「5番が4番にキスしてくださーい!」
毎度のように入り浸っているカラオケボックスでの王様ゲームを楽しみながら僕はのんびりとジュースを飲んでいた。
さっきからキスだの耳かきだのと甘ったるい命令が飛んでくる。
王様ゲーム、それは自分以外の人間にどんな事でも命令できるゲームだ。
先生とペンギンも参加しての大盛り上がりとなっている。
真冬だと言うのに暑苦しい室内の熱気に回りはますますテンションが上がっていった。
キスひとつで舌を入れてみたり、女の子同士でスカートめくりあったりもしている(うんうん、男がやったら犯罪だからね)。
6時間くらい経過した頃、ようやく僕へと王様の運が回ってきた。
「岩崎様ー何なりとご命令をー」
みんなははしゃいだ声を上げている。
僕は一通りみんなの顔を見渡した。
さて、どんな命令を出そうか。
僕は顎に手を当ててからマイクを取った。
「5番が王様に奉仕をする事。しかもメイド服付きで。…こんなのどうかな?」
「め、メイド服ーッ!?」
一部の男子から感激の声が上がる。
女子たちも楽しそうに口笛を吹いた。
さて、その5番とやらは誰なのかと言うと。
「……王様、拒否権は?」
「ありません」
「……介入終了してもいいですか?」
「だめです」
ひたすらつまみを口に入れて王様ゲームには引っかからなかった少年が5番のくじを持ったままひきつった笑みを見せた。
育ちのよさそうな顔立ちと、艶やかな黒髪、少しつり目がちの瞳は翡翠色で気の強そうな色を醸し出している。
小島航…僕の部下であり少しだけ親密な間柄の少年だ。
華奢な体つきと、女に間違われるのだと言う絶世の美貌を持つ。
もちろん顔の事を言ったらその容姿とは裏腹にけちょんけちょんにされてしまうのだけど。
「小島くんが5番ですか…メイド服なんて着たらすっごく似合っちゃうんでしょうね?」
横山さんがにこにこと笑いながら、退出しようとする航の腕を掴んだ。
さっきから酒を開けてばっかりの小島先生が、帰り支度用の鞄の中から黒と白に彩られたメイド服を取り出す。
「メイド服ならここにあるぞ〜」
「兄さん!?何でそんなもの持ってるんだよ!!」
航のお兄さんでもある小島空先生は、航に負けないくらい女性的な顔立ちをしている。
小島先生は手に持ったメイド服を突き出してにこやかに笑った。
「航ならきっと似合うだろうなぁ。なんたって俺の可愛い弟だからな…」
「ですよねー」
横山さんが怖いくらいの笑顔で賛同した。
そうして、楽しそうだというだけの理由で菅原さんや横山さんに押さえ込まれる小島くん。
谷口くんは両手を合わせてため息をついていた。
「航、お前の死は無駄にせんからな」
「俺はまだ死んでない!勝手に殺すなッ!!」
女子たちに揉まれながら服を1枚1枚引っぺがされていく小島くんを見て、僕は苦笑しつつメイドの完成を待った。
15分くらいしてからだろうか、女子達の間からゆっくりと可愛らしいメイド服に身を纏った少女…いや、小島くんが顔を出す。
肩を出した作りの上着はちょっと大胆な印象を与えるが、胸の部分はだぼだぼしている。
詰め物を入れなかったのだろうか、上着の隙間からまっ平らな胸が覗いた。
ふわりと広がったスカートの中にはピンクのパニエが膨らんでいる。
ちらちらと見え隠れするドロワーズが可愛かった。
膝丈までのスカートに、すらりと伸びた引き締まった足は白いオーバーニーソックスを履いているらしい。
そうして、花のコサージュがいっぱいついたヘッドドレスを頭につけてもう生きていられないと言った風にガックリと俯いている航の顔へと視線が映る。
航は、僕と目が合うと悔しそうに睨みつけてきた。
ここは恥ずかしがってほしいところなんだけどなぁ。
僕が何かを言う前に、風よりも早いスピードで航の足に飛びついた人がいた。
「ああ、男の憧れ…オーバーニーソックス!ふともものところでちょっとだけスレてる所もまた…あああん、ビバクツシターーー!」
「うわっ!の、野口くん…足にしがみついたら危ないだろ!?」
いつの間にか野口くんが航の足を抱きしめている。
うんうん、何だかものすごい納得してしまうよ。
そのまま野口くんによる野口くんのための"メイドさんの靴下"について2時間も耳にタコができるくらい語られた。
もちろん、みんなテーブルに突っ伏している。
返事がない。ただのしかばねのようだ。
「すいませーん!」
不意に部屋の扉から店員が顔を覗かせた。
そろそろ閉店ですよ、と声がかかる。
みんなは、ようやく解放されたといった顔つきでフラフラ立ち上がるとそのまま一人一人部屋から出ていく。
僕は横山さんを呼び止めた。
「横山さん、会計頼めるかな?」
1万円を渡してそう言うと、疲れきっている横山さんは苦笑しながらも了承してくれた。
次々に部屋から出て行く仲間たちを見送って、退出しようとしている航の襟首を掴む。
彼はまだメイド服のままだった。
「…っ、何するんだよ岩崎くん!?」
ぱたん、と扉の音が聞こえた。
みんな出ていったんだ。
この部屋にいるのは、もう僕らだけ。
「まだ奉仕してもらってないよ」
僕は上目がちに言って航の体を抱き寄せた。
ふわふわしたスカートが僕の足に触れる。
ぺたんこの胸に手をやると、航の下肢が震える。
身を捩ったせいかオーバーニーソックスが片方、膝の辺りまでスレていた。
靴下フェチの野口くんが叫んでしまうのも分かる気がする。
かくいう僕も靴下フェチなんだけどねぇ。
僕は航を腰に座らせて笑った。
「奉仕を頼めるかい?小島十翼長…いや、メイドさん」
僕がわざとらしく言い直すと、航は怒りをあらわにした表情で僕を殴ろうとするが、その手がぴたりと止んだ。
何かを考えるような悔しそうな可愛い顔で。
「…隊長、誰か来たらすぐにやめます。いいですか?」
「ああ、もちろん」
僕が笑うと、小島くんはおずおずと身をずらしてから僕の下腹部へ顔を寄せた。
ソファの上で四つんばいになった格好で僕のズボンのジッパーを下ろしていく。
しかも口で下ろしていくから、なんだかとても卑猥だった。
メイドはゆっくりと両手で僕のものを導き出すと、ごくりと息を飲んでから味を確かめるように唇にだけ口をつけた。
「…っ…んっ…」
口に銜える事に抵抗があるのか、航は何度もキスを繰り返しながらもどかしい愛撫を与えてくる。
僕が無理やり銜えさせようとすると、びくりと小さな肩が震えた。
小さな、と言っても…僕と同じ男なんだけど、どうしても今の彼は男に見えない。
不安そうに細められた翡翠の瞳が揺れていた。
航は、ゆっくり息を吐き出してから恐る恐ると言った風に僕のものを口に銜えていく。
生暖かい咥内の粘膜が気持ちよかった。
「…んむ…うう…ふっ、う…は、隊長…」
「うんうん…隊長じゃなくてご主人様だよ」
僕は航の髪を撫でながら笑った。
その言葉を理解したのか、メイドはこくんと頷いてそれをしゃぶってくれる。
苦しそうな表情が可愛い。
スカートから覗く滅多に見られない航の足が綺麗だなとおもった。
僕らは戦闘中にウォードレスを着ているため無駄毛の処理をされている。
だから航は妙に女の子みたいだった。
ふとももに目を移すにつれ、抱き心地が良さそうだと感じる。
僕の視線を感じたのか、それは両足を擦るようにしてスカートの中へと逃げてしまう。
僕は航の髪を撫でながら軽く腰を使って喉奥へとそれを突き出していく。
ぐちゅ、と淫猥な音が聞こえた。
「…っあ…たいちょ…ご主人さま…うっく…んんっ…んう…ご主人さま…」
着慣れない服に対する僅かな興奮と、王様ゲームでのテンションが抜けきれていないのか航の愛撫は大胆になっていった。
睾丸を転がしながら、裏筋にも優しく舌を当ててくれる。
はらりと落ちてきた黒髪が僕のものをくすぐる。
航は、小さな口に僕のものをしっかり銜えて苦しそうに吸い上げた。
ちゅう、ちゅうと音が響く。
僕はマイクを取ると、スイッチをオンにして航の口元にやった。
「メイドさん…美味しいかな?ちゃんと綺麗にしないと駄目だよ?」
「っく…美味しいです…ふぅ…うあ…ご主人さまの…綺麗に…します」
マイクのせいで航の喘ぎが室内に響く。
航は水音をわざとらしく立てながら、不意に僕を見つめて言った。
口の端からポタポタと僕のものが垂れていていやらしい。
「…5番が僕でよかった…んあっ…く…」
航の呟きに含まれた意味を感じ取る前に、僕は快感に負けた。
黒髪を撫でながら頭を押さえつけて歯を強く噛む。
僕の絶頂を感じたのか、航は苦しそうに唸りながらも口を離そうとはしなかった。
「く…出すよ、航…」
名前で呼んでやると小さく航の喉が鳴った。
その振動が伝わってきて僕を絶頂に導いてくる。
僕は航の頭を強く押さえつけて、そのまま射精した。
「む…ふ…んんんっ…!!」
最近していなかったからずいぶん溜まっていただろう。
航は、僕の濃いものをごくごくと音を立てて飲み下していく。
目尻には涙が浮かんでいた。
ずるりと、航の口から僕のものを抜き取ると小さな口からボタボタと白濁液が零れている。
航は喉の奥から白濁を零して苦しそうにせきをした。
「ごほっ、ごほっ…ぐっ…ふ、いつものと…違う…。すごく濃くて…舌が痺れそうだよ」
指についた白濁を舐め取りながら航が苦しそうに言う。
その声が妙にいやらしくて、僕は航をソファへ押し倒した。
抵抗する時間も与えないほどに。
「…最近は機体の点検、陳情、戦闘、訓練ばっかりで…構ってあげられなかったね」
僕は航の頬を撫でながら呟いた。
口の周りを白濁でべたべたにした航が不思議そうに目を細める。
翡翠の瞳がゆらゆらと僕を映した。
スカートの中に手を入れると、案の定熱くなった部分に触れる。
僕はそっと手を出して、わざとらしく言った。
「濡れてる…感じたんだ?」
「…っそんなこと…ない…」
顔を寄せて何度かキスをしてやると、航の足が僕の腰に絡む。
僕のキスを追うようにして音を立てた。
可愛い子だ。もっと虐めてやりたくなってしまう。
僕は航の唇を吸いながら服の中に手を忍ばせた。
航の掠れた喘ぎ声が聞こえる。
膨らんでもいないのに、航の胸はなんだか成長途中の少女のようにも見えた。
突起をころころと転がしながらそれを少し強くつまみあげてやる。
「んぅっ…あ…ご主人さま…もっと酷くして」
航の声が妙に艶めいていた。
彼は僕の首筋に顔を寄せて吸い付くように唇を当てる。
大胆だな、なんて思いながら僕は航の唇を塞いだ。
ちゅ、と乾いたキスの音を立ててから、思い出したように口を開く。
「そういえば知ってるかい?小島くん…」
「んぅ…岩崎くん、もっと…」
航は僕の唇をねだるように可愛い声を上げた。
翡翠の瞳が潤んでいて可愛らしい。
それでも言っておこうと思った。
「このカラオケボックス、監視カメラつきなんだって」
「……は?」
不意に航の手が止まる。
僕が"燃えるよね?"と付け足すと、航は幻獣も逃げ出しそうな瞳で僕を見た。
わなわなと震えている。
「岩崎くん!!それを知ってて僕をこっ、こんな目にあわせたのか!?」
僕を突き飛ばすように起き上がった航は思い切り怒鳴っているけど、その顔は真っ赤になってて可愛らしい。
掴みかかるようにして航の手が僕の肩を強く揺さぶる。
その剣幕に圧されてしまって、僕は苦笑した。
「…あ〜…言わなかったかい?参ったなぁ。って小島くん…下着まで女子用なんだね」
「見るな!こんなの…末代までの恥だっ!僕の家にドロを塗るような真似を…」
「あはは…いいじゃないか、君のお家はとっくに潰れてるんじゃなかったっけ?」
「そういう問題じゃないッ…岩崎くんの馬鹿野郎!もうカラオケに行けないじゃないか!!」
そのまま航に殴られたけど、滅多に手を上げない航がここまでするなんてよっぽど恥ずかしかったんだなぁと後で感じた。
次回の王様ゲームを楽しみにしつつ、また何か玩具を使って可愛がってやろうとおもう。
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拍手のリクエストで書かせて頂いた岩航のコスプレエッチです(笑)