4.言いなり(和町)
君は僕の、操縦士。君が僕にして欲しい事を言うなら、僕は全部叶えてあげる。
 「・・・・・・」
それが愛情だと、思っていたのに。君は今、泣いてる。
コンビニ行って、ビール買うてきて。君が寝起きの僕にそう言うから、僕はしょうがないと
思いながら、自分の分と、君の分を買いに行った。そして僕が帰ると、・・・君が泣いていた。
 「・・・町田、
君に触れようとする。君は何も言わずに、僕の手を振り払った。
 「触らんといて」
・・・どうしたらいい?町田は泣いてばっかりで、何も言ってくれない。文句の一つでも言って
くれたら、謝る事ができるのに。・・・試されているんだろうか?どう、俺が反応するか。
 「・・・何で言う事、聞くんよ・・・」
・・・だって、君に愛されたいから。
 「町田が、好きだから」
欲しいと言われたら、与える事しかできない。その無能さを、怒られているんだろう。
 「・・・寝起きなのに。眠いのに、何で」
 「欲しいかな、思って」
 「アホ、よう考えてみぃ。寝起きで、ビールなんか飲むか」
そうは考えたけど。でも、欲しいと言うから。
 「俺が死んで言うたら、死ぬん?・・・たまには、抵抗してよ。嫌、言うてよ」
町田は俺が好きだから、従ってばっかりじゃなくて、抵抗して欲しかった。そっと抱きしめた。
町田はまた嫌がるが、力を強めると、抵抗しなくなった。
 「・・・ごめん」
 「何で謝るん?怒ったらええやん。訳分からん、って思ってるくせに」
嗚呼もう、どうしたらいい?
 「・・・和田・・・・・・もう。ほら、顔、拭いたるから。顔あげ」
知らないうちに、泣いてしまっていた。
 「・・・ほんまに、ほんまにごめん。俺・・・」
之は、相方だからなのかもしれない。あまりに近くにいすぎて、町田の敏感な気持ちに気づ
いてなかった。与える事しか、できなくなっていた。与えられるのを、求めなくなっていた。
 「・・・ええよ、もう。・・・あー。腹、減ったなぁ」
 「・・・・・・うん」
キスをする。止め処なく、何回も。
与える事と、与えられる事。君の言いなりになる時と、ならない時。両方が無ければ、厳しい
君には愛想を尽かされてしまうだろう。・・・今はまだ与える事しかできないけど、頑張るよ。

寝起きでビールってまず呑まないですよね。あーあ。
何かもう、非常に残念感が。何なのだ自分。可愛いMさんが書きたかったんです。
あわあわ何をしたらいいのか分からなくなってる、Wさんが書きたかったんです。
でも今回は下が一切なかったので、そこはよかったかな〜と思ったりします。

5.好きだから(石井)
君が好きだから。全ては君のため。
 「・・・なぁ、ほんまに俺、手伝わんでええの?」
この前お好み焼きを作ってあげたら、物凄くはしゃいで、美味しい、また作ってと言われて。
そんな可愛いお願いに、応えてあげたくて。キムチ鍋が食べたいという、君のおねだりに。
 「ええよ〜。お袋の味ならぬ、彼氏の味」
お互いに笑う。彼氏か。最初会った時は、こんな仲になるなんて思ってなかった。
というか、お互いに目指す方向も違ったから、コンビを組む事自体全く考えていなかった。
コンビを組んで、知らないうちに好きになっていて、告白して、沢山Hをして。
 「・・・やっぱ、何か手伝う!」
井上はそう言って見ていた雑誌をテーブルの上に置いて、こっちに走ってきた。
 「ええのに」
 「悪いもん。・・・あ、・・・これ、切るな」
君が取ったのは、白菜。まぁ・・・柔らかいから、ええか。
 「楽しい。新婚夫婦みたいや」
さくさく、いい音がする。
 「料理上手な夫?」
 「うん」
 「・・・それでへたれな?」
笑う。
 「・・・うん」
君も笑う。ああ、可愛い。
 「痛っ!」
井上の親指から、血が出ている。包丁を置き、手を取ってやる。
 「痛い?」
 「そんなに・・・でも、めっちゃ血ぃ出てる・・・」
確かに、どくどく流れる血は、勢いが早い。結構いってもうたなぁ。
親指を咥え、血の味がしなくなるまで、血を吸ってやる。・・・だんだん、味がしなくなって
くる。・・・・・・完全にしなくなった。・・・もう、大丈夫かな。唇を離すと、井上の顔が固まってる。
 「・・・どうかしたん?」
あぁ。何の躊躇もなく血を吸ったのが、吃驚したのか。
 「・・・吃驚した?」
料理はしてきたから、血は見慣れてるし、井上の身体はたっぷり堪能してきたし。
 「・・・そんな事、ないけど・・・」
可愛い。
 「・・・精液も皆舐めてるのに、血は吃驚するんやね」
俺がさらっと言うと、更に君は驚いたらしく、開いた口が塞がらない、といった顔をしてる。
嗚呼、可愛いなぁ。僕は相当、いかれてるらしい。君が好きだから、君に狂ってる。

最後あたりはへたれじゃなくなってるのでは?と思いつつ書きました。
祐介さんには是非エプロンなんぞつけてもらいたいとか思ったり。
白とかどうですか。半ズボンのみとかどうですか。若しくはトランクスとか。
明さんはがっつり服着てて。まー子作り開始ですね。即。(こーらー)

6.みとれる(哲西)
何時もは強気でいられるのに、あいつの前でだけはへたれになるらしい。鼻の下伸ばして
気持ち悪いですよ〜と指摘したのは、ノブ。うっさいお前かて同じやろ、と言い返したが。
そうか。へたれになっているのか。・・・へたれっちゅうか、「見惚れている」に近いと思う。
 「どうしたん?手ぇ、止まってるで」
 「あ・・・ああ、ごめんごめん・・・」
セックスを終えて、風呂に入った後。ドライヤーをかけながら、髪を梳いてやっている。
綺麗な髪。顔は童顔でもないし、格好よくもない。歳も言ってしまえばおっさんだ。
でも、惚れてしまった弱みなのか、全てが可愛く、綺麗に見えてしょうがない。他の芸人、
原田に言わせると下林は非常に可愛く、田村に言わせれば川島は非常に綺麗らしい。
皆、相方をまともに見れなくなっている。ノブやってそうや。俺等が何頼んでも嫌そうな顔
するくせに、大悟が頼めば、何でも嬉しそうにしている。きっと二人の時も、同じだろう。
 「・・・綺麗なぁ」
 「何が?」
 「お前の髪よ。・・・綺麗やなぁって思って」
天使の輪っかが、綺麗にできている。今まで何人かの女を抱いてきたが、ここまで髪が綺麗
なのは見た事が無い。逆に、ちょっと枝毛が生えていた女の方が多かったような気がする。
 「気持ち悪ぅ」
気持ち悪いって。酷いなぁ、褒めてんのに。
 「熱い熱い熱い!」
慌てて、ドライヤーを髪から離した。ずっと同じ所に当てていた為、熱くなっていた。
 「・・・もう、余所見せんといてよ」
だって、気持ち悪いなんて言うから。
 「・・・見惚れる?俺の髪」
ここまで心を乱されるのは、久しぶりだと思う。へたれだと言われようが、気持ち悪いと
言われようが、甘んじて受けてやろうじゃないか。可笑しくなるほど惚れているのは、事実
なんだから。好きだと思った瞬間から、こうなってしまったのはしょうがない事なんだろう。
 「・・・見惚れるよ」
きっと最後まで、完全に俺のものにはならないだろう。そして、へたれなままだろう。
 「・・・ほんならずっと、見惚れててよ。・・・逃げられへんやろ?」
・・・逃げる訳ないのに。逃げられるかもと思っているのは、こっちの方なのに。

へたれ中西さん。あんたら何歳やねんって話ですね。
でも飯って時々(時々かい)ものすごい可愛くないですか。きゅんとかくるんですが。
中西さんが幸治さんにメロメロなのが好きです。はい。もう結婚でもしたらええ。