Do you love me?
中途半端な関係だと、最近になってますますそう思う。友人ではない。相方でもないだろう。
恋人では・・・絶対ない。友人・相方以上、恋人未満といった所か。ほんまに中途半端やわぁ。
「原田ぁ?」
ネタ合わせ中。下林が、不思議そうにこっちを見ている。
「・・・ちょっとな、昨日の事・・・思い出してて」
ほんまは、そんな事ないけど。下林はぷっと、コーヒーを吹き出した。
「変態!!」
「何よそれ、昨日の事、思い出されたくないん?随分、気持ちよさそうやったけど」
昨日。遂に一線を越えた。
「・・・お前、ベッドの上でも赤面してんねんもん」
思わず、笑ってしまった。今も笑ってしまう。下林はまた顔を赤くして、拗ねてしまう。
「そう、拗ねんと。・・・嫌やった?昨日の」
俺としては、かなりよかった。元々相性がいいのかもしれないけど、思っていたより気持ち
よかった。下林も・・・嫌そうには見えんかったんやけどなぁ。嫌やったら、ショックやなぁ。
「嫌とか・・・ちゃうけど・・・」
ちゃうけど、何やねん。気になるやん、そう言われると。
「・・・恥ずかしいやん、そういうの」
・・・・・・ふ〜ん。
「そういうのって、どういうの?」
あ、困ってる。可愛い。
「・・・アホっ」
答えになってないよ。手首を掴む。顔を近づける。また顔を赤くして、暴れる下林。・・・あの、
誘ってるんですか?そういう反応されると、そう思ってまうんやけど?可愛すぎるもん。
「離せ、離して!」
残念でした、俺の方が図体でかいんです。
「何で?・・・何で離さなあかんの?」
くすくす笑ってしまう。下林はそれがまた恥ずかしかったのか、俺の手を振り解き、劇場か
ら逃げるように出て行った。・・・逃げられてもうたなぁ。面白かったんになぁ、下林の反応。
「・・・苛めたんなや、あんまり」
声の主はストリークの山田さん。
「苛めなんかしてませんよ、からかってるんです」
考えてみれば、昨日もこんな感じだった。恥ずかしがられるとね、こっちも燃えんねん。しゃ
あないやろ、お前かて女相手でそんなんされたら燃えるやろ?それと同じやで、結局の所。
「・・・山田さんやって、おもろいでしょ?吉本さんからかうの」
見ていれば、分かる。普段している行動で、セックスもどんなセックスをしているのか。求め
られれば素直に差し出す奴、相方を焦らして焦らして楽しむ奴。それを見るのは、楽しい。
「・・・まぁな。こう・・・恥ずかしがられると、無理にでもやらせたくなるというか・・・」
「そう。最初はそんなに、乗り気じゃなくても」
「やらせてまうねんなぁ・・・」
多分山田さんの方が意地悪やと思うけど、俺とこの人は似ている。相方はちょっと違うけど。
下林は結構最後まで嫌がるが、吉本さんはマゾヒストという性格ゆえか、簡単に従う。
「・・・同じやないですか。結局」
そこまで、強要するつもりはない。ただ、恥ずかしがる仕草がまた可愛くて。
「・・・嫌やけどなぁ、お前と同じなんて」
「・・・・・・うわー、酷。俺だって嫌ですよ、山田さんと同じなんて」
笑いながら言う。勿論、ほんまはそこまで嫌やない。
「・・・あれ、下林?」
山田さんが、楽屋の入り口を見ながら言う。火照っていた顔はすっかり、冷めてしまったよ
うだ。嗚呼、可愛かったんやけどなぁ。つかつか、こっちまで歩いてくる。山田さんは、便所に
行ってしまう。どうしようか迷っていると、下林が抱きついてきた。・・・あの〜、これ何?
「・・・どうしたん?」
全く、理解できませんが。
「・・・だって、追っかけてきてくれへんねんもん」
・・・うーわー。可愛いなぁもう。思わず抱きしめる。と、また身体を離される。顔を赤くして。
「こうして欲しかったんちゃうの?」
俺がそう言うと、また抱きついてくる。床に座って、かなり近くに抱き寄せる。
「ヤバイって、こんなん・・・!」
まぁな、普通の楽屋やったらな。
「大丈〜夫。今はあんま人おらんし、誰も気にせえへんよ」
そう宥めると、納得したのか、素直に甘えてくる。
「・・・なぁ、ほんまに俺の事、好きなん?」
・・・・・・はい?
「・・・何で?」
「やって、さっきも追っかけてきてくれへんし、・・・昨日やって何か意地悪するし・・・」
天然か?その発言は。めっっちゃ可愛いんですけど。
「・・・お前、それ言うてて恥ずかしくない?」
自分の言った言葉の恥ずかしさに気づいたらしく、何も言えなくなってしまう下林。
「可愛えなぁ、ほんまに」
男性恐怖症とか女性恐怖症とかあるけど、こいつの赤面症は何時になったら治るんやら。そ
れがまた可愛かったりするけど、・・・たまにしんどい。まぁ、気長に治してったるか。
END