君はそっと自分の唇を舐めて壁に凭れた。
捲り上げられた上着の下から、しっかりとした体が見て取れた。
さすが喧嘩番長を自称するだけあるのか、そこらの中学生よりも筋肉がついている。
大はおもむろに自分の突起を摘むと、びくりと肩を跳ね上げて強く唇を噛んだ。

「ひっ…っぐ、ふ…あ…なんで…」

小さな吐息が聞こえる。
あまり耳に入れないようにして顔を背けると、君はもどかしそうに胸の突起を擦って足元の土を蹴った。
その音が少しだけ近付く。
顔を向けると、大がどこか懇願するような、それでも睨むような眼差しで僕を見ていた。
また何か言われるんだろうか。
これ以上嫌われたくないのに。
僕がそうおもって眉を寄せていると、君はやにわに口を開いた。

「とー、ま…っぐ…頼む、お前しか頼めねぇんだ…。俺の体、さっ…触っ…」

そこまで言って、プライドが邪魔をするのか君は強く壁を叩いて言葉をかき消した。
大の腕には鳥肌が立っている。
そりゃ、男にそんな事を頼む自分がいるなんて気持ち悪いだろう。
でも大はそれを僕に求めている。
僕は黙ったまま大を見つめていた。
大の指が胸の突起を擦る。
そのたびに、敏感になった身体はびくりと跳ね上がって苦しそうにかぶりを振っていた。

「大、マスターベーションって…したことない?」

大の肩を抱いて言うと、もう反論の声は聞こえなかった。
腕の中で何度も頷く大が見える。
ためらいがちに大の下腹部にあるふくらみを掴んでやると、腕の中の体がびくびくと震えた。
背中に爪が立てられて、痛い。

「ひっ…ふ、ぐ…痺れ…るっ…嫌だ…嫌だ、何だよこれ…!」

「落ち着いて、変な事じゃない!」

半場パニックを起こしている大に、僕は怒鳴るように言った。
ぜぇぜぇと荒い息をついて、君は僕の肩に噛み付くように声を殺している。
上手く言葉が回らないけど…。

「変なことじゃ、ないんだ。僕も…なるから」

そう言って、恐る恐る大の手に僕の下腹部を握らせる。
大の痴態を見てすっかり堅くなったソレは彼の手の中にすっぽりと収まった。
肩から痛みが抜ける。
君はおもむろに体を離して、掴んだままの僕のものを見ると目を瞬かせてから不意に強く目を細めた。
やっぱり、怒っただろうか…。

「…っ、トーマ」

「な、なに」

「悪ィ」

短い謝罪。
その言葉で、全部を拒否された気がした。
頭の中が真っ暗になる。
目尻に涙が浮かんだとき、不意に君はその場に座り込んで僕を見上げた。
その目は、何かに耐えるようにきつく釣り上げられている。
それでも口元だけは笑っていて、彼の勝気な性格を現していた。

「…舐めさせてくれ」

「え…」

大の声と共に、僕のズボンに両手がかかる。
勢いよく引き下ろして現れた僕のそれは、大の鼻先で揺れた。
大はふと、とろんとしたような目を見せて僕のものを両手で包む。
何をするんだろう。
何を。
もしかして、まさか。
まさか…。

「まっ、マサル!よせ…」

抵抗にもならない抵抗の声を上げた僕は、すぐに口を噤んだ。
大は見てるほうが恥ずかしくなるくらい顔を赤くして僕のものを見つめている。
どうして僕のものを見てそんな顔ができるのか分からない。
大がそっと吐息を吹きかけてきた。
それだけで僕のものは破裂してしまいそうになるのに。

「…これだ」

大の口が小さく動く。
その声は、酷く低い。

「これが、欲しかったんだ」

震えるような声で言った君は、躊躇いもなく僕のものを口に含んだ。
僕は、初めての感覚に気を失いそうになりながら大を見下ろしている。
どうしてこんな事になったんだろう。

「マサル…」

僕は泣きたくなるのをこらえて、頬の形を僕のものでいびつに変形させている仲間を見下ろしていた。

















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トーマサにハマりました記念連載2話目(笑)