it sounds like...
関係者以外立ち入り禁止の、クローク。運良く誰もおらず、かなり静か。
「ふ――――――・・・」
この前やってから、約三ヶ月。・・・茂雄、元気にしてるやろか?一番心配なのは、八木。八木は
長い間、茂雄が好きらしい。俺は東京に行ってもうたから、寂しくなった茂雄が、八木に好き
だと言われて、そのまま八木の方へフラフラ行ってしまうのも、無理はないと思う。
『・・・嫌や――――――っっ!!』
・・・五月蝿いなぁ。全く何やねん、人が静かに物思いにふけってる時に・・・。
「藤本さーんっっ!かくまって下さいっ!!」
ライセンスの井本が走ってきて、さっと俺の後ろに隠れる。
「・・・・・・」
荒い息を吐きながら、藤原が走ってきた。その目はきつく、井本を睨みつけている。
「・・・どーしてん?痴話喧嘩か?」
全く・・・困ったもんだ。俺もそうやから文句は言われへんけど、ここまで何組も何組もくっ
つくと・・・呆れてまうわ。先輩はよう知らんけど、後輩、同期にはめっちゃ多かったりする。
「・・・・・・そんな簡単なもんとちゃいますっ」
井本は、少し目に涙を浮かべている。藤原は、血走った目ではぁはぁ言っている。
「・・・どうでもええから、言うてみぃ?何があってん?」
井本が、口を開いた。
「・・・藤原と、今日のネタの打ち合わせをしてたんです」
ネタ・・・なぁ。・・・大阪に残っていたら、茂雄とコントをする事もできたんやろなぁ。
「・・・最初は、普通やったんです。やけど、突然藤原が襲ってきてっ・・・」
・・・痴話喧嘩や。もー、ええかげんに・・・
「・・・フェラしてくれって・・・」
うわー。痛っっ。
「お前なぁ・・・」
「やって・・・皆、やってもらってるんですよ?・・・僕だけですもん、やってもらってへんの」
俺も・・・やってもらってるけど。せやけどなぁ・・・。
「井本は、やりたくないんやろ?」
「当たり前です」
・・・まぁ、別によかったら抵抗せえへんわなぁ。
「何やねん、やってる時は、あんなによさそうに喘いでるくせに・・・」
・・・やから、それはな・・・
「関係ないやんか、そんなん!」
・・・そうそう。そやで。
「・・・やったら何やねん!俺の事、嫌いなんか!」
井本が、黙り込む。
「嫌い・・・いう訳ちゃうけど・・・。とにかく、嫌なもんは嫌なん!」
何か・・・普段凄い事やりすぎなんかなぁ、フェラが嫌やとかええとかでここまで言い合って
るん、めっちゃ可愛く見えてくんねんけど・・・。俺の場合、向こうからしてくれたけどなぁ。
「何か、汚そうやし・・・
「やったらシャワー浴びるわ!綺麗なんやったらええんやろ!?」
いや、お前、シャワー浴びたら他の事もするやろ。井本、また黙ってしもたしなぁ・・・。
「俺がお前の舐めたら、あんなに気持ちよさそうにしてるくせに・・・!」
・・・わー。聞きたくない、もう・・・。
「乗れって言うたら、そのまま俺の顔にも乗ったやんか、お前!」
・・・意外とノリええねんなぁ、井本。・・・・・・井本?・・・本気で・・・泣いてる?
「この前かて、ライブ前にやってる時に・・・
「藤原!・・・止めたれ、もう。井本、泣いてもうてるやん」
藤原が、すっと黙り込んだ。井本は、うるうるした目で下をじっと見ている。そんな目で見た
りするから、フェラして欲しいって我慢できんくなるんやで。・・・言うてもしゃあないか。
「・・・井本・・・」
井本、綺麗やなぁ。茂雄、ノリノリでやっとるけどなぁ。・・・ま、嫌味にもなるけど。
「・・・藤本さんの前で、そんな事・・・」
・・・井本、ごめん。もっと凄い事、やってもうてるわ。
「・・・ごめん、井本・・・」
ああ、もう許してもうてる目や。・・・まぁ、ええかぁ。
「・・・藤原。ものごっつい変な質問なんやけど、井本の何処がたまらんのよ?」
井本が、びくっと反応する。
「そうですねぇ・・・身体の相性もええんですけど、口の形が・・・」
・・・あー。
「あの口で咥えさせて、奥まで入れさせて、涙目で上目遣いで見られたらって・・・」
・・・分からんでもないけどなぁ。
「お前、それ想像して抜いてるやろ?」
「・・・・・・」
「・・・正直に言うてええで」
「・・・・・・はい」
まぁ、そうやんなぁ。
「はい井本ぉ、逃げない逃げない」
逃げようとする井本を、捕まえて抱きかかえる。そう、わんわん泣くなや。
「・・・お前は嫌やろうけど、やっぱして欲しいんよ。お前が好きで、たまらんから」
お、大人しくなったな。
「・・・お前かて、やらしい事して欲しいから、気持ちよう感じるんやろ?」
別に、悪い事とちゃうよ。素直でええ事やん。
「そういう事、認めたろうな?」
・・・井本が、こくりと頷いた。
「・・・藤原。お前もお前や、そう急がんの。ゆっくり、慣れてったらそれでええやん」
俺と茂雄かて、時間はかかったんよ?
「・・・・・・はい」
「よし!お前等、仲よう帰れ!」
藤原がすっと頭をさげて、井本の手を握り、帰って行く。
「・・・・・・かっこええなぁ、お前」
何時から見ていたのか、原西が声をかけてきた。
「まぁな」
・・・あー、正直自分の事だけでも心配やのに、後輩の事まで・・・。
「・・・あ」
・・・あかん。藤原に身体挿入されて気持ちよさそうに喘いでる井本の姿、浮かんでもうた。
「何?」
「ん・・・いや、何でもない」
茂雄、ごめん。一番好きやのは、お前やから。誤解せんといて、な?
「しっかしやなぁ・・・井本やったら、藤原殴って逃げれるんちゃうの?」
原西が言う。
「・・・・・・油断してたか、何かそっち系の事でも、期待しとったんやろ・・・」
END