two×友情か愛情か×gray



オフの日。俺は何時ものように宇治原に会おうと、電話をかけた。
 『現在電話に出ることが出来ません。御用の方は、ピーという発信音の後に・・・』
思わず、子機を床に投げつけた。『オフの日は何時も逢いたい』。そう言っているのは、何時も向こ
うなのに。俺は逢いたくてしょうがないのに。何か嫌。浮気してないかなぁ。
 「・・・宇治原ぁ」
暇。暇だ。そういえば、西野と最近、オフに遊んでない。ずーっと、宇治原といるから。
 『・・・はーい』
西野は、完全に今起きました、という声を出した。
 「・・・なぁ西野、今日、暇?」
本当は、宇治原の所に行きたい。でも、邪魔になるのは嫌だから。
 『・・・暇・・・と言っちゃあ暇ですけど?宇治原さんは?』
西野にこういう事を言われると、やっぱ俺、宇治原と何時も一緒、っていうイメージが強いんだと
思う。確かにそうで、宇治原がどう思っているかは知らないけど、俺はずっとそうしていたいと思
っている。恋愛とも違う、愛情も抱いていて、ずっと一緒に居たいっていうのは、その愛情で。
 「・・・何か用事あんねんて。さっきから留守電」
何回も電話したけど、返ってくるのは録音テープ。
 『・・・ふーん。で?遊び相手が、俺ですか?』
遊び相手。・・・になるんかな、やっぱ。
 「・・・・・・うん」
宇治原は、俺を束縛しない。『駄目』とかって叱るけど、それは俺を思っての事って、はっきり分か
ることばっかり。俺も宇治原を束縛しない。宇治原がしないなら、俺も同じ様に、しない。でも、だ
から浮気したくなる。宇治原が本気で俺の事好きって思ってくれてるんかな、って不安だから。

一時半。梅田で西野と待ち合わせ。
 「菅さ〜ん!」
見てると時々飽きてくる様な男前が、こっちに向かって手を振っている。おかげで、周りはざわつ
き、向こうに居るのがキングコングの西野、こっちに居るのがロザンの菅だと気付かれてしまう。
 「・・・大きな声出すから・・・」
俺と西野を囲み込む、人ごみをまき続け三十分。JR大阪駅周辺で、やっと落ち着いた。
 「・・・すんません、何か、久しぶりに遊ぶから・・・」
何か、恋人みたいな台詞。
 「・・・俺の暇つぶしなのに?」
 「・・・うわー。めっちゃ率直ですやん」
近くにあった、イタリア料理店に入った。周りはまたざわつき始める。・・・うるさい。俺が何時も、
オフの日に宇治原と一緒に居るからか、オフは家に居る、っていうのが普通になっていて、オフに
キャーキャーキャーキャー騒がれるのが、うるさくてたまらない。耳に入る雑音が、凄く嫌。
 「・・・菅さん?」
耳をふさぐ。西野が、不思議そうに見る。
 「・・・慣れてなくて。オフはずっと、家に居るから・・・」
公の場なので、『宇治原と』って事は言わないでおく。
 「・・・ラブラブですねぇ。オフに離れた事、無いんでしょ?」
朝飯は家で食べるけど、昼飯は宇治原が作ってくれて、買物して、夕飯も宇治原が作ってくれ
る・・・っていうのが、最近のオフのスタイル。電話もあまり出ないで、ほとんど二人しか話さない。
 「・・・だって・・・一緒にいたい、って電話来るから・・・」
普段もスキンシップはよくするが、オフは本当に何時もくっついている。お互いが対になってい
るように、俺と宇治原は身体をくっつけ合わせる。元々が一つであったように、身体を重ねる。
 「・・・見せ付けられた気分」
西野はそう、苦笑した。何か急に、西野が愛しい。可哀想に思える。同時に、優越感を感じる。
 「・・・見せ付けてるもん」
今頃宇治原、何してるかな。俺の事、少しでも考えててくれたら、嬉しいんだけど。ちょっと笑顔で、
幸せそうに笑って。無理かなぁ。そういう時にあのポーカーフェイス崩してくれたら、嬉しい。






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