パブロフの犬


参った。こんなにべろべろに、石田が酔っ払うなんて。
 「・・・こら、逃げんな」
前、何かのインタビューで言ったが、石田は理性が吹っ飛ぶと、手がつけられない。
 「・・・んっ、ふぅ・・・」
酒豪だから、大丈夫だろうと思ったのが馬鹿だった。何時もより、ねっとりとしたキス。息が
苦しい。離そうとするが、更に強く唇をくっつけられ、足を掴まれる。舌が、口の中に入って。
 「んううぅぅ・・・んん、んんっっ・・・」
エロい・・・ていうか、こんなに強引やったか、こいつ!?酔っ払っただけで、こんなに・・・?
 「・・・は・・・ぁ、はぁ、はぁ・・・」
やっと、唇が離される。
 「・・・逃げた、あかんよ」
逃げられる訳、無いやん。上のシャツを脱がされる。次はTシャツ。
 「・・・石田?んう、んっ、んんっっ・・・」
石田はまた俺にキスをして、パンツのジーンズを開けてトランクスと一緒に、脱がした。
 「・・・石田?」
石田は俺から身体を離して、ジーンズとトランクスを自ら脱いで、ペニスにコンドームを。
 「・・・ちょっと待って、まだ
俺の身体に、自分の身体を挿入する。
 あああぁぁぁぁっっ!!」
痛い。血・・・出てるかも。死にそう。股、裂けそう・・・。
 「・・・石田のアホっ!痛いやん!!」
酔っ払ってるからって、愛撫もされてないのに、こんな事・・・。殴りたいが、力が入らない。
 「・・・ふーん、嫌なん?」
 「ええ訳無いやろ!愛撫もしてへんのに、いきなり・・・」
最初は、愛撫もした上でローションも塗ったのに、めちゃくちゃ痛かった。だんだん慣れて
きて痛くなくなり、気持ちよく感じるようになった。でも、愛撫なしの挿入は絶対に無理。
 「・・・じゃあ、何でこんなに締め付けてんの?」
・・・石田の口から、こんな言葉が出るとは。何時も好き好き言うてて、二人でいちゃいちゃし
ながらHな事して、って言うのが普通やったんに。やっぱり、酔って理性が飛んでるから?
 「文句ないの?・・・好きにするよ?」
何も言えない。言わないで居ると、石田は身体を前後に動かし始めた。
 「あっ、あぁっ、・・・うっ、あっ、ああぁぁっっ、・・・あっ、あっ・・・!」
涙が、ぽろぽろ流れていく。鼻水も出ているかもしれない。嫌なはずなのに、身体はぐいぐい
石田の身体を、奥へ奥へと締め付けて欲しがる。アナルの痛みが、重く、鈍いものになる。
 「あっ、うぅっっ、あかんっ、駄目っ、死ぬっ、・・・ぁ、あっ・・・!」
ほんまは、嫌やねん。でも、・・・身体が止まらない。
 「・・・はぁっ、はぁっ・・・」
石田のペニスを、全部飲んでしまった体。
 「・・・やらしいな、死ぬ言うといてこんなんして・・・。ほんまは、嬉しいんやろ?」
嬉しい訳ない。
 「・・・ぁっ、はぁっ、駄目っ、駄目っ、んぁあぁっ、あぁっっ・・・!」
石田は俺の太ももを掴んで、上へぐっと引き上げる。ひじをついて、俺を上から見上げる様
になる。そのまま、抜き差しされる。ペニスはすっかり屹立し、身体も石田の身体の感触に慣
れてくる。最初は痛くてしょうがなかったのに、今は何とも言えない快感に変わっている。
 「嫌、ちゃうよなぁ?・・・ここ、こんなんなってるし」
ペニスを掴まれる。
 「・・・こうされると、たまらんのやろ?」
下から上へ、扱かれる。声が、自然に溢れていく。目を逸らす。
 「きちんと見ぃ。・・・自分の、やらしくなってる処。せやないと、こういう事するよ?」
ペニスの先をきゅっと指で抑えられ、扱かれる。
 「分かった、見る、見るからっ・・・!」
これ以上我慢を強いられたら、身体が可笑しくなる。
 「・・・それでええよ。・・・もう、痛くないやろ?これから先は、ずっと気持ちいいから」
石田はそう言うと、ペニスの先を抑えていた指を外し、また、ゆっくり、早く扱いていく。『恥
ずかしい』という気持ちと、『気持ちいい、どうにでもして』という気持ちが混ざり合って
いる。確かにこれから先は、気持ちいいだけかもしれんけど・・・でも、やっぱり恥ずかしい。
 「・・・あっ、ああっっ、もっ、出るっっ・・・!」
 「・・・うん、出してええよ」
絶頂に達する。身体が痙攣する。石田は嬉しそうに、こっちを見るだけ。・・・殴ってやりたい
が、身体が動かない。石田はゆっくり身体を抜いて、俺を自分の腹の上に乗せる様にした。
 「・・・石、田・・・」
 「・・・今度は、上乗って逝こな?」

腰の痛みで、目が覚めた。昨日はあれから、騎乗位、後背位で犯された。石田はその後倒れる
様に寝て、二時間は目が覚めなかった。その後二人で風呂に入ったが、石田は何も覚えてな
かった。羞恥心が限界ぎりぎりまでいっていた為、石田に殴りかかりたかったが、止めた。
 「・・・ん、井上ぇ?・・・もう起きたん?」
石田は、俺に寄りかかる様に抱きつく。
 「・・・腰が痛いん。昨日散々、あんな事・・・」
恥ずかしかった。今も考えるだけで、頭が羞恥心で一杯になる。気持ち悪くは・・・無かったの
かも、しれない。精神的には本当に限界までいっていたが、肉体的には快楽しかなかった。精
神的に傷つけられれば傷つけられるほど、身体は石田を欲しがった。・・・自分が嫌だった。
 「・・・ふーん。・・・気持ち悪かった?」
『・・・あっ、あぁっっ、石田ぁっ、石田ぁぁっっ・・・!・・・もう嫌やっ、・・・止めてっっ・・・!』。
本当に、本当に嫌やったのに。アナルは、素直に石田の異物を欲しがって、締め付けていた。
 「・・・赤くなった。・・・可愛い〜」
 「・・・うるさいっ」
もう、石田に酒はあんまり飲ませないでおこう。あんなに羞恥心を刺激されるセックスなん
て、もうしたくない。昨日のは夢。・・・あまりにもリアルだから、夢にもならないか?思い出
か。思い出にしておくか。思い出したくも無い夢だけど、まぁ、よかったからよしとするか。



END