2.偽り(有濱)

ずっと嘘をつき続けてきた。これからもこの関係がずっと続くなら、俺は限界まで嘘をつき
続ける。濱口は俺が結婚した時に言った、もうこれで終わりやろ?と。俺はそれを否定した。
終わり?・・・今更終わらせた所で、何が変わるんだ。既成事実は見えなくても、存在してる。
 「・・・あっ、あぁっ、・・・はぁ、はあぁぁっ・・・!」
濱口が俺に別れを聞いてきたのは、結婚式の一週間後だった。・・・その夜、三度Hをした。
 「・・・やらしいな、そんなに腰振って」
・・・どうせ幸せな家庭とやらを持ったとしても、結局それも自分に嘘をつけ続ける事になる。
濱口との関係を続けても、嫁に嘘を付き続ける事になる。身体の相性は、濱口との方がいい。
嘘なら、幾らでもつき続けてやろう。これ以上の快楽を与えてくれる、娯楽をくれるなら。

 「お早う御座います。事務所来てたんですね」
事務所へ行くと、アメリカザリガニの平井がコーヒーを飲んでいた。手には、煙草と携帯が。
 「おお、お早う。柳原と打ち合わせ?」
 「ああ、はい。・・・有野さんは?」
 「ん〜いや、たまにはちょっと顔出しとこかな〜思て」
平井に、煙草を一本貰う。濱口は今頃、ホテルから家に帰っているところだろうか。
安い、ビジネスホテル。昨日番組の収録が遅くなって、周りのメンバーやスタッフの目を盗
んで、濱口を連れ出した。携帯の電源は切って切らせて、一晩中やりまくった。・・・一方的に。
 「・・・どや、柳原と上手くいってるか?」
 「ん〜ぼちぼちですよ。賞レースは、弱いですけど」
・・・アホ。そっちも聞きたいけど、俺が聞きたいんはそっちちゃうわ。
 「ちゃうって。・・・身体の相性や」
お前の本性を一番知ってるのは、俺。バラしてもええんよ、ぜ〜んぶ?
 「・・・またそれですか。いいですよ、嫌んなるくらい。有野さんは、勿論縁は切って?」
 「ん?切ってへんよ」
平井は、飲んでいたコーヒーを吹きだした。
 「何や、汚いなぁ」
 「汚いなぁちゃうでしょ!あんな、番組で結婚式、あげといて・・・!」
 「はいはい、ごめんごめん」
 「・・・ほんっっま信じられへん、そういう所。普段あんな優しそうな顔しといて、
 「キャラやもん」
 「・・・・・・有野さん。絶対、地獄堕ちますよ」
地獄か。望む所や。
 「・・・ええよ。地獄だろうか何処だろうが、逝ったるわ」
嘘をつくと舌を抜かれるという。舌を抜くんはきっついなぁ、痛そうやし。死ぬ前に、舌を根
こそぎ、切り取ってもらおう。そうすれば、抜かれないだろう。・・・・・・もう今更、止めても。
 「ナイナイの矢部さんもそうですけど・・・先輩達、嘘つくん上手すぎですよ」
 「・・・もう何年も、つき続けてるからな。プロやでプロ」
何の話だったか、一つ嘘をつくと、その嘘を守る為に、幾つか嘘をつかなければいけないと
書いていたのは。確かに大当たりだ。濱口とできているのを隠すために、何十個もの嘘を
ついた。事実を知っているのは、周りの同期の芸人と平井と柳原くらい。・・・まぁ都合のいい
もんで、にこにこ笑顔を作って話すと、いい人と思われて、全く疑われないのだ、これが。
濱口は、止めたいんだろうか。本当に、この関係を断ち切りたいんだろうか。いや、多分違う。
もうお互いに知り尽くして、関係を結んでしまったから。もう暫く、止める事なんて。

こんな有濱が好きなんです・・・!
米蟹とちょっと絡ませてみたりしました。同居してたから、絡ませやすいですわ〜。
あんまり浮気ものが好きじゃない人にはお薦めできないですね・・・。
結構ドラマなんかもドロドロ愛憎劇が好きなので、浮気(不倫?)ものも結構書いて
しまったりします。彼女とか妻とか入れるのが好きじゃない方もいらっしゃいますが。
私は結構好きですね・・・。自分がされたらキレるくせにね(苦笑)
極楽蜻蛉は書かないんですよね、Kさんが結婚してからあまり。
Yさん攻も結構好きですが、いまいち書きなれてないし、非常にマニアックなので・・・。
若手の関係性が薄いって訳じゃないですが、中堅って濃くてたまりません。
嗚呼・・・土有とか石恵とか書きたいです。マニアすぎるな・・・