二人が寝室に入って、一時間程経った。TVを適当に付けたり、梶にメールを送ったりして、暇を
つぶすが・・・気になる。やっぱ、俺が女とするセックスとは、全然違うもんだと思う。それと、本当
に身体の相性がよくて、菅さんが宇治原さんに骨抜きになっているのか、知りたいから。
 『んっ、・・・ふっ、あっ、あぁんっ、・・・宇治原ぁっっ・・・!』
甘い声。荒い息と、菅さんの喘ぎ声が、壁を通して伝わってくる。
 『菅ちゃん・・・気持ちいい?』
多分、エプロンも脱がさずに愛撫しているのだろう。今までの行動から、予想できる。
 『・・・嫌ぁ、嫌ぁぁんっ、そんな、舐めたら駄目ぇぇっ・・・!』
しっかし・・・受身側とは知っていたものの、改めてびっくりしてしまう。あんだけTV、舞台で宇
治原さんの事『不細工』言うてんのに、してる間はこうやもん。女の子みたいな声。・・・高井さんも、
たーちんとする時は、こんな声を出したりするんだろうか。・・・受身側が相手に身体を預ける事は、
攻める側にとっては、嬉しい事だ。自分を愛し、信頼している上で、相手はそうしているのだから。
 『嫌やないやろ?・・・此処、こんなんなってるよ?』
 『嫌ぁっ、・・・あぁんっ、ああっ・・・!』
公開AVみたいって思ってしまうんは、俺だけやろか。
 『・・・此処、こんなに締め付けて・・・何が欲しいんかな?』
・・・何で・・・俺、興奮してる?菅さんの喘ぎ声、聞いて。・・・嘘や、やって、俺、ノーマルやもん。大
体、いっつも一緒に遊んでる、菅さんに欲情する訳ないもん。・・・絶対、この感情は違う。
 『・・・宇治原ぁっ、・・・あぁっ、・・・お願い、挿れてぇぇっ・・・!』
・・・勃起してる?・・・嘘やろ・・・俺も、バイなんか?でも、そうだとしても、初めて欲情した男が菅
さんって・・・いや、梶の方がまずいねんけど、・・・菅さんって・・・何か、自分で自分が嫌や。
 『・・・もっときちんと、おねだりできるやろ?・・・言うて?』
・・・あかん・・・本気でヤバイ・・・
 『・・・あっ、んっ、ふ・・・宇治原ぁ、挿れて・・・下ひゃい・・・』
ベットの軋む音が、嫌に耳につく。
 『ああっ、嫌ぁぁっ、・・・はっ、はぁぁっ、・・・宇治原ぁっ・・・!!』
宇治原さんにペニスを挿入され、痛く感じながらも、たまらない快感に喘ぐ姿が、脳裏に映る。
 『・・・西野、もう来てええよ?・・・我慢、できる?』
・・・我慢できないです。
 「・・・菅さん・・・」
宇治原さんの腰に座らされ、両足を全開にされ、ペニスを挿入された淫乱な姿に、思わず唾を飲ん
でしまう。もちろん、裸エプロンのままで。ひくひくと震える、丸見えの陰唇。・・・信じられない。
 「・・・厭らしい?・・・やろな、此処、こんなんやもんな・・・」
宇治原さんが、人差し指で菅さんの陰唇をなぞる。
 「宇治原ぁっ、・・・俺っ、もう・・・!」
恥ずかしそうに絶頂を欲しがる菅さん、・・・宇治原さんと二人の時は、何時もこうなんか?
 「・・・ああ、すぐ逝かしたるからな・・・」
そう言うと、宇治原さんは菅さんの太ももを抑え付け、菅さんの身体の中に、自分の突起物を
抜き差しさせた。菅さんは我慢できず、俺の目の前と分かっていながら、絶頂に達した。
 「・・・はぁ、はぁ・・・」
菅さんはすっかり身体の力が抜けてしまったのか、そのまま倒れ込んでしまう。でも、身体の中
にはまだ、宇治原さんの突起物が挿入されている。白く濁った接続部、・・・あかん・・・抱きたい・・・。
 「・・・びっくりした?」
宇治原さんは相当余裕。・・・慣れているのか。
 「・・・ええ。・・・何時もこうなんですか?」
俺も冷静に振舞おうとするが、暴れ出そうとする突起物を抑え切れない。
 「・・・まぁな。・・・どーしたん、身体?・・・興奮した?」
分かっているくせに。あそこまで見せて、そういう質問は意地が悪い。・・・それにしても、・・・菅さ
んの顔、何て厭らしいんやろ・・・。何時もこうだとしたら、・・・あかん、また興奮してきた・・・。
 「・・・犯りたい?」
ベットに上半身を倒した菅さんの頭を優しく撫でながら、宇治原さんが誘ってくる。
 「・・・いいんですか?」
止めようとか、可笑しいとか思わない時点で、俺は多分宇治原さんの誘いに乗ってる。・・・たーち
ん、高井さん、梶が聞いたら(見たら)どう思うんやろ・・・可笑しいとか思うんかなぁ、やっぱ。
 「・・・人にこういう事されるの、大好きやもんな?」
そう言って宇治原さんは、菅さんの腰を後ろから掴んで、そのまま自分の突起物を抜き差しさ
させる。菅さんは我慢できず、そのリズムに合わせる様に、口から甘い喘ぎ声を漏らしてしまう。
 「・・・おいで?」
その晩の事は、・・・あまり覚えていない。

翌朝。起きると、宇治原さんが適当に作った朝飯が、居間の机の上に並べられていた。宇治原さん
に聞くと、菅さんはまだ夢の中らしい。・・・昨日の晩。何回したか覚えてないっていうんが最悪
やねんけど、二人して、菅さんの身体をめちゃくちゃに犯した。菅さんは時々痛そうに嫌がる
ものの、それもたまらなく、セックスに夢中になってしまった。何分俺は男とやるのは初めてだっ
たから、見よう見まねだったけど。・・・女も好きだ。バイセクシャル、という事なのだろう。
 「・・・宇治原さん」
普段は優しいのに、セックスしている時のあのサディストぶり。・・・あのギャップがいいんだろう
か。意外だった・・・尻に敷かれている、と思っていたから。・・・まさか、その反対だったとは。
 「・・・ん?」
こうしてみると、ただの「いい人」なんだけど。
 「・・・あの・・・菅さん、相当慣れてたみたいでしたけど・・・何時もしてるんですか?」
 「いや?3Pは、昨日が初めて」
え?
 「3Pはって事は・・・
 「ああ。お前が言いたい通り、SMとかもやった事あるよ。気持ちよかったなぁ・・・」
宇治原さんはそう言いながら、思い出したのか、うっとりと顔をほころばせた。SM・・・菅さん
が・・・宇治原さんと・・・SM・・・あかん!俺、何考えてんねん!?・・・少なくとも、友達やろ!?
 『んー・・・宇治原ぁ・・・』
眠そうに眼を擦りながら、歩いてくる菅さん。素っ裸やし・・・ピンク色の、少し赤くなった肌。ぷ
っくらとして、俺と宇治原さんの身体を、何度も受け入れた身体。・・・昨日の事を、少し思い出す。
 「・・・おいで、風邪引くよ?何か着ぃ」
そう言って宇治原さんは、青のボーダーのパジャマを、菅ちゃんに着せてあげた。菅さんは半寝
ながらも、嬉しそうに顔を擦り付ける。何か・・・こんなんなんか?って感じ。3Pやぞ、3P。普通
に思ったらやで?こんな嬉しそうな顔して、自分の彼氏にキスしたりするか〜?・・・嘘やろ・・・。
 「・・・あの・・・菅さん」
短く唇を頬にあてる菅さん、嗚呼、可愛い・・・。
 「・・・嫌とか、思わないんですか?」
 「何で?」
何でって・・・。
 「だって、・・・宇治原さんはええかもしれないですけど、俺ともやったんですよ?」
 「だから?」
だから、って・・・。
 「俺は宇治原が好き。・・・まー、お前とやるんは考えてへんかったけど、・・・だから何なん?」
・・・そう開き直られると。
 「俺は、宇治原とやるんやったら何でもええの。お前が混ざっても、関係無いの」
・・・何?俺は、おまけですか?
 「・・・そっちの方がええやろ?・・・お前、結構上手やったよ♪」
 「俺は〜?」
 「もちろん宇治原が一番やってvv他は全員お前以下やもんvv」
俺も、宇治原さん以下か・・・まぁええけど。本気になられるより、少しくらい馬鹿にされた方がマ
シ。幸せそうな二人。・・・ええなぁ。菅さんにとって何時までも宇治原さんが一番で、宇治原さん
にとって何時までも菅さんが一番。他は二番、・・・かそれ以下。可哀想、菅さんに「二番目」って
思われてる奴。・・・俺かもしれんのか。虚しいなぁ。でも本気になられると困る。・・・いっその事、大
嫌いって言ってもらった方がいい・・・嗚呼、それも菅さんなりの、俺に対する嫌がらせか。






END