せんせーい、おやつはバナナに入るんですか?
「ん・・・ふ、ん・・・んんっ・・・」
ライブの、打ち合わせ中。・・・やけど、打ち合わせなんてしてません。キスしてます。ええ。
「・・・んっ・・・・・・はっ、んっ・・・んっ・・・」
まだすんのぉ?・・・もう、息荒いんやけど・・・。まぁ、ええか・・・・・・。
「んっ、んんっっ・・・!?・・・んっ、ん・・・」
下、固いねんけど・・・!?ここ、劇場やで、おい・・・!?・・・そんな、腰抱き寄せんといて
よ、・・・目ぇギラつかせるとか、・・・おい、嘘やろ、もう、あかんておい、・・・そんなん、・・・あか
んっ!!ここで、止めな、・・・あかん、・・・のに・・・。・・・あかん、あかん、・・・した、あかん・・・。
『・・・おーい、井上?』
目を開ける。川島のドアップ。
「うわぁぁあぁぁぁぁぁあぁっ!!?」
思わず後ずさりする。・・・はー、怖かったぁ。
「何や何や、失礼やなぁ。せっかく、起こしたろお思って、起こしたんに」
隣に、田村。劇場の楽屋の、畳の上。・・・何や、さっきの夢かぁ。
「・・・すまん・・・」
やって怖いんやもん、川島のドアップ。開眼しとったし。
「・・・せやけどなぁ。・・・井上、おったてたあかんよ、チンチン」
・・・は?
「・・・何言うてるん?」
「・・・それ、言いたいんはこっちやで。何や井上が、気持ちよさそーに寝とるなぁ思って近
寄ったら、寝ながらチンチンたてとんねんもん。・・・こらヤバイなぁ思て起こしたんよ?」
・・・う・・・言い訳できへん。やって、めっちゃ気持ちよかってんもん・・・。石田が何時もより強
引やったから、変やなぁとは思ってたけど、気持ちよくて、そのままやってたし・・・・・・。
「見てたんが俺等二人だけやったからええけど、あかんでぇ?」
「・・・分かってるよ・・・」
『井上、井上っっ・・・!』
『石田、石田あぁぁあっ・・・!・・・あっ、ああ、はぁ、はぁっ・・・!!』
夢とはいえ、気持ちよかったなぁ・・・。夢やからかしらんけど、チンチン、大きかったし・・・。
「・・・おいっっ!」
田村に怒られる。
「あっ!・・・ごめん・・・」
俺、また・・・。
「・・・そんなにええんかぁ?・・・石田とすんの」
「・・・うん・・・」
・・・・・・・・・・・・あれ?
「・・・ほー・・・」
川島が、納得してる。田村は呆れ顔。
「え、ええええっ!?」
「・・・やっぱかぁ。まー、キスしとってちゃうってのはないわなぁ」
「え、ええ!?・・・ちゃう、ちゃうねん、さっきのは、ノリで・・・」
「・・・ええよ、別に?嘘つかんでも」
「嘘とちゃう!ほんまに、ほんまにちゃうねん・・・ほんまやねん、ほんまに・・・」
ほんま・・・ちゃうもんなぁ。・・・田村は呆れた顔のまんま、タバコを買いに行った。川島
は俺を宥めて、イスに座ってタバコを咥えた。・・・火が点く。煙が吐かれる。・・・ごめん、
石田。言うてもうた。ずっと内緒にしよな、言うてたんに。ごめん、ほんまにごめん・・・。
「・・・そんな、落ちこまんでええよ。田村も俺も、他の奴には言わへんし」
そんなん、言われても・・・・・・。
「あ。疑っとるやろ、俺等の事」
「そんな事・・・!」
あるけど。
「嘘吐くなや。・・・ほんまに、言わへんよ。俺等も、同じやし」
・・・・・・・・・・え?
「・・・・・・川島・・・?」
同じって・・・え?・・・え?・・・同じって・・・・・・嘘やろ?
「お前等ほど濃くはないけど。・・・まだ、期間短くてな」
・・・・・・濃いとか薄いとか・・・そんなん、どうでもええ。・・・いや、よくないけど。
「川島〜?行くで〜?」
「・・・じゃ、そういう事やから」
・・・いや、そういう事やからじゃなくて!!
「・・・川島!」
「・・・ん?」
「あ、あの・・・・・・どっちが、下なん?」
違うやろ俺―!
「・・・あー・・・どっちかって言うと、俺かな?」
・・・・・・あー・・・。
「・・・何言うてんの?」
「何でもないよ、早よ行こ?」
「あ、ああ・・・」
・・・・・・ものっそい、さっぱりしたカミングアウトで・・・。
END