第四話→或る会話。

濱口の異変に気付いたのは、メンバーが集まってすぐの事。大体、有野と一緒に来る事自体、
ぴーんときた。有野は、本当に昔から、濱口への想いを俺に打ち明けてきていたから。それに、
濱口の気が抜けている様子や、湿布臭い身体もそう。腰も過敏に気にしている。休みが来る
度に、トイレへ向かう。有野の横に、ずっと居る。岡村も、薄々気付いているようだ。収録が一
段楽した。岡村が濱口とトイレに行ったのを見計らって、よゐこの楽屋へ向かう事にした。
 「・・・有野?」
ドアを開ける。と、雑誌を読んでいた有野が、こっちに視線を移した。
 「おお、矢部か。どしたん?」
ごくりと唾を飲む。
 「有野、・・・・・・いきなりやけど・・・お前、濱口とやったやろ?」
俺の発した言葉は、余韻を残しながら楽屋へ染み込んでいき、静寂が続く。
 「・・・は?」
そこで俺は、濱口の変な様子と自分の推測を、全て有野に真実を吐かせる為に突きつけた。
有野は困惑した表情を浮かべながら、俺の言葉に相槌をうつ。・・・そして、重い口を開いた。
 「・・・・・・やったよ。しゃあないやろ、ずっと好きやってんから。・・・分かるやろ?」
俺は岡村が好きやと気づいた時、すぐ手を出したが、有野は長い間、手を出せずに居た。「も
う手ぇ出してもええんとちゃう?」笑いながら有野に言った言葉が、脳裏をよぎった。
 「・・・どうやった?」
俺の所為じゃ、ないやろうけど。
 「・・・めっちゃ気持ちよかった。三回やった。・・・無理やりやってもうたけどな」
「セックス」というより、「強姦」や「青姦」に近かった。泣き叫ぶ相方を見る度、もっと犯した
いという気持ちで腰を動かした。朝起きた時も、そのまま犯してしまいたくなる自分が居た。
泣けば泣くほど、相方を苛めたくなった。改めて自分がサドだと言う事が身にしみる。
 「・・・三回って・・・まじで?」
記憶だから、当てにはならないけど。
 「・・・・・・ああ」
身体を締め付ける感触が、未だに身体中に走る。脈が、リズムを作りながら伝わってきた。喘
ぎ声も、性感帯をいい具合に刺激していた。身体の相性は、くせになる程抜群に良かった。
 「・・・何か・・・凄かった。男とするん、あんなに気持ちええなんて思ってなかった」
壊れたように腰を振って、相方と快感に堕ちていった。どうなってもよかった。
 「・・・嫌われた?」
強姦に近い情事。
 「・・・いや。今朝もキスばっかしてたし。多分・・・嫌われてへん」
可愛い相方。普段も、ベットの上も可愛い。ずっと大好きだった、昨日犯って、もっと好きに
なった。身体の相性も抜群、二人でいても苦痛がない。・・・このまま行くとヤバイ。でも、この
まま行ってしまおうか。相方への愛情が強くなっても、・・・ホモに変わりは無いだろうから。

用を済ませ、岡ちゃんが出てくるのを待つ。・・・昨日。初めて(当たり前やけど)男、しかも相方
とHした。痛かったらどうしよう、そう不安でたまらなかった。確かに痛かった。泣き叫んだ。
相方を嫌いになりそうやった。でも、相方の身体が差し込まれていくうちに、快感を覚えて
いく自分が居た。中出しも、気にならなかった。三回、抱かれた。犯されたという感触が大き
かったけど、相方とのセックスは、正直よかった。・・・・・・忘れられない。もう一度、したい。
 「・・・・・・濱口?」
岡ちゃんの声。少し下痢気味(多分、中出しの所為)の腹を擦りながら、状況を誤魔化した。
 「・・・なぁ、濱口」
腰がまた、痛み出した。
 「・・・何?」
昨日・・・良かったなぁ。
 「・・・有野と・・・何かあったんやろ?」
そう言われた瞬間、犯されている俺が、頭に浮かんだ。チンチンを差し込まれ、喘いで、相方
の大きい身体を受け入れた。快感に身を震わせ、ザーメンを無意識のうちに出していた。
 「・・・ん?何言うてるん、何もないって!」
 「嘘つくな!!」
岡ちゃんが怒鳴る。思わず、壁に寄りかかった。
 「・・・相方と・・・有野とやったんやろ?絶対可笑しいもん、なぁ、ほんまの事、言うて!」
岡ちゃんの目が痛い。ほんまの事・・・言うたらどないなる?絶対変態やと思われる。確かに
変態やもん。ホモやし、相方とやったし。気持ちいいって思ったし。・・・でも、嘘はつけない。
 「・・・ああ、抱かれたよ。三回。正直、めっちゃ気持ちよかった。・・・・・・ごめん」
・・・阿保、ほんまの事言うたかて、そのままいける訳がないやん。
 「・・・そっか。それならええねん、もう、嘘つかんといてな」
・・・え?
 「・・・岡・・・ちゃん?」
ホモやで?変態やで?嫌いにならへんの?
 「・・・何よ〜。ええんよ、俺もお前と同じやもん。嫌な事されたら、すぐ言ってな♪」
・・・ちょっと待って、岡ちゃんが俺と同じって事は、岡ちゃんもホモで、矢部とやってるって
事になるん?・・・・・・ええ―――――!?そんなん・・・嘘やろ。安心した反面、きっついわ〜。
まぁ、俺も有野が好きやから、岡ちゃんの事どうこう言われへんのは分かってるけど。



第五話へ