発端は、ちょっとした悪戯心であいつを呼び出したこと。
真夜中のデジタルワールド、壁を掘ってできたどこか人工的な洞窟の中でぐっすりと旅の疲れを癒していた俺は、夜風に吹かれながら満点の星空を眺める。
その洞窟の中からゆっくりと顔を覗かせたのは少し眠そうにジャケットを羽織った金髪の男だった。
俺は腰に手を当てて、その男の後ろを指差す。
「誰も起きてねーだろうな」
「ああ、一体どうしたんだ?」
金髪の男はジャケットの前を締めながら不思議そうに尋ねた。
ふわりと揺れるはちみつ色の癖毛が男の頬にかかる。
夜の光を受けて黒く輝くアイスブルーの瞳はとても綺麗で、俺はすぐに男から目線を外した。
そうして、ゆっくりと人気のつかない場所へと男を誘い出す。
男…トーマは不思議そうにたれ目がちの瞳を瞬かせると俺に続いて歩き出した。
洞窟の裏手に回って、そこにあった木の前で俺が立ち止まる。
トーマも俺に習ってすぐ足を止めた。
「…トーマ、お前って医師免許持ってんだろ?」
「…ああ」
「だったらさ…こいつの治療もできるよな?」
俺は言いながら下腹部のものを取り出した。
暗い夜の光を受けて、トーマの瞳がキュッと細まる。
そうしてバカにしたように鼻で笑うと大袈裟に肩を竦めた。
「何を言うかとおもえば、そんなものの処理?自分で何とかしたまえ、僕は眠い」
トーマはわざとらしく大きな欠伸をして目を擦ると、あどけない顔をして眠そうに瞬きをした。
白い腕を抱くように背筋を伸ばして立っているその姿はどこか中性的で色っぽい。
俺の息子の異変は、こいつが原因でもあった。
夜中にトーマの淫らな姿を想像したら勃起した…っていう全く情けねぇ話なんだけど。
俺がそれを言うと、トーマは腰に手を当てたまま丸い目をさせて言う。
「僕を性欲の対象にするのも構わないが現実でそんな事をするのはよせ。
僕だって男のプライドがある、治療なんかできない」
そうケロリと言ってのけたトーマの頬に少しだけ赤みが差す。
俺が言葉を待っていると、トーマは自分の頬を指先でかきながら目を逸らした。
「…ただ、どうしても…と言うなら治療を施してもいい。…こんな治療…実習でもしたこと、ないけど」
風に乗って消え入りそうな声が聞こえた。
これは了承ととってもいいんだろうか。
俺は自分のものをトーマに見せると、ごくりと喉を鳴らす。
同時に、俺の前にぺたりと座り込むトーマが目に入った。
探るように手を伸ばしてくるトーマを、俺は慌てて押しとどめる。
トーマは恥ずかしそうに視線を上げた。
「…手を、どけてくれ…治療ができない」
顔を赤く染めてぽつぽつと呟くトーマからはさっきの小生意気な態度は感じられない。
俺はトーマを手招いた。
「ただ治療するんじゃ面白くねぇだろ。よく見える所で俺に分かるように説明しながらやってくれよ」
手招きながらトーマの手を掴むと、微弱な抵抗を感じる。
それでも強く引っ張って、月光の照らされた岩肌へと移動した。
改めてトーマへ自分のものを見せると、奴は困ったように眉を寄せてからおもむろに口を開いた。
「…僕は、どうすればいいんだ…?」
天才らしからぬ台詞。
俺はトーマの手を掴んで己のものに触れさせる。
トーマのひんやりとした指先がおずおずと俺のものに絡んだ。
「そのくらい自分で考えろよ、お前…天才トーマ様なんだろ?」
わざと小馬鹿にしたように言うとプライドが傷つくのか、トーマは軽く指先に力を込めてから俺を睨む。
ほっそりした顔立ちが俺のものに近付いた。
涼しい吐息を下腹部に感じる。
トーマはもう片方の手も俺の肉棒に添えて強く目を瞑った。
「…勃起状態のペニスを射精させるには…まず手で扱いて、患者の性感を高める。先のほうと竿、睾丸にもくまなく手淫を施して…射精させる」
「おいおい、何だよそれ」
「…説明をしろと言ったのは君だ」
トーマの目は厳しい。
俺は、トーマの後頭部に手をやった。
そうして、狙うように小さな口に自身を突きたててやる。
くぐもった悲鳴が聞こえた。離されないように、柔らかな咥内を腰で突きながら俺は口を開く。
「そうじゃなくて…もっといやらしく言えんだろうが、なぁ。俺の状態を見て、おもったままを口にしろって言ってんだ」
俺は咥内から抜き出した肉棒でトーマの頬を叩いた。
貴族と言われている男がそんなもので叩かれるのはひどく屈辱だろう。
現に、口に入れられていたもののショックからか、トーマはしばらく口を利かなかった。
それでも何とか息を整えて、ようやく身の危険を察したらしいトーマの口が少しだけ動く。
「…大きい…。熱いし、それに…硬い」
トーマの頬がみるみるうちに赤く染まっていく。
白い指が俺のものを愛撫し出した。
恥ずかしそうに眉を寄せて手を上下に扱いていく姿が可愛らしい。
俺のものは先端からとろとろと先走りを零しながらトーマの頬へと擦り付けた。
「なあ、お医者さんよぉ…先っぽから変なのが出てきたけど…どうしてくれるんだよ?」
俺は言いながらトーマの髪を掴んだ。
びくりと細い肩が震える。
トーマの唇が俺のものに寄せられて、それからすぐに離された。
躊躇っているらしい。
小さな唇が僅かに動いた。
「舐め、て…綺麗に…します」
「じゃあ早くしろよ。患者の具合もちゃんと見んだぞ?」
視線を逸らそうとするトーマの目の前に自身を突き出す。
トーマは落ち着きなく瞬きをしながらも、やがて口を開いた。
小さな唇からピンク色の舌が覗く。
ちゅぷ、と水音をさせてトーマの舌が俺のものへ絡んだ。
「んっ、んん…ちゅむぅ、んくっ…ぷは…っふぅ…」
トーマの舌がガクガクと震えた。
嫌悪しているらしい。
そりゃ、男のものを親身に介抱したことなんかねえだろうしな。
俺は未知の喜びに身を任せてトーマの後頭部を強く押さえつけた。
「じれってぇな…医者、俺は早く治してぇんだぞ?苦しんでる患者をすぐに治せねえ医者にはお仕置きが必要だよなァ…」
「あふっ…」
俺は服の上から強くトーマの乳首を掴んだ。
そこは堅くしこっていて、俺が触るまでもなく充血しきってしまっている。
隊服を押し上げて勃起している乳首がいやらしいとおもった。
トーマは顎を引くように俺のものを無理やりにくわえさせられると、涙目で大きく息をしている。
咥内を支配する肉棒の圧迫感に混乱しているんだろう。
口の端から先走りともトーマの体液ともつかぬものが糸を引いていた。
「んんむ…くむぅ…はぁっ、ん…や、め…ぇっ…」
トーマはくぐもった声を上げてかぶりを振る。
よくよく見ると、トーマの下腹部もふっくらと主張を始めていた。
俺のものを舐めて興奮したんだろうか。
そうおもうとすごく嬉しくなってしまう。
俺は胸の突起を引っ張ってやりながら言った。
「やめぇー…じゃねえだろ…ちゃんと吸えよ。医者なのにマトモな治療もできねえのか?」
天才のくせに。
俺は乱暴な口調で言いながら片足のブーツを脱いだ。
そうして、靴下の格好になった俺はそのままの足でトーマの下腹部に触れる。
足の指でマッサージするように軽く踏んでやると、トーマが強く唇を噛む。
きつく結ばれた唇の端から漏れる吐息が艶っぽい。
それでも俺の強要に応えようと口を大きく開けて吸い上げてくれるトーマの唇が俺の名を呼ぶ。
正確には、動いただけだったのだが。
「むぐっ…マサ…んんんっ…むぅ…」
じゅるりと淫猥な音を立てながら、トーマが俺のものをしゃぶりあげていく。
俺もトーマを良くしてやるべく、下腹部を足で撫でた。
びくりとトーマの肩が震えて喉が収縮する。
俺のものが強く吸い上げられていくのがわかる。
それが心地よくて、俺は腰を突き出したり口の入口ぎりぎりまで引き抜いたりという行為を繰り返した。
俺のものが突っ込まれるたび、トーマの口からは呻き声が漏れる。
それがいつしか甘ったるい吐息に変わるには、少しだけ時間がかかった。
トーマの喉がためらいなく俺の先走りを飲み込み始めたとき、アイスブルーの瞳がうっすらと快感で潤み出していた。
足で直接、トーマの下腹部をなぶってやるたびにトーマが上目遣いで俺を見つめる。
目尻には涙が溜まっていた。
「…どうした?さっきから欲しそうな顔してんじゃねーか。漢なら言ってみろよ…トーマ博士?」
わざとイタズラな声で言ってやると、トーマは荒い吐息を零しながら視線を逸らした。
意地でも言うもんかって顔だな。
だったら言いたくなるようにしてやるよ。
「ひっ、い…マサル!?よせ…っ…むぐぅ…っ、う…」
足で撫でているものを軽い力で踏んでやると、トーマは少しだけ甲高い声を上げて背を逸らした。
苦しいのか、ぜぇぜぇと息をつきながら腰をもぞつかせている。
何が欲しいのかもう分かった。
それでもトーマの口から直接聞きたい俺は、ぐしょぐしょになった足でトーマのものを擦り上げてやる。
トーマは俺のものをしゃぶったまま眉間に深く眉を寄せた。
「くむぅ…うぁ…はあっ…やめろ…よせ…っ、あ…あぐ…」
隊服の上からぷっくりと勃起した乳首が影を作っていていやらしい。
俺は指で強く押しながらトーマのズボンを引き下ろした。
露になったそれは、高貴な貴族サマのものとはおもえない。
上を向いて、外気に震えながらも控えめに勃ち上がっているそれが露に濡れているのが分かったのは月の光のせいだ。
デジタルワールドにも月があるんだな、なんておもいながら俺はそれを掴んでやる。
掌にしっかりと伝わるトーマの鼓動が早まっていた。
亀頭を露出させてやると、それだけでトーマはしゃくりあげるような声を上げる。
それは屈辱からなのか快感からなのか…俺にはわかんねー。
目だけで行為の続行を促すと、トーマは喉をヒクヒク震わせながら俺のものをくわえこんでいった。
「いくら貴族サマでもオナニーくらいしたことあるよなァ?」
俺の問いかけに返事は返って来ない。
トーマは白い肌を真っ赤に染め上げて、ゆっくりと頭を上下させていた。
時折漏れる甘ったるい鼻声が可愛らしいとおもう。
そんなトーマの愛撫で高まる俺自身は咥内いっぱいに大きくなって先走りを垂らし始めていた。
それをすくって、懸命に舐め上げるトーマの表情はどこか恍惚としている。
俺は自分でするみたいに手の動きを早めた。
ぴくぴくと反応を返してくれるトーマが可愛い。
「んっ!んっ…ひぁ…やあっ…らめ…んむっ…まひゃるぅ…」
トーマは俺のものをくわえたまま舌ったらずな声を上げた。
上目遣いで見上げてくるアイスブルーの瞳は普段よりもいっそうきらきらと輝いてて艶っぽく見える。
目尻が赤く染まっているから俺まで恥ずかしくなっちまう。
俺は射精を促すべくトーマのものをきつく握った。
愛撫に応えて、トーマの咥内が俺のものを吸い上げてくる。
中で出しちまいてェ…。
ふと、そんなことをおもってしまう。
けどさすがにそれは不味いだろ。
感じてくれていると言ってもトーマは仲間でしかない存在だ。
こいつだってそうおもってるはずなのに…。
「ふぁ…あくぅ…んんっ…むく…もう、らめ…らよぉ…!」
舌足らずな声で言うトーマはしゃくりあげるようにして俺のものを吸い上げた。
ぢゅうう、と短い音が聞こえた途端、俺のものはびくびくと痙攣を起こす。
無意識なのだろうが、その行為はそれだけで俺を絶頂に導くものだった。
手に掴んだものを強く擦り上げてやると、トーマが俺のものから口を離す。
冷え切った外気に晒された俺のものは勢い良く目の前の男へと迸りを噴きかけた。
「あぐ…あふぅう…っ!!」
トーマの顔に直撃したそれは、白濁した液を垂らしながらぽたぽたと垂れていく。
精液をモロに浴びたトーマは虚ろな瞳で肉棒を見つめていた。
ぱく、ぱく、と小さく口を動かして精液を舐めている姿はとても貴族サマだとはおもえねェ。
トーマの下肢からは、俺と同時に達したものがとろとろと零れている。
俺はよろめきながら立ち上がると、トーマの頭に手を当てて軽く撫でた。
トーマがおもむろに顔を上げる。
「治療…完了しました」
そう言ったトーマの瞳は、霞んでいても綺麗なアイスブルー。
アイスブルーの奥に見える俺は意地悪な笑みをたたえていた。
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医師免許所持してると話していた回を見て即刻書き上げたものです。
アップするのが大幅に遅れました(汗)