はじめて幻獣を手にかけた瞬間、なまぐさい匂いと下腹部にカッと熱いものが広がっていった。
どうしても立っていられなくてその場に崩れ落ちて、ウォードレスの上から体を抱いて、震えた。
やけに荒い自分の息がうるさくて、汚れたままの手で口をふさいだ。
「あ、あ、あ…」
息ができないくらい皮膚に爪を食い込ませて口を塞ぐと、自分がどれだけ震えているのかが、わかった。
あとからこみあげる恐怖、恐怖、恐怖。
そのとき僕は、こわくてよく分からなかったけど。
僕は人を×せない生き物なのだと、わかった。
いくら正義のためとは言っても僕はまだ子供で、手に伝わるいやらしい感触に思わず全身が総毛立つ。
僕は、×したのだ。
汗なのか、だとするととても気持ち悪い液体を目から流して僕は強く目を瞑った。
友軍のひとりが僕の腕を掴む。
立て、戦いはまだこれからだと強く叱責する。
僕は引きずられるみたいに上体を起こして、それからまたガクリと膝から落ち込んだだけだった。
肩で呼吸をしながら僕はただ目を見開いて嗚咽を漏らした。
5時間ほど経ったかな。
そう呟いて僕は背伸びをした。
教室の窓から見る赤い月が暗い雲に隠れる。
ちょうど5時間前の初出撃からずいぶん立ったと言うのに、足はなかなか主人の言うように動いてはくれない。
まるでずっとハードな仕事をしていたかのように足がガクガクと震えている。
僕は軽く内側の太ももを拳で叩くと、苦笑した。
もう教室には誰もいない。
ハンガーになら整備班くらいならいるだろうが、それ以外はみんな帰路についている頃だとおもう。
僕はなかなか帰る気にもなれなくて、こうして窓の外を眺めていた。
人類の天敵、幻獣。
テレビで見るより大きくて、不思議なイキモノだった。
あれをずっと殺し続けていったらいくら善良な学兵も壊れてしまうんじゃないだろうかなんて、そんな風におもう。
この僕でさえ、足が震えている始末だ。
情けないねぇ。
かたん。
丁度僕が苦笑を漏らしたとき、後ろから上履き特有の足音が聞こえた。
整備班のクラスメイトだろうか。
そう思って振り向くと、そこには僕と同じ前線で戦う友の姿があった。
暗闇に溶け込んでしまいそうな絹の黒髪に、そのなかでぼんやりと浮かぶエメラルドグリーンのひとみ。
すらりとした体躯はやや女性みたいに華奢で、あまり肌を露出しない制服から除く手首は驚くほどに細かった。
うんうん、こうかくと何だか詩人みたいだね。
「…まだ、いたんだ」
彼は掠れた声でそう呟くと、地に足がついていないような足取りでゆっくり歩きながら僕と同じ窓際へ近付く。
僕は窓の桟を背もたれに使いながらその様子をみまもる。
ようやく窓際へたどり着いたその横顔は、夜のひかりに照らされていて美しかった。
「もう大丈夫なのかい?」
僕がそう言うと、彼は肩を一瞬だけ震わせて言葉無く頷いた。
初めての出撃で最初に幻獣を殺したのは彼、小島航だった。
まあそれからすぐに戦意喪失してしまったんだけれども。
大事に育てられてきた彼にはちょっぴり刺激が強すぎたんだろう。
戦意を失った幻獣にライフルを向ける彼の目は、すでに人の域を超えていたようにおもう。
彼はそのまま、保健室に運ばれて寝かされていた。
途中で担任の空先生が見舞いにきたけど、それっきりだ。
兄弟といっても案外冷たいもんなんだなぁと何となく思う。
「…ああ、山口さんから鎮静剤をもらってね。それがすごくよく効いたんだ」
小島航は、独り言のように小さな声でそう言うと自分の腕を強く掴む。
確かに、彼の体はもう震えてはいない。
僕は隣の人物を観察しながら口を開いた。
「怖かったかい?」
「……何を…」
ようやく、航が僕の顔を見る。
僕は笑ってやった。
人を安心させるものじゃなくて、不敵なほうの笑みだ。
航はエメラルドの瞳をきゅっと細めるとまっすぐに僕を見据える。
そのまま、戦闘中では考えられなかったような強気な発言をしてみせた。
「これからは何度も戦いがあるのに怖いなんて言っていられないだろう。自分が怖いから人を怖がらせて優越感に浸りたいのか?」
その言葉は棘のある言葉だと僕にも分かった。
僕はゆっくりと航の髪に手を伸ばす。
案の定、航の身体は硬く抵抗の色を示している。
「僕も怖いよ、だから聞いた。…小島くんはこんな話を知っているかな」
僕は、指の間にしなやかな黒い絹を通しながら口を開く。
エメラルドの瞳は、綺麗な色をして僕を見つめていた。
月よりも魔力がありそうな、そんな瞳だ。
失礼、と断ってから僕は航の両肩に手を置く。
そうして真正面から覗くと、少し背の高い君は警戒するように眉を寄せる。
面白い人だ。
「戦と言うのはね、誰だって怖いものなんだよ。侍だって女の人だって子供だって、みんな怖いと思っていたんだ。でも怖いままじゃ戦いにならないだろう?昔の人はどうしたとおもう?」
僕は人差し指を立てて航の唇に当てた。
意外と柔らかくてふっくらとした弾力が僕の指を押し返す。
少しだけ下腹部に熱が集まり始めた。
航は、戸惑ったように目を瞬いて僕を見つめている。
長い睫毛が綺麗だった。
「…聞いたことがないからよく分からないけど…薬でも飲んだのか?」
僕の指を掴んで、そっと口を開く君の声が暗闇に溶け込んでいく。
残念ながらはずれなんだ。
そう言って、僕は航の腰に腕を絡める。
思ったよりも細くて、骨ばってはいない航の体温を布越しに感じる。
僕は少しだけ笑った。
「怖くてたまらない先人達はね、こうして戦の恐怖を紛らわせたんだ」
その言葉と同時に腰を抱き寄せて下腹部同士を当てがうと、航はびっくりしたように僕を見た。
とくん。
僕の熱が航にも伝わったんだろうか。
伝わっていたらいいんだけれど。
「…へえ、知らなかった」
航は、一旦息を飲むと曖昧に笑った。
そうしてさりげなく抱擁を解こうとするから、僕はなおも腰を当てた。
「…小島くんはどうかな」
「…っ、なにが」
「怖いんじゃないのかい?紛らわしてあげられるよ…僕は」
「いらないよ…」
航の声は震えていた。
触れ合った部分から、それは容易く分かる事だけど。
僕は航の柔らかい唇に指を当てて、少しだけ同情を買うように言った。
「僕も怖いんだよ?小島くんだけじゃない…ほら、足なんてこんなに震えてるんだ」
「あ…」
航の手を取って自分の足に触らせると、小さく声が聞こえた。
この恐怖を紛らわせるには、するしかないのだと分からせるために僕は顔を寄せる。
今度は拒否の色を示さない航は、唇を結んで少しだけ頷いたように見えた。
「僭越ながら慰めてあげよう、目を瞑ってごらん」
僕がそう言うと、彼は言われたとおりに目を閉じた。
大きな瞳を隠した睫毛が少し震えている。
ずいぶんモテるから、男とこういう事をしてても可笑しくはないよね。
というかこの戦争をしている時代、男としてないってほうがおかしいかも。
僕はそんな事を考えながら、航の唇をゆっくり塞いだ。
指で触れたよりも柔らかい唇が僕に吸い付いてくる。
まずは重ねるだけだ。
僕は少し笑って口付けを解いた。
同時に航が大きく息を吐く。
「どうかな?」
「…はぁ…どう、と聞かれてもわからない」
新鮮な反応だった。
航は、少しだけ視線をずらして僕の下腹部に目をやった。
熱くなっているのが気になるらしい。
戸惑ったような顔をして、それから僕を見返した。
こうしていると女の子みたいだ。
僕は笑って言った。
「口でしてみるかい?」
同時に、エメラルドの瞳が大きく揺らいだのを、僕は見逃さなかった。
コクンと細い喉が音を立てる。
僕は航の髪をゆっくり梳いてやりながら答えを待つんだ。
強要させるわけでもなく、ただゆっくりと。
航の口が答えを開くように小さく動いた。
「…それで本当に、この恐怖が紛らわせられるなら」
航は自嘲気味に笑うと自分の手を開いて見せた。
月光に照らされている青白い手だ。
もちろん、月の光の下だから病的に見えるのであって、実際の彼は健康的な血色をしている。
航は小さく唇を震わせた。
「俺は、この手で殺したんだよ。幻獣を。世界にとってどんな凶悪な存在であっても、やっぱり殺したときは…こわかった」
少しずつ胸の内を話し始める航に、僕は黙って耳を傾けた。
航は開いたままの手をそっと自分の胸にあてて翡翠の瞳を細める。
眉間に軽く皺が寄った。
「俺は…可笑しい。壊れたのかもしれない。こんなに怖くて仕方ないのに…こんな事をして恐怖を紛らわしてもらおうとおもってる」
目の前で、航がひざまずいた。
ちらりと僕を見てすぐに視線を下腹部へと向けてしまう。
やや躊躇うように眉を寄せると、そっと手を上げてズボンのジッパーを下ろしていく。
その動作がとてもゆっくりなものだったから、焦らされているのだろうかと勝手に思った。
下着の中から僕のものを取り出して僅かに息を飲む。
ぎこちない様子で、僕とそれを交互に見た。
それでも僕が頷くと両手で掴んで、揉みだすように上へと控えめに扱く。
「もっと強くして良いんだよ?小島くん」
「分かった…」
航は自分の手を見つめながら僕のものを強く握った。
微妙な力加減がもどかしいが、なかなかきもちいい。
口でしてほしいな、と呟くと航はぎょっとしたような顔をして、それから目尻を赤くして俺のものを指先で摘む。
「そんなの出来るか。やり方だってまだ曖昧だっていうのに…」
「簡単だよ、まずその口でここの先端を銜えてー…」
「し、しない…するもんか!そんなとこ…生まれてこの方舐めた事もないんだぞ」
航は新鮮な反応を返して僕のものを扱き上げていく。
手は既に先走りで濡れ光っていた。
僕はしばらく考えた後に顎に手を当てて首を傾げてみせる。
だんだん絶頂が迫ってきてはいるけど、無理やりにでも恐怖を抑えるためなら多少荒療治も仕方ないんじゃないかとか考える。
航はしっかり自我が残っているようだし、恥じらいながらもどこか表情の裏に恐怖とか怯えの影を感じた。
僕は航の後頭部に手を添えると小さな唇に自分のものが触れるように押し当てた。
もちろん、一言ごめんと断ってから。
「んっ、んぐ…岩崎くん!?」
先端に唇が触れた事への驚愕からだろうか、航はびっくりしたような顔で後ずさる。
唇に先走りの光を見つけてしまって、無駄に高鳴る胸を抑えられない。
僕は少しだけ声を低めた。
「小島くん…僕らは、セックスをするためにこんな事をするんじゃないよ?お互いの恐怖を紛らわせるためなんだ」
そう言って航の髪を控えめに撫でると、よく手入れされているのかしっとりしたさらさらの黒髪が指に触れて気持ちよかった。
何もかも、恐怖のせいなのだと認識させるように出来るだけ深刻そうな顔を作って見せる。
大して僕は幻獣との戦いに恐れは抱いていない。
そりゃ、足は震えたけど今は目の前の少年の恐怖を取り除いてやりたいと思った。
もちろん、不純な動機を含めて。
「小島くんは、僕のものが舐められないくらい怖いのかい?」
「ち、違う…」
「なら…おいで」
僕の挑発に、彼は乗ったようだ。
勝気な目を向けてからおもむろに僕のものを口に含んだ。
すぐ離すつもりなんだろうが、そうはいかない。
僕が航の後頭部を押さえるとくぐもった悲鳴が聞こえる。
それでも徐々に航が唇で甘噛みしながら頭を上下させた。
唇が擦れて竿に当たる。
それがとても気持ちよかった。
「く、んん…」
航は僕に頭を押さえつけられたまま両手で竿を握って喉を鳴らしている。
頬には僕のものが銜えられている証拠がくっきり映っている。
片頬を膨らませて僕のものを銜えこんでいる様子が何だかリアルだった。
やや乱暴に腰を使ってやると苦しそうな声と水音が聞こえる。
彼の中に恐怖はまだ残っているんだろうか?
「ぐっ、ふ…んんっ、ん…」
誰もいない教室に荒い吐息が響いていく。
僕は大きく息を吐き出した。
いつ見回りの用務員さんや仕事を終えた整備班が戻ってくるのかわからないのに僕らはこんなことを堂々としている。
航はどう思っているんだろうか。
気持ち良さそうな顔で僕のものを舐めていることには、気付いているんだろうか。
「んんっ…んっ…ふあっ、ん…」
「零しちゃ駄目だよ?小島くん」
航の唇を伝う先走りを見つめながら僕はいたずらに笑った。
何度も航の喉が音を立てて鳴る。
乱暴にされている事に対して感じているのだろうか、航の下腹部は一点だけ盛り上がりを見せている。
僕はそっと上履きを脱いで航の下腹部に足の指で触れた。
何が起こったのか分からないと言うように航が目を見開くけど、僕は親指の付け根辺りで航の下腹部をぐりぐりと刺激した。
「はぐっ…っん、ん…んんぐっ…岩崎く…んんっ…」
じゅぽ、じゅぽ、と止め処なく航の口から卑猥な音が響いていく。
こんなの、恐怖を紛らわせたいなんて言っても傍から見ればただのセックスだ。
本当に先人はこんな行為をして恐怖を紛らわせたんだろうか。
無理やり腰を使っていくうちに、そんなことはどうでもよくなったけど。
「ふ、ぐ…んんんっ…くぐっ、ぷは…っあ…」
「小島くーん…出すけど、構わないかい?」
わざと間延びした声で言うけど僕は完全に限界だ。
航は頬を先走りで濡らしながらこくりと頷いた。
無意識になんだろうけど、ちゅう、と音を立てて僕のものを吸い上げるその表情は普段の小島航とは違った色香を醸し出していた。
それが僕の絶頂を自然と促す。
僕は航の頭を強く掴んで喉奥深くへと欲望を放った。
ごくごくと航の喉から聞こえる音がいやらしくて、僕はそれを航の口から抜いてやる。
まだ絶え間なく続く射精の余韻を顔に受けて、航が口から白濁した液を流しながら小さくむせた。
その目は綺麗な翡翠に赤が差したような淫猥な色をしている。
小さな舌をヒクつかせて航が喉を鳴らした。
「…くふ…こほっ、岩崎くん…いきなり出すなんて…ごほっ…」
そうは言っているものの、瞳は恐怖とは無縁の色をしていた。
僕もぽやーっとした空間の中にいるような、先ほどまでの恐怖はどこに行ったのか分からない心地のいい感情が支配している。
そっと彼のおとがいに手を当てて唇を吸うと、苦いものが舌に絡みつく。
自分のものの味だったけど、吐き気はなかった。
それどころか痛いくらいに航の舌を吸い上げてやりながら、僕は彼のブレザーを捲り上げる。
下からゆっくり肌を撫で上げてやると、航の喉が震えた。
「続き、欲しいかい?」
僕はそう言って航の体を立たせると、誰のものか分からない机へ寝かせてやる。
まだ肩を上下させている彼はぜぇぜぇと喘ぎながら、それでもこくんと頷いたように見えた。
後悔しないのかな。
僕は、ブレザーを彼の胸元まで捲り上げると、すべらかな肌に口付けを落とした。
「んっ、ん…岩崎く…くすぐったい」
胸の突起を舌で転がしながら僕は航の反応を伺う。
君は困ったような顔をして愛撫に耐えているようだった。
突起を軽く歯で甘噛みすると、少しだけ甲高い吐息が聞こえる。
「小島くん…くすぐったいじゃなくて、きもちいい、だろう?分かってるくせに」
「…くっ、岩崎くんが変な舐め方するのが悪い…。そこ…」
航がびくり、と肩を震わせるのに合わせて教室が振動したような気がした。
このまま彼の自我さえどうにかしてしまいたい僕は、丁寧に唇を這わせて笑ってみせる。
執拗な愛撫で尖った突起を指で転がして、徐々に航の羞恥と快感を高めてやるんだ。
「…恐怖を誤魔化すには、理性なんかいらないんだよ…小島くん」
僕がそう言うと、彼の頬に赤みが差していく。
自我を捨てようとしているのだろうか、口の端から小さな吐息が聞こえるようになった。
僕が僅かでも動くたび、艶っぽい掠れた声が聞こえる。
下腹部のものも解放する為にベルトを解くと、ズボンがゆっくり航の足元へ落ちていく。
邪魔な下着は彼の太ももに引っ掛けておいた。
航が僕の視線に耐え切れないと言ったように目を逸らす。
「はは…これじゃ…当分理性なんか捨てられそうにないや…」
「それは困った」
僕は航の胸の突起を唇で愛撫しながら下腹部の熱に手を伸ばした。
先ほど足で虐めた甲斐があったのか、そこは触れるだけでびくんと震える。
それをしっかり掴んで上下に扱き始めるとますます声を殺したような吐息が耳に入った。
「ん、んんっ…ああ、はぁ…ぐっ、う…変だ…人に触られてると…」
「きもちいいんだろう?」
胸の突起に息を吹きかけて、僕は片手をズボンのポケットに忍ばせた。
通販で買った透明のジェルを取り出してカップの蓋を開けると甘ったるい匂いが鼻腔をくすぐる。
フルーツの匂いがするようだ。それに気付いたのか、航はやや不審そうに僕を見つめている。
「…岩崎、くん…それは…」
航が何かを言い出す前に、僕はそれを指に取って後ろのつぼみへと撫でつけた。
ひんやりとしたジェルの冷たさに感じたのか、航が強く眉を寄せている。
それでも抵抗はされなかった。
「…つめたっ…ん、んんっ…!?」
調子に乗って、べたべたになった指を1本だけ航の体内へ忍び込ませてやる。
指が敏感な腸壁を擦ったのか、航の吐息はやや悲鳴に近いものがあった。
まずは慣らすようにゆっくりとその行為に時間をかけてやる。
航の声が苦しそうでなければ、再度指を増やした。
丁度その時、航が肩で息をしながら身を捩る。
顔は暗闇の中からでも分かるくらい赤く変わっていた。
「熱い…岩崎くん、そこ…だんだん熱くなってきてる…ひっ…んんっ…」
ジェルの効果なのか、航は苦しそうに喘ぎながら助けを求めるように僕を見た。
指がきゅっと強く締め付けられてそろそろ僕のものが欲しいって言っているようにも見える。
僕はゆっくりと指を抜きながら先ほど可愛がってもらったものを航のつぼみに擦り付けた。
前触れ行為みたいで、何だかいやらしい。
航の足が閉じようとするけど、俺はあえてそれを妨害した。
「あ…ぐ…擦らないで…ちょっ、待ってくれ…」
「待ったは聞かない」
僕はにっこり笑ってやってから彼のつぼみに先端をあてがう。
時間がかかるとは思ったけど徐々に自分のものを挿入していくと、航は長く息を吐きながら軽く唇を噛んでいた。
ゆるく腰を使って航の腰を引き寄せて力を抜くように促す。
彼は大きく呼吸をしながらも、それをやってのけた。
「はぁっ…ぐ、う…んんっ、ひ…岩崎くん、苦しい…」
「そりゃ苦しいさ、僕のが入ってるんだから」
デリカシーのない発言をしてやるけど、航はうつろな瞳で喘いでいるだけだ。
自我は捨てたのかな。
そう思いながら僕はゆっくりと行為に没頭する。
こうしてみると女みたいな体つきをしているのに、彼のそこは不釣合いなくらい男のものがある。
僕はそれを掴んだ。
「小島くん、きもちいいかな?こうされて…どんな感じ?」
彼のものも扱きながら行為を続けると、甘ったるい吐息が聞こえた。
なるべく優しくしたから、そんなに痛みがないんだろうか。
それともジェルの効果か、航はかぶりを振ってもどかしそうに机の角を掴んだ。
「何かが挟まって擦れてる…ぐぅ…熱くて壊れそうだよっ…あ、あふ…っあ…」
僕の動きに合わせるようにして航が鼻にかかった甘い声を漏らすようになった。
月の光で余計艶めかしく見える君の体を見ていると、僕は恐れ多い何かを手にしてしまったんじゃないかという錯覚にとらわれる。
僕は机に両手を置くと、そこに寝ている彼を眺めるように腰を使った。
恐怖が掠れていく。
頭の中は快楽でいっぱいになってきて、まるであぶない薬でもやっているかのような気分だ。
セックスで恐怖を紛らわすなんて…。
この行為は薬物乱用以外の何者でもない。
「ぐあっ…うっ…岩崎くん、あ、あ…そこ、も…擦れて…んんっ!」
航の腕が強く僕を抱き寄せた。
すらりとした足はためらうことなく僕の腰へ絡められる。
誰かにバレたらどうするつもりなんだろう?なんて妙に冷静な僕がいた。
僕は彼の体を犯しながら笑って見せた。
「すごく…気持ちいいよ、小島くん。いつもの君じゃないみたいだ…可愛い」
僕は航の唇に己のものを重ねた。
すぐさま押し付けるような口付けが返ってくる。
口付けの合間から漏れる吐息は普段の航のものとは違って、艶めいていた。
熱烈に重ねられた口付けに返しながら、次第に僕の動きが余裕のないものに変わっていく。
航もそれを察したのか、口付けを解いて僕の肩に顔を埋めた。
ガクガクと揺さぶられながら気持ち良さそうな声を上げている。
「あ、うっ…あぐっ…ひ…ふあ…岩崎くん…岩崎くんっ…岩崎くん!」
何度も僕を呼ぶ声がする。
思わず僕はドキッとしてしまった。
無自覚なんだろうけど、僕の名が呼ばれて少し…いやかなり嬉しかった。
前立腺の辺りを狙うようにゆるゆると腰を使いながら、僕も彼の事を呼んでやる。
「航…きもちいいかい?」
僕の問いに、航が何度も頷いて答える。
苦しそうだけどどこか気持ち良さそうに喘ぎながら、彼は僕の動きに合わせて下腹部を捩らせた。
その動きがいやらしく見えて、僕はますます絶頂へ近付きそうになる。
「あ…ああっ…ひぐっ…すごく深い…も、うぁっ…君の好きに…んんっ…」
ぐちゅ、ぐちゅ、と結合部から僕らの快感を煽るような音が聞こえた。
航が切羽詰った声を上げて僕の肩に爪を立てる。
どこか冷たい表情をした彼をここまで淫らにとろけさせているのは僕なのだと唐突に実感する。
僕は航の腰を強く掴んで強く目を瞑った。
「出す…から、ちゃんと飲まなきゃ駄目だよ…航…!」
僕が言い終わる前に自身は欲望を放出した。
先ほど1回出したと言うのに、それでも足りなかったのか僕のものはどんどん航の体内へ注がれていく。
体内に熱いものを感じたのか、航は背を逸らして僕の体を強く抱いた。
「っあ…お、俺も…出そ…うぁ…岩崎くんっ…っあ…あああぁあっ!!」
びくんと航の体が大きく震えたかと思うと、彼はそのまま熱い液体を吐き出して机に倒れそうになった。
慌てて抱き寄せると、絶頂のせいで気を失ったんだろうか安らかな顔が見られる。
まあ、行為の後は気まずい事になるのが分かってたから気絶してくれて嬉しいんだけど。
僕は、ゆっくりと自身を抜き取ると教師机にあるウエットティッシュを手にとって床や航の秘部を拭いた。
何事もなかったように下着を着せて、ズボンを履かせるとただ眠っているようにしか見えない。
僕は身なりを整えて航の体を起こした。
「ねえ、君は起きたら僕を軽蔑する?」
軽く額同士を当てて問うけど返事はない。
僕はそのまま、航の肩に手をかけて立ち上がらせると、彼の重みによろつきながらゆっくりと教室を後にした。
彼をどこに連れて行こうというんだろう。
そんなことを考えながら彼の顔を見ると、黒髪が頬にかかっていて表情は見えなかったけど安らかそうな寝息が聞こえた。
このままお持ち帰りしてしまおうか、なんてよからぬことを考えながら、僕一歩一歩ゆっくりと学生寮のほうへ足を進めた。
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岩航エロです。続きが作れたら航視点で。