SKIPPING BEAT
「・・・あ〜・・・」
酔っ払った。床に落ちるように倒れる。灯りがつく。和田が、俺を見下ろす。
「・・・大丈夫?」
「・・・うん」
座り込んで、荷物を下ろす。俺も、起き上がった。荷物を下ろして、立ち上がる。コートを脱い
で、適当に置いた。と、和田が抱きついてきた。・・・あの〜、ちょっと暑苦しいんですが。
「・・・離して」
嬉しくなくはないけど・・・コートについた雨粒が、冷たい。和田は渋々、身体を離した。
「・・・・・・」
コートを脱いだ和田。今度は俺が抱きついた。
「・・・今なら濡れないから」
やっぱ背中、でかいなぁ。背ぇ高いもんなぁ、俺より。
「・・・あ」
押し倒される。
「・・・ええよな?」
そう聞いておきながら、トレーナーを脱がしに掛かるのはどうだろう。
「んっ・・・ふ・・・」
こんなマゾの愛撫に感じて声を出すのも本当は少し嫌なんだが、気持ちがいい事はいい。和
田も俺が声を出してやらないと不安に感じるらしいので、素直に我慢せずに出してやる。
「ぁ、ん・・・は、ぁ・・・」
抵抗はしない。酔いが回っていて動くのも面倒くさいし、抵抗した所でされる事は一緒だし。
それに、和田がセックスを止めて、しないのも嫌だと思う。あの気持ちよさは、味わいたい。
「あっ、んっ・・・・・・汚いよ?そこ」
和田が舌を這わせているのは、へそ。洗って無い訳じゃないが、それでも汚いとは思うから。
「・・・汚くてもええよ。お前のやから」
と言って、また丹念に舐め始めた。・・・確かに、Gスポットという奴なのか、・・・気持ちいい。
「はぁ、あっ・・・んぁっ、ん・・・!」
しつこく舐められ、余裕が無くなっていく。
「・・・演技、できへんくなったやろ?」
・・・くそ、マゾのくせに。
「ぁっ・・・」
・・・でも、その快感には耐えられない。
「・・・大分、ええ顔になってきたな・・・」
今度はこっち、と言わんばかりに、和田は口でジーンズのジッパーを下ろした。今度はフェ
ラか。舐められるのは嫌いじゃないけど、このままの格好だと、俺が下手の様で嫌だから。
「・・・町田?」
起き上がり、和田のシャツのボタンを外す。下の方にも、・・・妙な膨らみが。
「・・・お前、前からしてみたいって言うてたやん」
俺も、してみたかったんだが。
「?・・・何を?」
「・・・俺がお前の顔に乗んの」
体力的にキツそうなので嫌だったんだが、こんなマグロみたいにされたままで逝くのも嫌。
「・・・ええの?」
シャツを手首の方まで脱がし、縛って拘束した。
「・・・おーい。動かせへんのやけど、これ?」
「・・・苛められんの、好きやろ?」
何も言えなくなる和田。・・・こういう瞬間に凄く楽しいと思ってしまう俺は、やっぱりサデ
ィストなんだろうなぁ。和田に仰向けに寝るように言って、立ち上がってジーンズを脱ぐ。
「・・・勃ってる」
「・・・そっちの方がええやろ?」
トランクスも脱ぐ。和田は手持ち無沙汰な様で、じっと俺を見上げている。・・・嗚呼、いい気
分だ。本当は俺が攻め側に回る方がいいんだろうけど、・・・どうも攻める気になれなくて。
「・・・・・・」
和田の腹に跨り、ボタンを外し、ジッパーを下ろしてやる。・・・随分、素直に興奮してるわぁ。
「ちょ、おい、何すんねん!」
ジーンズとトランクスを脱がして、足首も縛る。
「・・・ええの。お前は、フェラしてれば」
・・・また、何も言えないらしい。そう、大人しくしてればそれでええねん。
「・・・おー、凄い眺め」
立ち上がり、跨ったまま顔の方へと歩いた。・・・ま〜、凄い眺めやろなぁ。アナルもペニスも、
皆丸見えやし。勃起、酷くなったなぁ。・・・こうして、和田を見下げているのも、・・・感じる。
「・・・しゃがむ?しんどいやろ」
・・・人がいいのか、お節介なのか。
「・・・うわ、顔についた」
「・・・うっさい」
さっきまで、嬉しそうに犬みたいにペロペロ舐めてたくせに。
「・・・腰、・・・下ろしてええよ」
和田の顔に、座り込む。
「・・・あっ・・・」
ぴちゃ、っとペニスに舌が絡みつく。少し冷たく柔らかい感触が、快感に繋がる。
「あっ、はっ、・・・んっ、ぁっ・・・!」
咥え込まれ、付け根から先端の方まで、丹念に舐められていく。
「は、はぁ、・・・うっ、あっ、・・・ぁ、あぁっ・・・!」
我慢できずに、しっかりと座ってしまう。思わず身体を離す。
「・・・大丈夫?」
・・・マゾだとは分かっているが、快感には勝てない。
「うん。・・・それより・・・声聞いてるだけで、・・・感じてもうて・・・」
確かに、和田の勃起は酷くなっていた。
「・・・俺のも、気持ちよくしてくれへん?・・・手でええから」
・・・・・・。
「・・・ええよ」
俺は後ろを向いて、再び顔の下に座り込んだ。
「うぁっ、あ、・・・和田ぁっ、ん・・・ぁっ・・・!」
そんな、レロレロ舐められたら。和田の舌の感触、冷たいのは唾液か。・・・和田のペニスを、掴
んでやる。ぴくん、と和田の身体がひくつく。感じているのか。付け根から先端まで、ゆっく
りと指を這わせる。酷く熱を帯びた、和田のペニス。・・・奉仕をしてもらってる側としては、
そのご褒美として舐めてやりたいが、どうも口が届かない。指テクもないし。オナニーして
る時も、なかなか上手い事いかへん。まぁ、こいつの場合、もどかしくされるのもいいのか。
「はっ、ぁ・・・あっ!・・・んっ、あっ、ん・・・!」
俺の口の中にも、唾液が充満していく。ご褒美は、もちろん止めない。全体的に擦りながら、
亀頭をゆっくり撫でていく。和田の舌の動きが、時々大雑把になる。感じているんだろう。
「はっ、はっ、・・・和田ぁ、ぁっ、あっ・・・!」
腰を、動かしてしまう。たまらない。・・・思わず少し仰け反ってしまう。が、このままご褒美を
止めるのも、和田が可哀想だ。何とか持ち直す。それにしても、気持ちいい。・・・逝きそう。
「・・・あぁっ、あ、ああぁぁっ、・・・和田っ、和田ぁあ・・・!」
和田の方もたまらないらしく、出てくる精液が、濃くなっていく。・・・可愛い。
「・・・あ、はぁ、はぁっ、・・・出るっ、出るうぅっ・・・!!」
そのまま、和田の口内に射精した。和田も、射精している。
「・・・はぁー、はぁー・・・町田?」
身体を起こし、和田のペニスを咥えて、綺麗にしてやった。和田はそれが思いがけない事だ
ったらしく、呆然と俺を見ている。しょうがないので、口を拭き、和田の頬にキスしてやる。
「・・・ええの?」
和田の口も汚れてしまった。ティッシュをもう二枚取り、拭いてやる。
「今日は特別。一杯、奉仕してもらったから、ご褒美」
半開きの口。可愛い。咥える様に、ちゃぷっと和田にキスしてやる。抱きついた。抱きしめら
れる。こういう、恋人みたいな事もする。和田が、転がるように俺を床に押し倒した。キスを
する。キスをする。和田は犬みたいに、俺にじゃれついてくる。頭を、くしゃくしゃにする。
「・・・風呂、入ろか」
セックスしている時は、確実に恋愛感情のみになる。その時を、嬉しいと思う。
「・・・うん」
和田の前髪をかきあげ、でこにキスをしてやる。
「・・・また、しような」
「・・・うん」
きっと、器用な恋愛じゃない。乱暴な、乱雑な音みたいな恋愛。たまに急いだり、ゆっくりい
ってみたりする。途切れる事もあるだろう。でもいい。・・・この感情が、変わる時まで、
「・・・ん」
・・・一緒にいよう。
END