「隊長、お邪魔します」

しかめっ面でやってきたそれは、大きな荷物を持って私の家へ入り込んできた。
服装はあまり見慣れないブイネックの上着を着た私服。
私は寝起きで少し乱れた髪を直すように手櫛で解きながら目を瞬いた。
大人びているのに可愛らしい顔をした少年は私の胸を押して家に上がるときつく眉を寄せる。
美しいアイスブルーの瞳が私を見据えた。

「隊長、またカップラーメンとコンビニのおにぎりですか?身体によくないってあれほど言いましたよね」

少年、トーマ・H・ノルシュタインはとても利口な子供だった。
その小さい体では無理をしているんじゃないかとおもうほど大人びていて、何かにつけてデータに基づいた行動を取る。
トーマは腰に手を当てて私の部屋を見回すと小さくため息をついた。
ここは私の家…正確には上官から借りている部屋だ。
普通の家と変わらない広さで風呂もトイレもしっかりついている。
ただ、私のせいでガランとした部屋になっているということを除いては。

「仕方がないだろう、昨日も残業だったんだ。帰ってきたらすぐに風呂に入って寝たからな…」

「それがいけないんですよ。隊長は休みの日になると不規則な生活になるのが悪い癖です」

トーマは大きくため息をつくと、私の部屋へと押し入ってテーブルに転がったままのコンビニ弁当の箱などを片付け始めた。
小ぶりな尻が、寝起きでぼんやりした私の目に飛び込んでくる。
前屈みになってゴミを拾っているからか、尻の形がはっきりと分かった。
いかん、子供相手にときめくなんて。

「…隊長、食器が溜まっているみたいですが」

四つんばいでゴミを拾っていたトーマは不意に目線を台所に移してポツリと言った。
私が曖昧に返事をすると、ぶつくさ言いながら台所へ向かう後姿が目に入る。
そうして、捲くったままの袖を上げて食器をもくもくと洗い始めた。
貴族とも言われているトーマが私の家で食器洗いをしているなんて…おかしな光景だ。
そのまま、トーマは食器を洗い終えると部屋の隅でホコリをかぶっている掃除機を手に取って部屋を掃除し始めた。
普段使っていない棚まで布で拭いたり、ホコリを払ったりしている。
私は、トーマのパートナー、ガオモンが作ってくれたコーヒーを飲みながら掃除が終わるのを待っていた。
そうして、1時間ほど経った頃だろうか。
トーマは清々しく笑って私の元へとやってくる。

「終わりましたよ、ほら…とても綺麗になった」

そう言って私の腕を軽く引くトーマは年相応の幼さがあってかわいらしい。
私はトーマの頭に手をやって軽く撫でた。
幼児にするような私の行動に、トーマはびっくりしたように目を瞬いていたが少しだけ照れくさそうに肩を竦めて私の腕に顔を寄せる。

「…今日は、どうした?何か用があったんだろう」

私がそう言うと、トーマは少しだけ腰をもぞつかせた。
耳に聞こえる吐息に少しだけ艶めいたものが混じっている。
はちみつ色の髪を垂らした少年の頬はほんの少し上気しているようだ。
私はその顔を確かめるようにトーマの顎を掴んで軽く上を向かせる。

「…いえ、ただ隊長の事が気になっただけです。また身体に悪い生活しているんだろうとおもって…」

「嘘をつくな」

私はおもむろにトーマの言葉を遮った。
アイスブルーの瞳にはうっすらと欲望の光が宿っている。
最近は罰と称してトーマに性的な悪戯をしていなかったから溜まってしまったのだろう。
トーマはまだ子供だから、自分の欲望をどう解放したらいいのか分からないようだ。
だから私に助けを求めにきたと言ったところ、か。
天才といってもまだまだ子供だな。
私は乾いた指先でトーマの唇をなぞる。

「素直ではないな。…隊長に嘘をつくとは…仕置きが必要か」

わざと冷たい言い方をしてやると、トーマは少しだけ肩を跳ねさせて私を見つめた。
これから行われる行為に期待しているようにも不安がっているようにも見える。
私はトーマの体を抱き上げると、おもむろに自分のベッドへと運ぶ為に立ち上がった。

「…重いな」

そう言ってやると、トーマは眉を寄せて「当たり前じゃないですか」と言った。
だが、運べない重さではない。
ゆっくりと歩きながらトーマの身体をベッドへと寝かせてやる。
スプリングが軋んで、細身の体が弾んだ。
トーマは恥ずかしそうに身を捩ると、私の背に手をやって軽く唇を噛む。

「僕は…罰を、受けなければいけませんか…?」

「ああ」

私は短く返事をしてトーマの前髪を払ってやる。。
トーマのスタイルのよさを強調するように、ほっそりとした体のラインは大人びていて艶めいていた。
私はトーマの細い腰に手をやって、ゆっくりと腹まで掌で撫でていく。

「…っあ…」

トーマのか細い声が聞こえた。
掌を直に感じたんだろう。
恥ずかしそうに眉を寄せて、ベッドに身を沈めてしまう。
私は手を休めず、腹や腰を撫でながらトーマを観察した。
赤く染まってしまった目尻や、きつく閉じられたまぶたの上で震える睫毛、そのすべてが美しいと感じる。
幼いがメンバーのリーダー的存在として色々と苦労しているだろうからストレスも溜まるだろう。
こういう方法でしかストレスを解消できないこの子を可愛いとおもうが。

「気持ち良いのか?気持ちよくては罰にならんな」

私は冷たく言ってやると、ズボンへに手を差し入れる。
そうして下着ごと肌を撫でながら笑った。
服の中に手を突っ込まれたままのトーマは、不器用に身を捩って枕に顔を埋める。
そのアイスブルーの瞳が、ほんのりと優しい色に染まった。

「…廉太郎さんの匂いがする…」

ふと、トーマは私を"隊長"ではなく"廉太郎"と呼んだ。
私が目を向けると、トーマと目が合う。
彼はアイスブルーの瞳を揺らしながら少しだけ笑ってみせる。

「今は…任務外だから…僕も廉太郎さんの部下じゃない。ノルシュタイン家のトーマです」

それだけ言うと、トーマは変わらない瞳で私の頬に触れた。
頬に伝わる手が少しばかり震えている。
私はそれを握ってやった。
そうされると安心するのか、トーマはもう片方の腕で私の体を抱き寄せた。

「…苦しいです」

「お前が抱き寄せるからだろう。私は重いぞ」

「…そういう意味じゃありません…」

私の言葉に、トーマは細い息を吐いた。
強く抱き寄せた手が私の背を撫でる。
彼は甘えるように顔を首筋に寄せて、猫のように頬擦りをした。

「廉太郎さんとこうしたかった、から…嬉しくて苦しいんです」

トーマはぽつりぽつりと語り出すと、顔を伏せた。
恥ずかしい事を言うなといわんばかりに、私はトーマの唇を塞いでやる。
すぐに吸い付くようなキスが返って来た。
甘えるように唇を吸いながら、ゆっくりと後頭部に手が添えられる。
外人特有の色気が、私を誘っているように見えた。

「廉太郎さん、任務外なんですから罰なんてお断りです。…僕の事を…トーマとして、抱いてください」

トーマは唇を離して私の頬を撫でるとはにかむように笑った。
本当に困った子だ。
私はトーマの体をしっかりとベッドに横たえて、改めてその肢体を観察する。
恥ずかしそうに身を捩らせたせいで腰のラインが少しだけいやらしく映った。
部下ではないトーマの表情は私を上司だと見る目ではなく、甘えたような色をしている。
家族愛に飢えているトーマは、年上の包容力に憧れているのだろう。
私は、トーマの目尻へキスをした。
室内を静かな吐息が震わせる。

「…ん、廉太郎さん…僕…本当は…」

「うん?」

不意に、トーマは子供っぽく甘えたような声で呟いた。
私はトーマの目にかかっている前髪をゆっくりと払いながら返事をしてやる。
トーマは嬉しそうにはにかんでからそっとアイスブルーの瞳を閉じた。

「…廉太郎さんにこうしてほしくて来たんです。…そう言ったら怒りますか?」

トーマの声には少しばかりの恥じらいが含まれている。
そうして、おもむろに息を吐いて肩の力を抜くトーマの姿はいつ見ても初々しい。
私は自然と笑いながらかぶりを振ってみせる。

「では、大人しくしていなさい。私が全部するから」

「はい…」

布の擦れる音が聞こえる。
私はトーマの上着を捲り上げると、露になった胸の突起を掌で撫でた。
尖りかけたそれを指の腹で擦って反応を伺ってみる。
すっかり敏感になっているのだろう。
押さえたような声は艶めいていて、もっと快感が欲しいとねだるような声だった。

「…ふ、あ…廉太郎さん…焦らさない、でくださ…」

トーマの白い肌が赤く染まっている。
私は返事をせずに胸の突起に口をつけた。
甘い声が部屋の中に広がっていく。
隣の部屋にはクダモンもガオモンもいるというのに、そんなことはお構いなしといったように私は行為を続けた。
それが恥ずかしいんだろう。
トーマは人差し指をきつく噛みながら声を殺していた。

「自分から誘っておいてつれないな、トーマ」

「…っえ…?あっ!」

トーマの体から力が抜けたとき、私は細い腕を掴んでベッドに押し付けた。
声を殺すなと目だけで言ってやると、トーマは悔しそうに唇を噛んでから私を見て眉を下げる。
どうしたらいいのか分からないというように。

「…廉太郎さん…意地悪しないでください」

トーマは消え入りそうな声で言ったあと、きつく目を瞑って私から目を逸らした。
そうしているトーマを尻目に、私は彼のズボンを脱がしてやる。
露になったそこを見つめてやると、トーマは恥ずかしそうに顔を逸らしたまま体の力を抜こうとしているようだった。
大きく息を吐いて恥ずかしそうにしているトーマが愛しい。
私は下腹部を扱いてやりながらトーマの反応を見やった。
苦しいのか、肩を上下させながら艶めいた声を上げている。

「はぁっ…廉太郎さん…僕、もう大丈夫だから…別のトコ…」

トーマの言葉とともに、つぼみの部分がヒクンと収縮した。
体いっぱいで私の事を求めているのだとおもうと嬉しくなる。
私はつぼみをほぐすように指を差し入れた。
小さな体が私の動きに合わせて跳ね上がっていく。
私は自然と笑みを漏らしながら、トーマの感度のよさに微笑んだ。

「日々の成果…だな」

そう言うと、トーマはすっかり顔を隠すようにベッドに寝転がってしまう。
私は手を休めずに幼い身体の中に指を出し入れした。
鼻にかかったトーマの声がだんだんと高くなっていく。
トーマは甘ったるい声で私を呼ぶと、不意に私の手首を掴んだ。

「も…入れてくださっ…廉太郎さん…」

その声は、私を求めて濡れている。
私はついいたずら心を覚えて微笑むと、トーマのつぼみを指で撫でながら首を傾げてやった。

「…どうした、そんなに待ちきれないのか?ノルシュタイン家の貴族であるお前が…そんなはしたない事を言うなんていけない子だ…」

わざとらしく言ってやると、トーマはシーツに顔を伏せて恥ずかしそうに「バカ」と呟く。
甘えるような声だ。だからもっと甘やかしたくなってしまうし、意地悪もしてやりたくなる。
私は、指を少しだけ早く動かしながら顔を寄せた。
アイスブルーの瞳と視線が交わる。

「…っあ…はあ、やっ…廉太郎さんと一緒に…いきたい、です…。いじめないで、くださ…い…」

トーマの腕が、ゆっくりと私の首筋に回された。
強く抱き寄せられておもわず体ごとトーマに圧し掛かってしまうが、トーマはきもちよさそうに目を細めていた。
ピクピクと小さく震えるつぼみから指を抜き取った私は、そっと自分のものを取り出してつぼみへとあてがう。
もちろん、体重をトーマにかけたまま。

「重くは無いか…?」

「いえ…隊長の重さ、好きなんです…押しつぶされたくなる…」

トーマがそう言ったのと同時に、つぼみがキュッとかたくなる。
どうやら恥ずかしい事を言った…とおもっているらしい。
私は安心させるように顔を上げた。

「なら、押しつぶしてやろう。私しか感じられぬくらいに…」

トーマの額に口付けを落として、ゆっくりと自身を挿入させていく私をきつく抱きしめる手が震えている。
必死に私を受け入れようとする姿がいじらしかった。
僅かに力を入れてトーマの中へと侵入していくと、彼は白い喉を逸らして可愛らしい声を聞かせてくれる。
求めるように動いたくちびるを吸う私を逃がさないと言うように、トーマが私を抱き寄せる。

「んっ…廉太郎さんの…ひさしぶりのキス…もっとください…」

トーマは子供のように言って唇の角度を変えながら私を求めた。
それは決して淫らで淫猥なものではなく、犯しがたい雰囲気を纏っている。
どんなに抱いても、恥ずかしい声を上げさせても穢れない少年の姿だ。

「トーマ…愛している」

唇を合わせながら言うと、トーマはゆっくりと頷きながらついばむような口付けを私に与えてくれる。
次第に熱く激しくなっていく唇と同時に、腰の動きもいやらしいものへと変わっていく。
トーマもゆっくりと腰を使いながら甘い声で私を呼んだ。

「廉太郎さん…ちくび、触って欲しいです…。それから、たくさん…愛してる、って聞かせてください」

少しばかり小さな声で言ったトーマは、自分の胸を軽く抓って見せた。
突起を私に差し出すように抓っているから、まるでふくらんでいるように見える。
まだ発育途中の少女のような乳房だ。
だが、トーマは女ではない。
どんなに美しい容貌をしていても、彼は立派な男子だ。
私は、言われたとおりに舌先でトーマの乳首を舐めてやった。

「愛している…トーマ…ここを舐められるのは好きか?キスと…どちらがいい?」

乳首の周りを舌先でなぞると、次第にしこって充血し始める突起が可愛らしい。
クリームでもつけて舐めてやりたいような衝動に駆られる。
ピンクに尖ったそれは、物足りないというように上を向いていた。

「…はぁ…っ…選べません…どっちも、好き…だから。廉太郎さんにされるなら、どんな事だって…」

まるで理性が飛んでしまうようなことを平然と言うトーマは、ゆっくりと私の背を撫でて肩に顔を埋めた。
動きの早くなる腰についていこうと身を浮かせながら短い吐息を吐いている。
ふと、ベッドの隅で電話が鳴った。
私が出るまでもなく、留守番電話へ繋がってしまう。

『隊長、黒崎です…至急本部にいらしてください。またマサルが…ちょ、こら!何勝手にデジタルゲート開こうとしてんのよ!?』

『うるせーな、開いちゃいけねー理由でもあんのかよッ!?隊長もトーマもいねェなら俺が隊長だっ、むしろ長官だぜっ』

『そーだそーだー!あにきがいちばんだぞー』

『もう…ホンット最悪なんですけど…』

右耳から左耳へ聞き流したくなるくらい頭の痛くなる会話が聞こえてきた。
私はトーマの額に口付けると、そっと受話器を取って一言。

「馬鹿もんッ!!」

体の下にいるトーマさえビクリとさせるような怒声を響かせた私は、すぐに本部に戻る旨を伝えて電話を切った。
手のかかる問題児にどんな罰を与えてやるべきか考えながら、ふと目が合ったトーマと苦笑を漏らしあう。
トーマはゆっくりと身を起こして、乱れた髪を手櫛で梳かしながら視線を逸らす。

「…またマサルに隊長のこと、取られてしまいました」

トーマは、再び私を"隊長"と呼ぶと、身を離して背を向けながら衣服を整えた。
行為を中断してしまった虚しさがお互いに漂う。
私は、しばし考えあぐねた後、そっとトーマの体を抱きしめた。
ほっそりとした背中を抱き寄せると、既に部下の顔をしたトーマがちらりと私を見つめる。
私は、そんなトーマの髪にキスをしながら口を開く。

「今夜…泊まりにきなさい。…これは命令ではない」

最後にそれだけ付け足してすぐに着替えを始めると、トーマはぼうっとしたまま私を見つめていた。
だが、すぐに恥ずかしそうにはにかんで小さく頷いてくれる。

「了解です…隊長」

そう言ったトーマは、私の頬に口付けてから幸せいっぱいと言った笑みを見せた。
そんな顔をされたら抱きしめずにはいられなくてトーマをベッドに寝かせてしまうと、トーマは困ったような、それでも嬉しそうな顔をする。

「隊長…遅れてしまいますよ」

「…渋滞だった、とでも言い訳すればいい」

私の呟きに吹き出したトーマは、ゆっくりと背中に手を回してから小さな了承のキスをくれる。
どうしようもないくらい甘いこの関係は、私たちの心も体もいっぱいに満足させていた。


















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甘…!まさしく練乳いちごというかんじを目指しました。
あまあま大人カップルなサツトマが書きたかったのデス…v