小豆色の丸襟、・・・明らかに体育服だ。ブルマか。畜生、このロリコン、変態。殴ってやりたい。大上
はそう文句を言う度、福田の事を出しそうで面倒臭い。福田、徳井、ごめんな、こんな事に使って。
福田は・・・どんな気持ちで相方の為に女装をしたんだろう?最初は嫌だっただろう、それは当た
り前だ。でも、徳井に懇願されて、・・・着てしまって。止まらなくなって、やってしまった。でも、徳
井ならええよなぁ・・・男同士でそんな話?なんてノーマル趣味の奴等は言うかもしれないけど、
男同士でも、相手が男前だと気持ちいい。徳井、西野、井上・・・吉本の若手は男前が多い。俺もそん
なに不細工とは言われないが、徳井や西野には敵わない。でも、徳井にしろ西野にしろ、それぞれ
にすでに相手がおり、二人とも相方に相当入れ込んでいる。・・・大上は・・・まぁ顔はいい。でもなぁ、
あんな優しそうな顔で、だらしないし、サドやし、変態やし・・・俺ぐらいちゃう?我慢できんの。
「・・・ああ、下はノーパンな」
思い出したように、言う。・・・ほんっまにどうしようも無いくらい、変態やなぁ。
「・・・着たよ」
大上は煙草を灰皿に擦り付けると、風呂場を出た俺を、半ば強引に、俺を抱えて、歩いていく。いわ
ゆる、お姫様抱っこという形で。お姫様なぁ・・・ロザンの菅とかやったら、可愛いやろなぁ。菅がブ
ルマ。宇治原に絶対、喰われるな。でも、俺がブルマって・・・気持ち悪いだけちゃうんか?
「・・・可愛いなぁ・・・」
大上は俺の両足を掴み、開かせ、その間に割り込む。両手に手錠をかけ、ベットの横の、ローション
を取る。唇や首に吸い付くようにキスをしながら、シャツを捲り上げ、ローションまみれの手で、
俺の胸を、ゆっくりと揉む。そのリズムに合わせるように、甘い声が口から毀れ出てしまう。
「・・・ぅぅんっ、んっ、はぁっ、・・・嫌っ、嫌ぁぁぁっ・・・!」
大上の突起物が、丁度、俺の陰唇に触れる。M字型に開いた足の間に、しっかりと大上の身体が入
り込み、抵抗できない。指で、乳首を愛撫される。勃たされ、潰される。大上の手の中で遊ばれてい
るようで、腹が立つ。それに感じてしまっているのは本当だけど、・・・何かむかつく。大上に遊ばれ
ているっていうのが、一番むかつく。一番好きだから、一番むかつく。大上は嬉しそうに、俺の快感
に溺れていく顔と、ひくひく震える身体と、ローションで濡れた、シャツをじっと見ている。
「可愛いなぁ・・・」
厭らしい顔。荒い息を吐き、大上の視線が、下へと移る。・・・ゴム生地の上から、くっきりと突起物
の形が見える。精液で、白く濁り出す小豆色。股間に食い込むブルマ。大上はたまらないと言った
表情で俺の足を上げ、広げる。ブルマが、股間に入り込んでしまう。陰唇に生地が寄り、痒い様な快
感が、足の間にねとつく。ブルマの上から、陰唇を探ろうとする大上の指の感触がたまらなくて、
甘い声が出てしまう。悔しさに、また涙が出る。ぐりぐりと陰唇を擦られ、快感が身体を襲う。
「あっ、はぁっ、・・・嫌やっ、ぁ・・・!」
そのまま激しく突かれ、陰唇は更に硬直する。
「・・・もう、上からじゃ我慢できんやろ?」
大上はそう言うと、ブルマを穿かせたまま、無理やり右手を突っ込み、直接陰唇に指を挿入する。
自分の出した精液ですっかり濡れていた陰唇は、ものの見事に大上の指を受け入れてしまう。
「すご・・・もうびちょびちょやん。そんなに我慢してたん?」
何とか抵抗しようとするが、左手で胸を揉まれ、右手で突起物を扱かれ、身体に力が入らない。写
真を撮られないだけマシ、そう思ってしまう自分が怖くて嫌だ。そう思ったら、福田が可哀想だと
言っているのと同じ事になるから。福田に言わせれば、俺も自分も一緒だと言うだろう。確かにそ
れは事実で、俺はただ単に、大上にこういう姿を見られるという羞恥心をごまかしているだけ。
「・・・大上ぇっ、・・・あっ、あぁ、・・・はぁ・・・!」
身体は素直に愛撫に仰け反り、頭は混乱していく。
「・・・ユウキ・・・」
ペニスのピストン運動を想定した、指の動きが止まる。・・・ギラギラして、血走った目つき。
「・・・もう、我慢できへん・・・」
大上はジーンズのジッパーを下ろすと、ブルマを寄せて、陰唇にペニスを挿入した。
「ああぁっ、・・・はぁっ、大上っ、・・・大上ぇぇっ・・・!」
すっかり濡れた陰唇は、何の抵抗も無く、大上の身体を受け入れてしまう。・・・足を広げられ、上に
上げられる。・・・足が痺れて、硬直してしまう。大上は酷く興奮しているようで、挿入した途端、す
ぐにピストン運動を始めた。奥へ奥へと入っていく、大上の身体。気持ちええ・・・こんな事されて
普通に気持ちええって思って、もっと苛めて欲しいって思ってる俺は、やっぱマゾヒストなんや
ろなぁ。・・・大上のペニスが、全部入ってしまう。腕を抑えつけていた手を止め、俺の胸を掴む。
「・・・あ・・・うわっ、そんなっ・・・はぁっ、あぁ・・・!」
激しく胸を揉まれ、身体を抜き差しされて。大上はもうストップが効かない様で、酷く早く呼吸し
ながら、腰を振る。俺も、もう止まらないけど。大上は、ねちねちどういう風に気持ちいいのか、聞
いてこない所が好きだ。お互いに興奮して、絶頂を味わいたくて、腰を振り出す。大上は身体を起
こし、俺の足を掴み、下半身だけ高くして、また胸に手を伸ばす。肘をつき、腰を振る大上。胸を揉
まれ、身体を抜き差しされ、先刻より近くに、大上の身体を感じる。最初は、眼をそらしたくなる程
嫌だった。今はもう、服装にどうとかこうとか言う気は無い。抵抗する気も無い。気持ちいい、もっ
と、もっと気持ちよくなりたい。もっと汚して欲しい、もっと、もっと大上の身体が欲しい。
「・・・ユウキっ・・・!」
「はぁ、・・・もう逝くっ、あぁっ、・・・あああぁぁっっ・・・・・・!!」
・・・ホテルのロビーの兄ちゃんの顔が、頭に浮かんだ。・・・何であんたやねん。
「・・・はぁー、・・・はぁー、はぁー・・・」
毎回こうだ。大体精液なんてもんは多く出て、その後にちょろちょろ出るもんなんだが、大上は全
部出す。やった後は大抵、風呂で洗い流してくれる為、腹は痛くならない。俺もプライドの高い方
なので、相当興奮している時でないと、腹出しや顔出しはNG。どーせやるなら、多少翌日に腹を
下す事になっても、中出しでいい。大上は全部出すと、身体を抜き、手を胸から離し、そのまま俺の
上に倒れ込んだ。・・・重。げしげし腹を蹴るが、大上はここぞとばかりに抱きついてくる。・・・しょ
うがないから、抱きしめられてやる。大上の嫌な所と言えば、こういう甘えたがる所。さすがにセ
ックスをした後、何もされないのは嫌だけど、・・・俺と大上の体重、体型の違いを考えてくれ。
「・・・大上―・・・」
重い。重い。重い。・・・離れてくれー。
「・・・よし!」
何がよしや。・・・大上は立ち上がり、ほぼ裸の格好でカバンを弄り、携帯を取り出した。
「写真撮ろう写真!!」
・・・阿呆。
「・・・っっぜっったい嫌や!」
・・・福田の事を思い出す。・・・あかんわ、俺、もうチュートリアルの二人の事、まともに見られへん。
大上は逃げようとする俺を捕まえようと、俺の手首を掴む。携帯を取り、むりやりカメラを向け
る。・・・誰が撮られるか。俺はカメラの映らない死角に逃げる、大上はカメラを動かす。しかし俺も
そのまま引き下がらない。逃げる。追いかける。逃げる。追いかける。逃げる。・・・大上が倒れる。
「・・・何であかんのよー・・・」
福田は可愛い。もし俺が徳井なら、徳井より早く福田を喰っていただろう。・・・でもなぁ。俺なんか
と撮って、何が嬉しいねん。そらな、可愛いとか好きやとか言われんのは嫌いとちゃうけど、何か
あかんねん。・・・周りの芸人に見せつけて、心の底では馬鹿にされてる様な大上を見るのが。
「・・・あかんもんはあかんの」
なんちゅー台詞やろ。・・・でも、ほんまに嫌やねん。大体、芸人は可愛い子が多すぎる。特に若手。菅、
梶原、須知、福田、高井・・・普通、芸人なんてもんは「ちょっと不細工」っていうのが妥当じゃないの
か?・・・大上は俺の事を「可愛い」と言う。周りの芸人も、皆口をそろえて。でも、俺は自分の顔を見
て、自分が可愛いとは思えない。俺より素直で可愛い奴が、周りに大勢居るからだろう。・・・可愛い
って言われるのは決して嫌じゃない、ただ、周りに引け目を感じるのが、嫌でたまらないだけ。
「・・・なぁ、撮ろ。・・・何が嫌なん?・・・皆に見せるから?」
・・・本当に、エスパーみたいに当ててみせる。それにしても・・・大上は俺の何処が好きなんだろう。
全部とかって言うんだろうな、こいつだったら。・・・そこが、好きだったりするんだけど。
「・・・他の奴には見せんから。・・・なぁ、撮ろ?」
・・・こいつはきっと、ずっと俺を好きで居てくれる。でももう・・・
「ユウキ?何で・・・泣いてるん?」
おどおどした口調の大上。
「・・・やって・・・絶対可笑しいもん!俺が・・・可愛いとか・・・撮りたい、とか・・・」
嗚呼、恥ずかしい。何てダサいんだろう。・・・もう嫌や。恥ずい。
「・・・其処が可愛えんよ。たまらなく。誰に何て言われてもええ、・・・俺は、お前が好きなん」
・・・頬にキス。まるでメロドラマ。格別にダサいメロドラマ。・・・多分俺と大上は、そんな愛の言葉
しか囁けない。周りは格好のいい愛の言葉を囁いたとしても、俺達は恥ずかしくなるような、甘い
言葉しか囁けない。でも、ダサいならダサいなりに、愛し方だってしっかりあるはずだ。俺は大上
が好き、大上は俺が好き、それで十分じゃないか。SMが好きだ。どっちも変態だ。・・・幾ら飾って
も其処が変わらないなら、・・・俺達は率直な言葉しか言わない。そうして、好きになっていく。
「・・・よぉ〜し撮るでぇ〜!・・・ハイ、チーズ!」
・・・しっかし・・・今時「ハイチーズ」て・・・三十路が「ハイチーズ」て・・・まぁええか・・・
END