恋愛話。X


生クリームみたいだと、思った。今日は何だかのんびりしている。
仕事は無い、暇なので掃除でもしようか、そうのろのろ考えていた時。矢部が、俺のマンションのドアの
スイッチを押した。その柔らかい声は、いっつも俺の心を、半熟の卵みたいに、ぐちゃぐちゃにする。
矢部は俺がドアを開けてやると、「待ってました」と言わんばかりに俺を抱き上げ、服の中に手を
突っ込み、・・・俺を抱いた。矢部は二時間程寝て、ジーンズだけを履いた。俺は素っ裸で、矢部は「お前も履け〜」と
からかいつつ俺にジーンズを履かせた。今は、俺の寝室のベットの上。
矢部と何をする事もなく、ただベットに寝そべり、・・・そっと普通の恋人みたいに手をつなぎながら、
天井を見上げていた。矢部の方を見る、矢部はぼ―――っと上を見つづけている。
 「・・・何かなぁ」
まったりとした時間の中、言葉を発したのは、矢部だった。
 「ん〜?」
岡村さんがくるくるとベットの上を回ってくる、俺はそんな岡村さんを抱き締めた。
 「俺等って・・・ほんまにホモ?」
岡村さんが吹き出す、それにつられて俺も笑い出してしまう。
キスをするにしても、セックスをするにしても、行為はどうなのか知らないが、・・・感情は全部、
相方っていう関係を越した事なんてない。行為だけは、「恋愛」なんて甘ったるい部分に、入るんだろうけど。
・・・でも、これって・・・恋愛感情からなんやろうか?
 「・・・も〜、お前も唐突やなぁ」
 「せやかて、何か可笑しゅうない?俺、ホモってもっと、ねちょねちょして、気持ち悪ぅ思っとった。
ほんっまに俺等ってホモなんかなぁって、不思議やなぁってな」
二人して笑うのは、結構珍しい事で。矢部と俺は笑い終った後、「疲れた〜」なんて理由にもならない理由を作って、
二人して、マンションの前のコンビニに行った。とりあえず、ビールとおつまみを適当に選び、煙草を取り、
・・・グラビアの巨乳に惹かれて、手に取ってしまう。矢部は何処やろ?ん?・・・ビデオテープ?
ヘアワックス?剃刀?・・・いや違う。もっと下・・・コンドーム。
そう、矢部が何気なく見ていたのは、溢れそうなくらいに積まれたゴムだった。
 「・・・ったぁ!」
こいつがする時、何気なく付けていたのは知っていたものの、こんなにストレートに見られると・・・しかも俺等何も変装
とかしてないから、コンビで見てるってバレたら、何かしらマスコミに叩かれるだろう。
 「お前も、少しは世間の眼ぇとか気にせぇよ!コンドームを見てたなんて、知れたら・・・」
 「『ナイナイ岡村、熱愛発覚!』、『相方に、避妊用のコンドームを薦めて貰う?!』?
はは、こんなん、いじりようがないっちゅーねん。・・・ったぁ!何で殴るんよ〜?!!」
帰り道。岡村さんは拗ねて、俺に見向きもしない。俺は甘い猫なで声で、岡村さんのご機嫌を伺う。
岡村さんは頬を膨らませながら、笑った。岡村さんは可愛い。本人は全く自分の可愛らしさに気付いてない、
それもまたたまらないのだけれど。だから、いつもこの人を、独り占めしたくなる。
 「矢部?どーかしたん?」
 「・・・何でも無いよ」
岡村さんを抱き上げて、軽く頬にキスをした。相方は気持ち悪がって、さっさと家へと走っていってしまう。
俺は溜息をつきながら、相方の後をゆっくりと歩いていった。可愛い相方。明日はまた、朝から夜中まで仕事。
ああ、しんど。何かこうくると、仕事やめたくなってくるわ・・・
 「矢〜部っvv」
こいつが居るから、止められようにも止められないけど。






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