言って連れてきたラブホテルで媚薬入りの酒を飲ませてから無理やり犯した。
楽しかったよ?
だって僕の役に立たないくせに口ばっかり達者なんだもの。
あの馬鹿亀の体にはたっぷりと僕の精液を注ぎ込んでやった。
男に犯されるなんて想像もしてなかったのか、ウラタロスはシーツをきつく掴んで泣きながら僕になぶられていった。
騎乗位で、バックで、何時間も何時間も。
だから今度はきみの番だ。
ウラタロスみたいに犯してあげる。
甘ったるい声を上げさせて、無理やり僕に服従させてやる。
「モモタロス…本当にきみは下手だね。喘いでばっかり…子供でもできるよ?」
僕が言ってやるとモモタロスは喉を鳴らして顔を背けた。
真紅の瞳にはうっすらと涙が浮かんでいる。
僕に裏切られて悔しいんだ?
ウラタロスもそうだった。
泣きながら、僕を呼んで果てたんだ。
親しい人間に体ごと服従させられて、喘いでた。
きみも同じだよ、他のイマジンと。
「…なんでッ…だよ…うぐ…あ…はぁッ…!俺は…良太郎のことを…ずっと…」
友達か何かだとでもおもってた?
僕はモモタロスのものをしごいてやりながら聞き返した。
逸らされていたモモタロスの顔がゆっくりと僕に向き直る。
モモタロスはどこか陶酔した顔で、それでも悲しげに目を細めて言う。
「俺は、な…ッ…!良太郎が好きなんだよォッ!!友達じゃなくて…ッ…仲間でもなくてッ…ああァッ!」
悲痛な声は喘ぎに変わった。
僕は、モモタロスにとって友達でも仲間でもない、好き、らしい。
まぁ、僕もそうだ。
イマジンたちを仲間とおもったことはない。
使える道具…その程度にしかおもっていないんだ。
別にイマジンに恨みがあるとか、ハナさんみたいに特別な理由があるから嫌いとか、そんなんじゃない。
ただ、僕自身が他人に興味がないだけだ。
姉も、友達も、仲間も、イマジンたちだってどうでもいい。
だって人間は結局ひとりで生きているじゃないか。
「…僕もモモタロスが大好きだよ」
僕はモモタロスの髪をゆっくりと撫でて言った。
赤い目が僕をじっと見つめている。
鼻にかかった甘い声が、僅かに跳ね上がる。
キュッと僕を受け入れている部分が収縮した。
僕の言葉に反応したんだろうか?
「…愛してる。好きだ…モモタロス」
「んぁ…はあ…あッ…やめ…んん…耳の傍で…ッ…そんな事、言うなァッ…!おかしくなっちまうじゃねーかよォ…」
モモタロスは僕の言葉に反応してシーツに顔を埋めた。
ボロボロと涙を零して、僕を受け入れながら喘いでいるきみ。
何で、こんな言葉くらいで反応するんだろう?
僕は笑いをこらえながら言った。
「…おかしくなってもいいよ。モモタロスはこういう台詞に弱いんだ?ならもっと言ってあげる…」
僕は身を乗り出して、モモタロスの耳朶に口を寄せた。
既にモモタロスの声は甘ったるく変化して、僕の耳にねっとりと響いてくる。
シーツから手を離して、僕の手をきつく握ったモモタロスは苦しそうに肩で喘ぎながら赤い目を向けた。
「良太郎ォッ…俺も…おまえのこと、ずっと好きだったんだよッ!誰にも…ふぁッ…負けたく、ねェ…ッ…」
何が「俺も…」なんだろうね。
僕はきみをからかうために好きだと冗談を言っているだけ。
だって僕がきみを好きだと言うと…きみの締まりがよくなるんだもの。
好きって言えばぎゅって締め付けられてきもちいいから。
本心じゃない。
きみなんかどうでもいい。
はずなのに。
「誰にも負けたくないなら…僕のものになってごらん?僕の全部を求めるんだ…モモタロス」
目の前の耳朶を強く吸い上げると、モモタロスが上擦ったような声でしゃくり上げた。
それでも僕の言った事は理解したらしい。何度も頷きながら僕の背に腕を回す姿は健気だった。
モモタロスはヘタクソなりに腰を動かして苦しそうに喘いでいる。
変な奴。
「んんッ…はぁ、ふ…りょ、たろ…きもちいいよォ…んあッ、あ!奥、イイッ…擦れて、すっげェの…」
モモタロスはかわいらしい声を上げて僕を求めた。
掠れた男の声だけど、それが何故か愛しくおもえて。
僕は黙ってモモタロスの唇に口付けた。
涙の味がするキス。
モモタロスの腕がきつく僕を抱きしめた。
「…ふ、く…んはぁ…良太郎…もっと激しくしろよォ…んっ、俺の体、メチャメチャにして良いからァ…」
濡れた水音に混じるモモタロスの声は僕を求めている。
こんなに乱暴にされているのによくそんな事が言えるな。
…マゾじゃないんだから、メチャメチャにして、とか言わないで欲しい。
本当にしてしまいそうで怖い。
怖い?
イマジンなんかどうでもいいのに、怖いのか?僕は。
「解らない…きみのきもちが」
そして僕のきもちも。
両方、理解不能だ。
「べつに俺は、良太郎の事が好きなだけだぜ?へへ…良太郎もだろ?」
モモタロスはけろっとした顔をしてそんな事を言う。
こいつ、自分がレイプされているって自覚はあるんだろうか?
馬鹿なモモタロスの事だから…分かってないのかもしれない。
僕は唇を軽く触れ合わせたまま言った。
「僕はきみをレイプしたんだよ?」
「知ってる」
意外な答えが返って来た。
モモタロスは、どこか照れくさそうに頭をかいてから目を瞑る。
「でも…相手が良太郎なら…何されたってイイっておもってるしよ。おまえが亀とシたのは…許せねーけど」
そう言ったモモタロスの頬は僅かに赤く染まっている。
変なの。
変なの。
僕はモモタロスの頬を撫でながらぼんやりとおもった。
きみのことなんてどうもおもってないのに。
おもってないはずなのに。
純粋すぎるくらいのおもいをぶつけてくるきみは…僕にとって脅威。驚異。
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黒良×桃なれそめ話。
良桃至上主義ですー。