別に祭なんか、興味はなかった。
けど、お前の部屋を掃除するから祭に行って来いって親に言われたから出かけた。
それだけだった。
浴衣なんか必要ないって言ったけど、去年着た記憶のある藍色の浴衣を無理やり着させられて小遣いを渡される。
普段の服よりは涼しくていいかもしんねぇが和服は着慣れない。
俺は口の中のガムを噛みながら、懐に入れていた携帯を弄っていた。
どいつもこいつも祭に行っているとかで繋がらねぇ。
俺は深々とため息をつく。
こういう町内の行事は苦手だ。
皆で協力して何かをするとか、町を盛り上げようとかくだらねぇ。
まぁ子供にとっては祭の時しか食えないような美味いものが手に入るからどうでもいいんだけど。

「あー、あちぃ。うぜぇ」

俺はさっきから何度も繰り返した言葉を呟いた。
行きかう人の体が肩や腕に当たるたび舌打ちをする。
あつくてイライラしたし、つまらない自分にも腹が立った。
どこかに面白い事はないんだろうか。
そうおもっていたとき、りんごあめの屋台の前で知った後姿を見つける。
あれは大門の妹、知香とか言ったっけ。
知香は小銭を手の中で転がしながらりんごあめを見ていた。
もう一方の手にはオレンジ色の正方形をした玩具を持っている。
屋台を行ったりきたりしながら、ぶつぶつと何かを言っていた。
買うかどうか迷っているってとこか。
つか…兄の大門は一緒じゃねぇの?

「やっぱり美味しそうだなぁ。でもむこうのあんずあめも美味しそうだったし…あーん、迷っちゃうよぉ。りんごあめとあんずあめ、どっちがいい?アグちゃん」

知香はそう言って屋台のおやじを困らせている。
しばらく屋台の前でうろうろしていたが、痺れを切らしたおやじが知香に小さなりんごあめを渡した。
お嬢ちゃんは可愛いから特別だよ、とおやじが笑う。
知香ははしゃいだ声をあげて礼を言うと、すぐに人ごみの中へ消えていった。

「ぜーったい、ケチなマサルにいちゃんなんかにはあげないもんねーだ!たこ焼き買ったら盆踊り行って来ようっと。アグちゃんにも食べさせてあげるからねー」

耳にそんな言葉が入る。
大門と喧嘩でもしているのだろうか。
まぁ、俺には関係ねぇけど。

「…あちー…かき氷でも食うか」

俺は懐から財布を出すと、小銭を確認しながら歩いていた。
かき氷は大体200円から300円くらいだから十分足りる。
メジャーな屋台だからすぐに見つかるだろうとおもって顔を上げたとき、不意に突っ込んできたオレンジ色の浴衣の男と衝突した。

「ぐあっ!」

勢いに任せてそいつが俺の胸に飛び込む。
聞き覚えのある声だ。
茶髪を後ろで縛っていて、女みたいに髪を伸ばしたこの男は…さっきのガキの兄貴。
大門大に違いない。

「いてぇ…何だ、勝俣かよ」

俺の予想したとおり、顔を上げたその人物は大門大…子供っぽい顔をしているくせに喧嘩は恐ろしく強い真っ直ぐな奴。
俺はそこが嫌いだけど。
大門は俺から離れると、誰かを探すように辺りを見回した。

「あぁもう知香…本当に走ってく事ねぇだろーが…デジヴァイスまでぶん取りやがって…。迷子になったらどうすんだよ」

不安そうな顔で辺りを見回す大門は、少し暗めのオレンジ色をした浴衣を身に着けている。
なかなか似合っているとおもった。
体のラインを強調するかのように帯がきつく締められていて普段着の時とは違う、どこか大人しそうな印象を俺に与える。
俺は大門から目を逸らして口を開く。

「お前の妹、さっきりんごあめの屋台の前で見たぜ」

「な、何ッ!!本当かッ!?」

大門は面白いくらい俺に食いつくと、目を丸くして詰め寄った。
そうして、俺はすぐに駆け出そうとする大門の腕を慌てて掴む。
なんてせっかちな奴だ。
お前よりもよっぽどしっかりした妹なんだから迷子になんかならねぇだろうが。
腕をつかまれた大門は眉を深く寄せて俺を睨むと、手を振りほどこうと身を捩る。
こいつに本気を出されたらさすがの俺でも歯が立たない。
悔しいがそれは事実だった。
だから、卑怯な手に出てやるとする。

「俺さ、さっき聞いたんだよ。お前の妹がどこに行こうとしてんのか」

俺がそう言って大門の腕を引き寄せると、大門は一歩だけ俺に近付いて警戒した表情のまま押し黙った。
それでも表情は揺れている。
妹の行き先が気になっている証拠だ。
俺は大門の腕を離すと、軽く顎をしゃくる。
ここで強引に連れて行ってはいけない。
あくまでも、ついてきたければついてこい。
ただし、ついてこないと妹の居場所は分からないままだぞと無言の圧力をかける。
どうせ1人で探してる間にあの妹は帰っちまうだろうしな。

「ついてこいよ」

そう言って人ごみをかきわけるように歩き出すと、一歩遅れて大門の下駄の音が聞こえた。
おもわず笑みがこぼれる。
退屈してたんだから丁度いい、コイツで遊んじまえ。
邪魔な舎弟たちもいない。俺ひとりでこいつを独占できる。
そうおもった。

「勝俣、てめ…待ちやがれ!本当に知香の居場所知ってんだろうな!?嘘だったら承知しねえぞ!」

後ろから大門の声が聞こえる。
本当に妹馬鹿な男だ。
俺は短い返事のみを返して神社の境内へと向かった。
ここは人も少なくて、少しだけ涼しい。
境内の裏手に生えている木の傍で立ち止まると、大門が息を切らして俺を見やった。
俺は鼻で笑ってから、境内の隣を指差す。
境内の周りは木々に覆われている。
その木々を越えた向こう側では盆踊りの曲が聞こえた。

「お前の妹はあそこにいる」

俺がそう言うと、大門は木々の向こうを見つめてからすぐに駆け出そうとした。
もちろんそんなこと許すわけがねぇ。
俺は大門の体を後ろから抱きしめるようにして地面に押し倒した。
地面に額をぶつけた大門は小さくうめいたが、体の上に俺が乗っているため身動きが取れないらしい。
こいつはユカイだ。
俺は自然と上がってきた息のまま、大門の腰帯を解いた。
強く体重をかけて圧し掛かっているから大門は簡単に起き上がれないはずだ。

「ぐうっ…てめっ…こんなときまで喧嘩かよッ!!俺は知香をっ…」

大門は横目で怒鳴ると身を捩って俺を罵った。
もちろんそんな事言われたって、俺の良心はピンピンしてる。
腰帯で大門の両手首を縛ってやると、次は俺の腰帯を解く。
俺は素肌を露にして、大門の胸に手を回した。
地面で擦れたためか大門の乳首は僅かに尖り始めている。
俺は大門の耳元に顔を寄せた。

「何だよ…乳首堅くしやがって…気持ちイイんだろ?大門、弄らせろや…」

「んっ、つ…てめぇ…何ふざけたこと言ってやがるッ!!」

俺は女にするように大門の胸を揉んだ。
平たい胸を揉んで、搾り取るように指を動かすと、大門が窮屈そうに身を捩ってぜぇぜぇと息を荒げている。
肺が圧迫されて苦しいんだろう。
俺はそれを都合のいいほうにとって笑った。

「へへへッ…なァに興奮してんだよ?妹の居場所教えてやったんだから礼のひとつにヤらせてくれたっていいだろォ…?」

俺は、大門の耳朶を噛みながら爪で胸を引っかいてやる。
自由のきかない大門の手が、帯を解こうと動いていた。
逃がしてやるもんか。

「くそっ…離せッ…知香っ…知香が迷子になっちまったら…」

「お前ホントに妹バカだな…」

「バカじゃねぇッ!!」

大門は暗がりの中で顔を上げた。
苦しそうに息をつきながら、体の上の重みに耐えている。
圧し掛かっていると、意外と抱き心地のいい体が震えるからいい気分だ。
俺は自分でも下品だと感じる笑みを浮かべると大門の浴衣の中に手をもぐりこませる。
下着は履いていないようだ。
びくびくと肩を震わせている大門が時折呻き声を漏らす。
それが余計に俺を煽った。
俺は大門の胸の突起を擦り上げながらうなじに顔を埋めた。
祭に行く前に風呂でも入ってきたのか、大門の体からは石鹸の淡い匂いがする。

「ぐっ、う…あぐっ…勝俣っ…てめ…離しやがれっ!!こんなこと…」

大門が身を捩るたび、浴衣がスレて肩口が露になっていく。
俺は大門のうなじから肩までをゆっくり撫でながら笑った。
さっきまで散々つまらなかったんだ。
今くらい気持ちイイおもいさせてくれても良いだろ?
俺は息を荒げながら大門の下腹部へと手を移動させる。
強く握ると、押し付けていた体がびくりと震えた。
大門は地面の土を強く掴んでいやいやと首を振る。

「ゆ、浴衣…が…汚れ…うぁ…はぁっ…」

浴衣から覗く綺麗な足が俺の頭の中を酔わせる。
揺れる吐息がいやらしいとおもった。
俺は握ったものを乱暴に擦りながら、服の上から大門のつぼみの辺りに大きくなった自身を擦り付けてやる。
大門は自然と腰を上げるようにしながらかぶりを振った。

「ひぐぅ…離せよ…人が来たらっ、知香が見てたら…俺…んあっ…」

緊迫した大門の声に、鼻にかかったものが混じった。
こいつ、結構感じやすい?
俺は大門のものを扱きながら耳元に顔を寄せてやった。

「見せ付ければ?お前、見られるとすっげぇ興奮すんだろ」

「ちっ、が…あふっ…」

びくびくと大門の肩が震える。
いつのまにか抵抗の色はなくなっていた。
俺は大門の両手首を戒めていた腰帯を解いて、大門の体を仰向けに寝かせてやった。
大門は浴衣をすっかり汚した哀れな格好で俺を見上げている。
ぜぇぜぇと喘ぎながら、解けた両手を見て不思議そうに眉を寄せた。
俺は、縛り痕のついた腰帯を一瞥してから大門のものをぐるぐると縛り上げていく。
もちろん、大門の抗議の声が聞こえた。
聞くわけねえけど。

「勝俣っ、やめ…痛っ…ふぁ…」

縛り上げた部分を腰帯ごと強く引っ張ってやると、大門がひきつれた声を上げる。
俺は、つぼみにあてたままの自身を少しばかりずらして性行為の真似事のように腰を動かす。
もちろん入る訳ねぇ。
潤滑油でもないかぎり、お互い痛いだろう。
自分が痛いのは嫌だった。
さて、どうするか。

「はぁ…あ…」

大きく息をついた大門の懐から、何かが見えた。
懐に手を突っ込んでそれを引き抜くと、透明なパックに入ったピンク色の粘液。
水あめか。
潤滑油にするにゃちょっと硬い気がするが…。

「か、勝俣!何してんだよッ…それは知香にやる水あめ…」

パックのふたを開けて、指で水あめを練り始めた俺を見て大門が声を上げた。
やめてやるかよ。
少しかたい水あめを指でほぐしていくと、とろりと指に吸い付くピンク色のソレが甘ったるい匂いを醸し出す。
指を引き抜いて大門の唇に押し当ててやる俺。
苦しそうな声とともに、大門がそれを銜えた。

「よーく舐めろよ、お前の下の口にも食べさせてやるから」

「んっ、んぐっ…」

大門は涙目でそれをくわえながら俺を睨む。
大方、妹への機嫌取りに持っていくつもりだったんだろう。
そんなの俺には関係ねぇ。
ゆっくり指を引くと、唾液とはまた違う糸が大門の唇と俺の指を繋げた。
大門はそれをもったいなさそうに舐めながら時折肩を震わせている。
熱心にも見える行為がすごくやらしくて、俺は息を飲んだ。

「んん…むう、ふ…」

指を引き抜いて、大門の唇に濡れた指を当てると大門と目が合う。
おもってるわけもないのに、早くしてとせかすような瞳に見えた。
俺はつくづく都合のいい思考をしてる。

「そんなにエロい目で見んじゃねえよ。頼まれなくても最後までしてやるからさァ…」

「さ、最後って…ひっ…!」

俺の勝手な解釈に大門が目を瞬かせる。
つぼみに当てたものを離して、そこに水あめでべっとりと濡れた指を押し当てた。
ほぐすようにつぼみへ指を出し入れさせながら、縛られたままの部分へ目を向ける。
そこは解放をもとめるように蜜を垂らして泣いていた。

「はぁ、あっ…やめ、そんなとこ…触んじゃね…うぁ…」

泥だらけになった身体は、俺に脚を開かされた惨めな格好のままで喘いでる。
本気で嫌なら抵抗しろよ、いつもみたいに。
俺は潤滑油代わりの水あめをつぼみに流し込むようにほぐしていく。
そろそろいいんだろうか、加減がよくわからない。
おもむろに大門の脚を抱え上げて、わざと見せ付けるように大きくなった俺のものを見せてやる。
大門は目を大きく見開いてからかぶりを振った。

「や、やめっ…入るかよ、そんなのっ!!やめろ…勝俣ぁ!」

大門の声を合図にするようにして、俺は自身を水あめでべたべたになったつぼみへと押し入れる。
先端に軽い抵抗感はあったが、勢いをつけるとそれはすんなりと俺のものを通した。
口では嫌だとか言ってるけど下の口はガードゆるいじゃねぇか。

「何だァ…そんなに俺が欲しかったかよ?イカしてほしいなら締め付けてみやがれ」

「ふっ…ざけ…はぁ…あっ…」

前立腺の辺りを擦ったのか、大門は上擦ったような声を上げて身を捩った。
大門のつり目がちの瞳はうっすらと潤んでいて、俺のことがもっと欲しいって言っているように見える。
お望み通りくれてやるからいいこにしてろよ。
俺は大門の頬にキスをくれてやりながら笑った。
乱暴に腰を使うと、それだけで大門の体が跳ね上がる。
縛り上げた部分は蜜を垂らしながら震えていた。

「んぁ…あ、あ…やめ…も、や…」

口の端に髪の一筋を張りつけた大門は息も切れ切れにかぶりを振る。
もちろん許してやらねぇ。
俺は、大門の下腹部を縛り上げる腰帯を強く引っ張った。
大門が泣き出しそうな声を上げる。
たまんねぇ、ゾクゾクしちまう。
人を屈服させる行為って何でこうもソソられんだろう。
こいつは男なのに。

「大門…」

俺は下品な笑みを浮かべて、空いたほうの手を大門の顎に当てた。
何をするかくらい分かるだろう。
大門の瞳が見開かれる。
身を捩りながらかぶりを振る様子が可笑しくて、俺は笑った。

「んだよ、好きなのか?こうされんのが。それとも待ってたわけ?」

「ち、ちがうッ…ホント、やめ…んんうっ…!」

俺は抗議の声を無視した。
押し付けるように口付けてやるとくぐもったような声が漏れる。
縛ったままの腰帯を掴んで乱暴にそれを解いた。
強く縛ったせいか少しだけ変色している大門のものが、ぴくりと反応した。
俺は前触れもなくそれを掴んで、上下に扱き上げる。
大門の声が少しずつ熱を帯びていくのを感じた。

「はぁ…うあ…う…やめろよぉ…うっく…」

「欲しかったくせによく言うぜ」

俺はわざとらしくゆっくりと言って大門の体を起こした。
浴衣が大門の肩から滑り落ちる。
むき出しの上半身は14歳というよりも大人びていてしっかりした体つきをしている。
それなのに怯えたような瞳はあどけなくて、俺はそれに見つめられているだけでゾクゾクした。

「…大門、口開けろ」

俺が言うと、大門は泣きそうな顔をしてかぶりを振ったが俺が強く顎を掴むと観念したようにおずおずと口を開けた。
いきなり従順になった大門に、少しだけ、いやかなりの興奮を覚える。
俺は自分の舌を滑り込ませるようにして大門を愛撫した。

「…んんっ…くふ…勝俣ぁ…いやだ、やだ…んん…ふ…」

「どうした、ずいぶん大人しいじゃねェか」

「…ッてめぇのせいだろうがッ!!」

俺の言葉に、大門はカッとしたように勝気な目を見せて俺の胸ぐらを掴む。
それでも下腹部のものを扱いてやると、その瞳が怒りと羞恥の間で揺れた。

「…あ…あっ、んっ…」

まるで女のような声を上げる大門に、俺は興奮しきってしまって腰の動きを早める。
強く抱き寄せて、水あめと体液のまじったいやらしい音を響かせると大門が苦しそうにかぶりを振った。
本当はもっと恥ずかしい事でも言わせてよがらせてやりたいのだが、俺にはだんだんとその余裕がなくなってきている。
だから焦らすような真似もせず、ただ自分の気持ちイイように腰を動かした。
俺の膝の上で揺さぶられたままの大門は口の端から銀色の液を垂らして苦しそうに喘いでいる。
その顔は暗がりでよく分からないが赤くなっているのは確かだった。
何が"いやだ"だよ。
俺はわざとらしく結合部の擦れるような音を大門に聞かせる。
神社中に響かせるように腰を使うと、揺さぶられたままの大門が自分の口を手で押さえて仰け反った。

「う、うあ…音、やだっ…やめ…あっ、ひぃ…うく…ああぁん…!」

大門の唇から一際艶っぽい声が漏れる。
おもわずゾクリと下腹部に快感が走った。
大門はと言えば、思いも寄らぬ声を出してしまったとでも言うようにうつろな目のまま自分の口を押さえている。
俺は内部を弄るようにゆっくりと腰を使った。

「何だよ、ああぁんって…すげえ感じてんじゃねえのか、おい?このド淫乱ちゃんよ…」

「ひっ、ひい…あふ、あう!淫乱なんか、じゃな…か、つ…またぁ…!」

上擦った大門の声がどんどん淫らなものへ変化していく。
その様子がたまらなかった。
俺は深くまで自身を突き入れてやった。
ぐちゅ、ぬちゅ、と濡れた音が響く。
ぴんと尖った大門の突起を指で弾いて反応を伺う。
大門はいやいやとかぶりを振りながら俺の手を押さえ込んだ。
それはまるで、もっと触ってほしいと言っているみたいだ。
俺は口の端を上げた。

「いけよ、大門」

「…っ、へ…?い、く…?」

大門は、俺の言葉に不思議そうな顔をしていたが、俺が行為を再開するとだらしない声を上げながら背をそらす。
もっとして欲しいと言わんばかりに甘い声で鳴くから、もっともっとよがらせてやりたかった。
喧嘩なんてせずにコイツをモノにしちまえばいいのに…俺も馬鹿だ。

「お前が女なら…よかったんだけどな」

俺の呟きに、大門が少しだけ眉を上げた。
でもすぐに苦しそうに眉を寄せてから強気に唇の端をつりあげる。

「ばーか…俺が女じゃ…てめーと喧嘩もできねぇだろーがッ…」

その言葉に、つい吹き出してしまう。
大門の言う事はもっともだ。
こいつが女じゃ喧嘩はできねぇ。
セックスするなら女相手のほうがいいけど…喧嘩ができねぇのはムカつく。
こいつもおなじ気持ちなんじゃないだろうか。
俺は鼻で笑ってから大門の腰を押さえつけてやる。
そうして強く腰を打ちつけると、尾を引くような艶っぽい声が響いた。

「んっ、んんっ…ひ、やめろよ…あ、はぁあ…っ!」

「やめろ?喧嘩とおなじで大好きだろーが、男にこうされんのがサ…」

ぐちゅ、ぐちゅ。
勃ち上がった大門のものは、涙を流しながら俺に懇願しているように見える。
俺は無心で腰を使いながら笑った。
今犯している相手は口の減らない生意気な、自称「日本一の喧嘩番長」だ。
俺はそいつを組み敷いて喘がせている。
下の口からやらしい汁を零して、俺が腰を突き入れるたびに悲痛で気持ちよさそうな声を上げていた。

「大門っ…いいだろ?すっげーだろ?…いかせてくださいって言えよ…」

俺はわざと猫撫で声を上げて言ってやる。
それすらも感じるのか、大門は涙をためた目をそらした。
だが身体は正直なもので、俺の動きに合わせて僅かに腰を揺らしているように見える。
俺の身間違いじゃなければ、こいつは感じてる。
おもわず笑みがこぼれた。
わざとゆっくり腰を使ってやると、たまらないのか大門が大きな息を吐く。

「う、うぁあ…や、やめろ!もう…ふあっ…いぅ…んあ…」

大門は何かを言いかけて口を閉ざした。
何を言おうとしているのかなんて俺にはちゃんとお見通し。
俺は大門のものを乱暴に掴んで笑った。
上下に扱いて、時々亀頭を指の腹でわざと強くぐりぐりと刺激しながら、大門が墜ちるのを待つ。
大門は浴衣からふとももを覗かせた扇情的な格好で喘ぎ続けた。
既に声が掠れている。
だがそれもどこか色っぽくて、たまらなかった。

「言えよ、淫乱大門」

耳元に唇を当ててそう言ってやると、大門は俺の胸ぐらを掴んでから苦しそうに喘ぐ。
粘膜の擦れる音や互いの吐息が大門の神経すべてをぐずぐずにしているんだろう。
そうおもうとたまらない。
大門は不意に、俺に定まらない視線を向けて口を動かした。

「あ…、ふ…か、勝俣…いかせ…ほし…」

「は?聞こえねーし」

あの大門が自分から快楽をねだる姿が見られる。
胸が高鳴った。
けれどわざと突き放すように言ってやる。
大門はかぶりを振りながら俺の胸に縋りついた。
石鹸の匂いが一層濃くなっている。

「い、いかせてぇ…勝俣っ…俺、もうだめ、なんだっ…ひぃ…んんっ…」

大門の声は切実だった。
あー楽しい。
こうやってじわじわと他人を快楽にハメてくのがたまんねぇ。
喧嘩もいいけどセックスも好きだ。
何も考えなくていいし?

「何がだめなんだか言ってみろよ、大門」

俺は大門の頤を掴んだ。
暗がりのせいか黒っぽく見える緑の瞳はぽやーっとしながら俺を見つめている。
小さな唇が何かを求めるように動いた。

「くすぐったくて…こわれ、そ…あふっ、ううぅ…んあっ…」

大門の声色がだんだんと高くなってく。
本当に気持ち良さそうな声で鳴くから、これ以上の言葉責めは不要だとおもった。
足を高く掲げてやって、腰の動きを早める。
大門はぜぇぜぇと喘ぎながら俺の動きに合わせて腰をもぞつかせた。
尿道からせりあがってくるものを感じて、大門の手を張り詰めた大門のものに握らせると小さな声がした。

「触っ…勝俣…っうあ…ひぃ!」

大門は、確かに"触って"と言った。
気持ちよすぎて感覚が麻痺したのか、それとも本当に俺に墜ちたのか…真意は分からない。
それでもお望みの通りに大門のものを握ってやる。
少しだけ爪を立てて先端をぐりぐり扱きながら腰を動かしていく。
大門は茶髪を散らせながら俺にしがみついた。
濡れた唇に口付けると、吸い付くように返してくれる。
びくんと大門の体が跳ねた。

「は、あ、あ…ああっ…も、だめ…いっ…く…ひぐ…ぅあ、あああぁぁァっ!!!」

尾を引く嬌声を上げて大門の背が弓なりに反り返る。
ぴんと尖った胸の突起を強く摘むと同時に大門のものから熱い体液が放出される。
ぎゅぎゅっと生き物のように締め付けてくる部分が俺のものを喰らいつくそうとするかのように絡みつく。
俺も溜め込んだ精を勢いよく放って大門の体を抱きしめる。
精液の匂いが青くさい。俺は大門のものをちらりと見てから、どろだらけの浴衣を見て頭をかいた。
大門はと言えばまだ長い息をつきながらぐったりと俺の胸に寄りかかっている。
意外と柔らかい体してやがんのな。
俺が大門の髪をぐしゃぐしゃと撫でると、大門は少し恨みがましそうに俺を見やった。

「知香に…言っとけよ。俺は勝俣ん家に泊まるって」

「は?」

「は?じゃねーだろ、腰立たねーんだから…」

突然の言葉に俺はただ呆然とするしかない。
大門は少し恥ずかしそうに目線をそらしてから俺の胸を強く叩いた。

「早く言ってきやがれ!バカッ!!」

そらした顔は赤く染まりあがっている。
俺は自分の浴衣を軽くはたくと、もう一回大門の頭をぐしゃぐしゃと撫でてから了承の意味で頷いた。
乱れた浴衣をぼんやり眺めている大門を見て、罪悪感のような後悔のような感情も一緒に感じる。
けどこれで大門を独占できるんだからたいした気持ちじゃない。
俺は、今頃盆踊りをしているであろう大門の妹をおもい浮かべながら、大きくて長いため息を吐いた。


















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携帯サイトのリクで頂いた勝マサですー。