28.二つ目(金赤)
ずっと二番目でしかないんだ。そんな事は、分かっていたはずなのに。
「・・・・・・」
どうして亮君が番組の収録の休憩時間に、奥さんと楽しく電話をしているのを見かけた
だけで、こんなに辛くなる?あれは元から、俺のもんじゃないのに。俺の側には、あったけど。
「・・・敦?・・・まだ、泣いてるんか」
さっき、収録中に、俺が急に泣き出して。ゲストの若手芸人も、アイドルも急な事に吃驚し
てた。亮君も驚いてたけど、さっと俺の手を掴んで、スタジオから楽屋へ、俺を連れて行った。
「・・・敦、
亮君の手が、俺の頭に触れる。思わず振り払った。
「・・・触んないで」
その手で、奥さんも自分の子供も、抱いてきたくせに。偉そうに彼氏面、しないでよ。
「・・・とりあえず、顔拭いて。スタジオ戻ろ」
亮君がティッシュを取ってくれる。それも振り払う。ティッシュが、床に落ちる。俺なんて、
すぐにでも捨てられるくせに。どうして、好きだなんて言うんだ。そんな愛情、欲しくない。
「・・・敦!」
怒っても怖くないよ、亮君なんて。
「・・・何が気に喰わんの?」
気づいてないし。
「・・・奥さんと子供がいるのに、俺に手を出してる所」
汚いよ。俺が合コンで女とヤッた、って言ったらすげぇ哀しそうな顔するくせに。
自分はどうなんだよ。もっと汚いじゃん。結婚してるくせに、男に、しかも相方に手ぇ出して
るなんて。最悪だよ。どっちかと別れろよ、結婚とかする前にさ。・・・何考えてんだよ、もう。
「・・・ごめん」
ごめんじゃないだろ。
「何で俺なんか好きって言う訳?・・・ねぇ、もうさ、止めようよ」
嗚呼最悪、また涙が溢れてくる。こんなに泣き虫になったの、亮君の所為だよ?
「・・・ごめん、できん」
「何で」
早く俺なんて捨てろよ。俺なんて奥さんがいなくなった時の、保険なんでしょ?
「・・・敦も、好きやから」
・・・嬉しいなんて思うな。嬉しいなんて思ったら、また今までの繰り返しだ。
俺は邪険に扱われて、時々亮君に呼ばれたと思ったら、馬鹿みたいにセックスを繰り返す
だけだ。それ以外は、見せかけだけの愛情しか与えられない。絶対消えない、線を引かれるんだ。
そしてだんだん、一人になってく。誰かにバラす訳にはいかないから、全部一人で抱えて。
「何だよそれ。・・・そんな理由、はいそうですか、って了解できる訳ないだろ」
俺の事さんざん苦しめといて、それかよ。俺だって好きだよ。嫌いだったら今頃、こんな事で
悩んでなんかないよ。ねぇ亮君だって分かるよね、世の中、好きで片付かない問題もあるん
だよ。こんな関係、何時までも持ってて、いい訳ないよね?きっと後になれば後になるほど、
辛くなるし酷くなるよ。早めにきっちゃおうよ。そっちの方が、亮君も辛くないだろうし。
「・・・ごめん、でも」
でもじゃないだろ。一体何回こういう話をして、亮君の口から「でも」って聞いただろう。
何回も別れ話をして、その度に亮君に止められて。その続きは決まってるんだ、「好きだから」。
「好きだから。・・・許してくれるとは思わないけど、許して欲しい」
何で、亮君が泣くんだよ。泣きたいのは、こっちの方だよ。
「・・・敦っ?」
亮君を、抱き締めた。・・・嗚呼、また俺、自分の首を自分で締め続けるんだなぁ。
「・・・後五年。後五年経ったら、絶対別れるんだからね」
こんな約束をしたところで、止められる訳ないのに。どうして口が滑るんだ。
「・・・うん」
俺が一番目にあがる事なんて無いんだろうなぁ。俺は、何時までも二番目のまま。

またまた浮気(不倫ですね)ものですが。
やっぱり好きみたいです。英国長靴は、逆カプをよく見ます・・・。
マニアックなんでしょうか・・・?マニアックなんでしょうね。
俺様受が好きなので、金赤派なんですが。
たまに亮さんに甘える受子ちゃんが好きです。たまらんです。
ちなみに後五年・・・というのは、分かる方は分かるかと・・・。
某コンビさんの某エピソードを参照してみました。