野蛮な奴は嫌いだ。
どうしてこうも僕につきまとう?
暑苦しい、うるさい、迷惑だ。
こいつはそれがわかってない。
「なぁなぁトーマ、算数のノート見せてやろっか?俺、ノート取るのうまいんだぜー」
「いらない」
「何でだよ?」
「必要ない。帰る」
「あッ、ちょ…」
ランドセルと、全く使わない勉強道具をかき集めた僕はすぐにパートナーを呼んで席を立った。
汚い字でかかれたノートを持ったままの少女が僕を引き留めようとするけど、知らない、いらない、関わりたくない。
だから押し退けるようにして歩きだした。
「はにゅ…まちゅたー…こわいでちゅ…」
パートナーのワニャモンが小さな声で言う。
僕の耳には入ってこない。
必要ないこの学業に何の意味があるのかまったくわからなかった。
先日の躾と戦いで体はぼろぼろなんだ、勉強なんかやってられるか。
「おい、トーマッ!」
不意に強く肩を引っ張られる感覚がして、僕は勢いよく振り返った。
茶髪の少女が困惑気味の表情で見つめている。
浅黄色の瞳がゆらゆらと落ちつかなげに揺れていた。
僕は唇を噛んで、少女の頬をおもいきりひっぱたいた。
「うッ…!いってェな…なにす…」
「大門マサル…僕に触るな、近づくな。僕はきみがだいっきらいだ」
反論の隙も与えないくらいに言ってやった…とおもう。
マサルは赤くなった頬をさすりながら唇を尖らせている。
可哀想だなんておもわない。
だってこんなに嫌っているのに話しかけてくるきみが悪いんじゃないか。
きみが、悪いんだ。
「おー、ずいぶん修羅場ってるじゃねェの…チビ助共」
ふと、教室の扉から声が聞こえた。
目をやるとそこには、ふくよかな胸を見せびらかすように立っている少女がいた。
唇にピアスをしていて、体格がいい…先輩だろうか?
小学生とはおもえないほど色っぽい。
ミニスカートから覗く足はむっちりしてるし…なんだかいやらしい人だなとおもった。
僕やマサルより胸が大きい少女は、僕らを観察するように見やるとコロモンやワニャモンを目にして小馬鹿にしたように笑う。
「ダッセー精霊だなァ…プリキュアちゃんよォ」
「…ッ!」
少女は僕らがプリキュアであることを知ったような口調で言った。
やたら好戦的な態度だ。
「てめッ…ひろあkiの仲間だなッ!?」
「…ひろあki?何のことだかわかんねーし…くく…」
「とぼけるな。きみが僕らの敵である事くらいそこのオサルでもわかるさ」
「俺はオサルじゃなくてマサルだッ!」
僕らの追求に、少女が目を細める。
机に腰掛けて妙に色っぽい表情をした少女は僕らを順に見て言った。
「俺の名は翼聖…コウキちゃんとでも呼んでくれや。テメーらとおなじプリキュアだよ」
コウキと名乗った少女は小さくため息をついて足をぶらぶらさせている。
短いスカートから覗く派手な豹柄のパンティが目に入った。
唇にはピンクのグロスをつけている。
「テメーらの初陣、見てたけどさァ…アレだせーよな、ただヤられて喘いでるだけだしよォ。戦いを理解してない、ってやつ?」
コウキはげらげらと笑いながら言った。わざわざ僕らの羞恥を煽るみたいに。
初陣とは初めて僕らがうさぎ小屋で戦った時のことだ。
無理矢理、ハジメテを奪われて襲われた日のこと。
おもいだしたくもない…。
「結局何が言いてェんだよッ?」
苛立ったふうにマサルが言った。
僕をかばうように立ってコウキを睨んでいる。
コウキはつまらなそうな笑顔を浮かべながら足を揺らす。
それでもゆっくり伸びた手がマサルの顎を掴んだ。
「大門マサル…オレはテメーが嫌いなんだよ。だから勝負しろ」
机から降りたコウキがマサルに顔を寄せる。
互いの乳房が重なった。
ふくよかな乳房がくにゃりと崩れるのを見て、僕はおもわず自分の胸を確認してしまう。
「ま、まちゅたー!きにしたらまけでちゅ!」
ワニャモンがフォローにもなってないフォローをしてぴょんぴょんと跳ねた。
気遣ってくれているのはわかるが、少しショックだ。
そんな僕を後目にコウキが言った。
「明日の放課後…校長室に来い。アイツらが待ってるぜ、ペチャパイ小僧」
コウキの好戦的な態度にマサルが眉をつり上げたけど、それはすぐに勝ち気な笑みに変わる。
大きなコウキの乳房を鷲掴みにして、マサルが言った。
「けっ!こんなデカいモンぶら下げてっと負けンじゃねーか?」
くにくにとマサルの手の中でゴムまりのようなそれが揉みしだかれる。
おもわず見入ってしまった僕はあわててワニャモンの目を手で押さえた。
「ふにゃ!なにするでちゅかー!」
「ごめんっ!だってワニャモンにあんな下品な場面見せられないんだもの!」
ワニャモンの声におもわず言い返してしまう。
そんな僕らをよそに、マサルは大胆な発言を繰り返す。
「大体なァ、ぱんつ丸見えなんだよッ!しかもおばさんみてーなぱんつ…」
「んんっ…何しやがるこのエロガキッ!!」
スカートをべろんと捲り上げられたコウキは、慌てたようにマサルの手を振り払う。
ノーブラなのか、マサルに揉まれた胸は僅かに先端が尖っていた。
小豆色の突起が透けているのがわかる。
コウキは胸とスカートを押さえてマサルを睨んだ。
「だ、だ…大門マサルッ…テメェ…オレにこんな事していいとおもってんのかァ!?明日はテメェがおなじメに遭うんだからなッ!!覚えてやがれ…!」
何という情けない退場だろう。
コウキはすっかり憤慨した様子で教室を飛び出して行った。
それを見送って満足そうな笑みを浮かべているマサルは僕を見てピースサインしてみせる。
「見たか?これが戦わずして敵を退ける大門流奥義だぜッ!」
「あにきかっこいー!」
勝ち誇ったようなマサルをコロモンが絶賛している。
僕は大きくため息をついてパートナーをきつく抱きしめた。
「……もっと大きくなりたい…」
当分叶わない夢を脳内に描きながら、僕は海より深く落ち込んだ。
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キュアウルフ=豹柄。
マサルに揉まれてGカップに進化しそうな勢いです(笑)