five×本音×white



宇治原と西野の仲が、すこぶるよくない。原因は何となく分かる。
 「・・・宇治原・・・」
オフの日。何時ものように、宇治原とじゃれる。・・・楽しくない。宇治原は西野の前では眉間に皺が寄
って、嫌そうな顔をするが、俺の前では何時もの笑顔でいてくれる。・・・それは多分、作り笑顔
だから。俺は宇治原が好きで、迷惑をかけたくないと思う。宇治原にとって俺が重荷なら、泣きた
くなってしまう。だから、実は少し泣きそう。何て冷たい奴なんだと言われそうだが、俺にとって、
西野はどうでもいい。だって、何時までもグズグズしている、西野が悪いんだと思うから。
 「・・・菅ちゃん・・・」
西野が憎いくらい。お前がグズグズしてなくて、さっさと告白すれば、こんな風に、宇治原が我慢
せずに済んだ。大体、もういい年なんだから、自分の恋愛くらい、自分の力だけで何とかして欲
しい。正直言って迷惑だ。西野にはキツイ事かもしれないが、自分の悩みは自分で解決しろ。
 「・・・・・・俺、どうすればええんやろ・・・」
嗚呼、可哀想に。人の恋愛なんかで、悩まなくてもいいのに。
 「・・・宇治原・・・。・・・何も、考えんでええよ・・・」
宇治原は俺にぴったりとくっつき、胸に頭を埋める。俺はそんな宇治原の頭を、優しく撫でる。
 「・・・でも・・・」
宇治原の顔をあげさせて、キスをする。
 「・・・大体なぁ、西野がおかしいねん。さんざんグズグズグズグズ言って、あんな事・・・!」
むかつく。もう、全部吐き出してしまいたい。
 「・・・ええんよ。俺が悪いねん」
何でそんなに、優しいの?
 「・・・可笑しいもん!・・・宇治原は、何も悪くないのに。西野が言わんかったら・・・んっ・・・!」
思わず本音をぶちまけそうになるが、宇治原にキスをされ、何も言えなくなる。
 「・・・俺が、約束破ったから。・・・菅ちゃんこそ、何も気にしなくて、ええんよ?」
・・・優しい。全く、西野のワガママに、宇治原のつめの垢を煎じて飲ませてやりたい。何て優しいん
だろう。優しすぎて、少しヤキモチをやいてしまう。宇治原は身体を起こし、俺を抱きしめる。
 「・・・好きだよ」
優しい声。厭らしくない手つき。・・・俺も、好き。
 「・・・俺、物凄く、嫌な奴やなぁって思うねん」
宇治原が、妙に真剣な目つきで、そう言った。
 「・・・何で?」
こんなに優しくて、俺の事、愛してくれるのに?
 「・・・西野との、約束破ったし。それに・・・
それに?
 「・・・菅ちゃんと、Hしたくなってる」
・・・嗚呼、俺の好きな人。
 「・・・俺も」
 「菅ちゃん・・・!!」
床に押し倒される。宇治原とキスをする。ねっとりとした、ディープなキス。宇治原の身体がぐん
と近くなり、宇治原に服を弄られる。脱がしていいのに。・・・俺は、宇治原の為なら何でもするよ。
 「宇治原・・・」
そこに、ドアのベルが鳴った。宇治原はさっと身体を離し、ドアに向かう。・・・寂しい。宇治原のズ
ボンを掴む。宇治原は困ったような顔をして、俺の髪を撫でて、キスをする。手を掴み、離させる。
 『・・・宇治原さん』
ドアの前に居たのは、西野と梶原。・・・畜生、コンビで先輩に、迷惑かけやがって。人がせっかく宇
治原といい事しようと思っていたのに、中止させるなんて。嗚呼むかつく、・・・もう、出てけ。
 「・・・何か用か?・・・それに、よう分かったなぁ。俺がここにおるって」
俺が宇治原みたいに優しくなかったら、西野の顔を見た瞬間、追い出そうとするだろう。
 「・・・多分、ここかなって。中、入っていいですか?」
 「・・・ああ」
前日に宇治原が来て、朝方までたっぷりHして、昼ごろに起きて、買い物行って、飯食って、一緒に
お風呂入って、じゃれながら一緒に寝て・・・俺の考えていた、オフは一体どこにいった?






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