一人より二人。
ライブ前。・・・東京の某ホテル。コンビだから、という安直な意見で、ユウキと同室になった。
ユウキはさっきから、ベットに突っ伏したまま動かない。寝てしまったんだろうか。
丸見えになっている、ユウキの背中。レザー素材のパンツを着ているからか、尻の形が映っている。
「・・・ユウキー?・・・もう寝たんー?」
後ろから抱きしめる。ユウキは少し眠たそうに眼を擦りながら、・・・右頬に拳をぶつけた。
「・・・痛っっ!・・・痛ぁ―――、・・・ええやんかー、これぐらい」
ユウキは何も言わず、布団にくるまって、そっぽを向いてしまう。・・・こんな所が可愛い所だけど、
ちょっと扱いが酷くはないだろうか。・・・ユウキの可愛い寝顔。何時も可愛いけど、寝てる時は最高に
可愛い。ちょっかいを出すとまた怒り出すので何もしないが、本当は思いっきり抱きしめて、ずっとキスして
いたいくらい。というかHしたい。灰色のシャツ、レザー素材のパンツ。・・・仮寝だと思う(また起きて、寝間着に
着替えるのだ)が、しばらくは起きないだろう。寝ている間に襲うのは俺の趣味じゃない。
・・・でも・・・もう限界だったりする。
「・・・しゃあないか・・・」
本当は、ユウキが寝ている側ではしたくないんだが、・・・男たるもの、これを我慢したら
逆に可笑しくなる。・・・トイレに駆け込み、ズボンを下ろした。・・・・・・ユウキ、ほんまにごめん。
「・・・・・・ユウキ・・・!」
記憶を頼りに、やっている最中のユウキの顔や仕草を思い出していく。ボクサーパンツを下ろし、
ひたすら勃起した突起物を擦り上げる。・・・ああ、たまんねえ。・・・・・・Hしたい――!
「・・・んっ、ふっ、・・・ユウキっっ・・・!」
・・・相方の変な声が耳についた。布団を剥ぎ、相方を探す。・・・姿が見えない。・・・声が激しく
なっていく。・・・大上・・・トイレにおるんか・・・?・・・トイレ・・・・・・まさか。・・・やって、そんなん
・・・でも、この荒い息、嫌になるくらい聞き覚えがある。・・・たく・・・こんな時にすんなや。
「・・・ユウキ、ユウキっ・・・!」
・・・畜生、何で・・・?・・・身体が興奮してくる。しかも、・・・突起物を中心に。
「・・・ふっ、・・・ん、・・・ユウキ・・・!」
自分のトランクスの中に、手を入れる。・・・確実に濡れている。・・・どんどん固くなっていく突起物。
・・・精液まみれ。頭の中に、大上とやっている時の記憶が流れ込んでいく。止められない。
何もしていないのに、可笑しくなっていく身体。・・・大上、・・・気付かへんかな・・・?
「・・・はっ、・・・ぁっ、大上ぇっ・・・!」
布団を被り、上半身と下半身を同時に刺激する。・・・何時もされている事。もうすっかり覚えてしまった。
・・・大上も、全部覚えてるんかな。俺が、やっている時にどんな事をしてるのか。
「・・・んんっ、・・・ユウキっっ・・・!!」
大上、まだやってるんかなぁ・・・・・・・・・聞き間違いだろうか。ドアが、閉まる音がしたのは。
もしかして、さっきのがフィニッシュ?・・・嘘やろぉ、そんなん。・・・もう、今更抑えられへん
・・・あ、大上が来る。とりあえず、布団で見えないようにしよう。頼むから、ほっといて・・・。
「・・・・・・ユウキ?・・・起きたん?」
・・・バレてるか。・・・無視しよう。
「・・・無視かい。・・・気付いてんねんで?・・・お前が、一人Hしてんの」
大上が、まるで警察の尋問みたいに俺を問い詰める。布団に包まりながら逃げようとするが、
それは身体がでかい大上の方が強く、俺を簡単に抱え込んでしまう。・・・畜生、恥ずかしい。
「・・・途中やろ、お前。・・・我慢できんのかな〜?」
我慢・・・できなかったりする。でも、このまま大上に従うのも嫌や。
「・・・我慢、できんもん」
嘘だけど。大上がニヤニヤしながら見てくるから、足で思いっきり急所を蹴ってやる。
大上が痛そうに転げまわる。ざまあみろ。・・・力を振り絞って蹴ったんだけど。正直、身体の力は
すっかり抜けていて、何時もなら大上の言うがままにしている所だ。大上は、気付かないが。
「・・・じゃあ、あそこ触らせて。感じてへんかったら、・・・濡れて無いやろ?」
本当は、今もびしょ濡れだ。
「・・・嫌や」
そうして、セックスしたいんやろ?
「・・・へえーえ、やったら、やっぱ濡れてるんや?・・・あーやらし。ライブ前に、一人Hか〜」
「そんなん、・・・お前やって・・・!!」
「しかも認めてへんし」
・・・何も言えなくなってしまう。大上が言っている事は全部本当の事だから、嘘だと言って
説明もできない。でも、今更反抗をしようにも、何か気が引ける。こんな状態で、普通は萎える
はずなのに・・・・・・身体は大上とやりたいらしく、激しく反応し出している。・・・情け無い。
「・・・さー、どうするん?」
情け無いけど・・・理性は結局、本能には勝てない。
「・・・・・・いいよ」
大上が、半分程下がっていたパンツのジッパーを全て下ろし、トランクスの中に手を入れる。
一番可笑しくなっている所を中心的に攻められ、・・・どうでもよくなっていく。身体を相方に任せて、
快感に呑まれていく。・・・気持ちいい。・・・やっぱり、こいつの身体じゃないと安心しない。
安心感が大きくなっていく心を、否定しようとする心が薄らと形を変えていく。
お互いの快感を確かめ合う様にキスをしていく。明日の単独ライブの事が、頭をかすめる。
大上に抱き寄せられ、キスをされ、消えていく。・・・今夜一晩だけ。・・・動物の様に、抱き合う。
END